インドの数学者バスカラの次の問題は、興味深い。
を満たす正の整数 a,b,c ( a<b<c ) の値を求めよ。
10=2+3+5 ということに注目すると、
なので、答は直ぐ分かる。
このように、二重根号が外せれば、電卓を用いなくても左辺の近似値が分かり、数の把
握に役立つ。因みに、左辺≒1.414+1.732+2.236≒5.382 位である。
一般に、二重根号を含む問題は、学習指導要領では「扱わないものとする」となっている
ので、現在の高校では教えられる機会は少ない。(一部の進学拠点校においては、依然と
して教えられているものと信ずる。大学の方からは、二重根号が外せるように高校で指導
してほしい、という声もある。)二重根号を含む問題の美しさに触れないで数学の学習を終
えてしまう日本の高校生は、ある意味で不幸といわねばならない。
3次方程式や4次方程式の解の公式、余弦定理などを用いた図形の計量問題などは、
二重根号なしには語れない。「自然」を「数学」という言語で記述しようとするときの大切な
言葉であるはずのものが、高校の数学教程において軽視されている現状を、非常に残念
に思う。