・ 比例式の計算               S.H氏

比例式  を満たす実数 A、B を求めてみよう。 
分母を払って、   (1+A)A=(1+B)B
右辺を左辺に移項して、因数分解すると、
            (A−B)(A+B+1)=0

 よって、A = B (≠−1) または A+B+1=0 を満たす−1以外の全てのA、B

 これに対して、上の比例式を、ちょっとだけ一般化したと思われる次の比例式

       

の場合は、少し事情が違ってくる。上の比例式を満たす実数 A、B、C は、実は、
          A = B = C (≠−1)
という場合しかない。実際に、比例式=K とおいて、分母を払うと、
       A=K(1+C)
       B=K(1+A)
       C=K(1+B)
  A=K(1+C) と B=K(1+A) を辺々引いて、 A−B=K(C−A)
  B=K(1+A) と C=K(1+B) を辺々引いて、 B−C=K(A−B)
  C=K(1+B) と A=K(1+C) を辺々引いて、 C−A=K(B−C)
 これらの3式を辺々掛けて、
        (A−B)(B−C)(C−A)=K3(A−B)(B−C)(C−A)
よって、Kは実数なので、
        A=B または B=C または C=A または K=1
ここで、K=1 とすると、3=0 となり矛盾。
     A=B とすると、B−C=K(A−B)=0 より、B=C
         よって、 A = B = C (≠−1)
     B=C、C=A のときも同様で、
               A = B = C (≠−1)
 したがって、比例式を満たす A、B、C は、 A = B = C (≠−1) となる。

 文字の個数が増えると、それだけ制約が厳しくなるのだろう。とても、不思議な現象だ。

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