・ 実数の個数は数えられない S.H氏
ものの個数は、「ひとつ、ふたつ、みっつ、・・・」と声を出しながら数えるという人が多い。声を
出さないまでも、頭の中で、ものと、自然数「1、2、3、・・・」を、1対1に対応させて数えている
はずである。このような考え方を一般化して、無限を数えたのが、カントールの集合論である。
その中で活躍する、「対角線論法」という証明方法は、とても感動的である。
0 から 1 までの実数全体は、「ひとつ、ふたつ、みっつ、・・・」とは数えられない。このことは、
次のようにして示される。
いま、「ひとつ、ふたつ、みっつ、・・・」と数えられるものと仮定する。そうすると、次の表のよ
うに、0 から 1 までの実数は、すべて順番に並べられる。
自然数 | 0 から 1 までの実数全体 | |
1 | : | 0.a1a2a3a4・・・ |
2 | : | 0.b1b2b3b4・・・ |
3 | : | 0.c1c2c3c4・・・ |
4 | : | 0.d1d2d3d4・・・ |
・・・ | : | ・・・・・・・・・・・・・・ |
そこで、a1 と異なる数を a’1、b2 と異なる数を b’2、・・・ として、新しく実数
0.a’1b’2c’3d’4・・・
を作ると、この実数は、上の表にない実数となる。(必ず、どこかの桁で異なる数だから。)
これは、0 から 1 までの実数を、すべて順番に並べたことに矛盾する。
したがって、0 から 1 までの実数は、「ひとつ、ふたつ、みっつ、・・・」とは数えられない。