・フェルマー S.H氏
「フェルマー」と題して、平成26年5月7日付けで、当HP読者のHN「H」さんよりメールを
頂いた。「よろしければ、ご指摘頂けないでしょうか」とのことだったので、少し検討してみた。
メールに添付された証明は次の通り。(一部文言等を補充してあります。)
Y、m は有理数とする。
p が奇素数 のとき、Yp=( X + m )p - Xp の有理数解Xはない。
(証明) Yp=2p(Y/2)p=( X+m )p−Xp ・・・ (1) と式変形しておく。
いま、 2p=(a+1)p−ap ・・・ (2) と書けるとする。(aは実数)
(1)式に(2)式を代入すると、
Yp={ (a+1)p−ap }(Y/2)p=(aY/2+Y/2 )p - (aY/2)p=( X+m )p −Xp
比較して、 X=aY/2 、m=Y/2 と思ってよい。
aが有理数ならば、aY/2も有理数。a が無理数ならば、aY/2も無理数となる。
ここで、aが有理数と仮定すると、(2)式の両辺の分母を揃えて、分子を比較すると左辺は
偶数、右辺は奇数となる。
よって、aは無理数となる。したがって、X=aY/2 も無理数となる。
故に、p が奇素数 のとき、Yp=( X+m )p−Xp の有理数解はない。
※(1)(2)式の「2」は任意の偶数とすることができる。
※(2)式の右辺を展開して分母を揃えると、分子の和が奇数となる理由。
(A) a =奇数/偶数, (B) a =偶数/奇数 , (C) a =奇数/奇数 とする。
(A) の場合、初項の分子は奇数、他の項の分子の和は偶数となる。
(B) の場合、末項の分子は奇数、他の項の分子の和は偶数となる。
(C) の場合、末項の分子は奇数、他の項の分子の和は偶数となる。
よって、分子の和は奇数となる。
※Yp=( X + m )p - Xp 、Yp=( X0 + m0 )p - X0p 、Yp=Yp
よって、( X + m )p - Xp=( X0 + m0 )p - X0p
Yp=( X1 + m1 )p - X1p 、Yp=Yp
よって、 ( X + m )p - Xp=( X1 + m1 )p - X1p =( X0 + m0 )p - X0p
(コメント) 「2p=(a+1)p−ap」は、p=3のとき調べれば確かに、aは無理数となるのだが、
それが一般的に言えるかどうか確証が持てない。特に上記の証明の下線部分が
本当に言えるのかどうか確証が持てない。どなたか検証をお願いいたします。
らすかるさんからのコメントです。(平成26年5月20日付け)
「比較して、 X=aY/2 、m=Y/2 と思ってよい。」としていますが、「X=aY/2, m=Y/2 と
仮定すると、Yp=(X+m)p-Xp の有理数解はない」というだけのことではないでしょうか。
(X,m) が (aY/2,Y/2) 以外の場合に有理数解が存在しないことが証明されていないよう
に思います。
Hさんより続報を頂きました。(平成26年5月17日付け)
p が奇素数のとき、Xp + Yp = Zp の自然数解はない。
Y、m は整数、X は実数( 全て正)とする。
Xp + Yp = Zp を、Z = X + m とおいて、Yp = (X + m)p - Xp とする。
Yp を固定して、m を替えても、X と、(X + m)p の有理数, 無理数は変わらない。・・・(イ)
偶数p = ( X + 1 )p -Xp の X に有理数を代入すると、分子は全て奇数となる。・・・(ロ)
奇数p = ( X + 2 )p-Xp のX に有理数を代入すると、分子は全て偶数となる。・・・(ハ)
両辺の分子が等しくならないので、X は有理数ではない。無理数である。
Yp を固定して(ロ) と(ハ) のm を替えても、(イ) により、X の無理数は変わらない。
よって、Yp = (X + m)p - Xp の、X の有理数解はない。
したがって、p が奇素数のとき、Xp + Yp = Zp の自然数解はない。
(イ) の証明: Yp = (X + m)p - Xp = 偶数p(Y/偶数)p
偶数p=(X0 + 1)p - X0p とすると、X0は(ロ)により無理数となる。
Yp=(X+m)p-Xp={(X0+1)p-X0p }(Y/偶数)p={(X0Y/偶数)+Y/偶数)p−(X0Y/偶数)p
よって、X = X0Y/偶数・・・無理数、m = Y/偶数・・・有理数となる。
「Yp を固定してm を替えても、」にあたるのが、m = Y/偶数とすることである。そうすると、
Xは、X0Y/偶数 となる。・・・無理数
mが、Y/奇数の場合は、(ハ)による。整数⊂ Y/偶数、整数⊂ Y/奇数なので、Yp を固定
してm を全ての整数に替えてもX は無理数となる。
DD++さんからのコメントです。(平成26年5月24日付け)
Z = X + m (m は整数)とおいていますが、これでは、一般性を失っています。
(ハ)は、成立しません。例えば、p=3 のとき、X=1/2を代入すると、31/2になり右辺の分子
は奇数です。
Yp=(X+m)p-Xp={(X0+1)p-X0p }(Y/偶数)p={(X0Y/偶数)+Y/偶数)p−(X0Y/偶数)p
よって、X = X0Y/偶数・・・無理数、m = Y/偶数・・・有理数となる。
前回と全く同じミスをされています。ap - bp = cp - dp だからといって、a = c、b = d とは
限りません。例えば、123-103=93-13、163-153=93-23 など。