・目が回る GAI 氏
2つの時計の文字盤が内側と外側にあるように、内側の文字盤と外側の文字盤がダイア
ル式に回せて、お互いの時刻の数がずらせるような構造をしているものとする。
今、内側の文字盤Aのうち、A=[0,1,2,3]、また、外側の文字盤のうち、B=[0,4,8]の
位置(便宜上、0は12時の位置を表すものとする。)にダイヤモンドをつけておき、2つの文
字盤の位置を、2つとも通常の12時が真上になるようにセットすれば、Aの「0」とBの「0」の
みダイヤが揃う。
次に、内側はそのままに外側のダイアルを右に一つ回すと、Aの「1」とBの「0」のみダイヤ
が揃う。
さらに、外側を右に一つ回す(Aの「2」とBの「0」の位置が合っている状態)と、Aの「2」とB
の「0」のみダイヤが揃う。
以下、Bのダイアルを回し続けると、
(A,B)=(3,0) 、(A,B)=(0,8) 、(A,B)=(1,8) 、(A,B)=(2,8) 、(A,B)=(3,8)
(A,B)=(0,4) 、(A,B)=(1,4) 、(A,B)=(2,4) 、(A,B)=(3,4)
が最初から繰り返すことになり、いつでもある一カ所の時刻目盛のダイヤは常に内側と外側
の2つのダイヤが揃う状態が起こせる。
この条件設定で、
<問題1> Bのダイヤは、[0,4,8]で限定しておくとき、Aのダイヤの位置が他にどんな位
置が考えられるのか、A=[0,a,b,c] (0<a<b<c) を決定して下さい。
ただし、Aの12時の位置には必ずダイヤは入っておくものと考える。
<問題2> Bの文字盤も[0,4,8]に限定しないとして、A=[0,a,b,c] (0<a<b<c)と
B=[0,x,y] (0<x<y) のダイヤの位置の組合せを調べてみて下さい。
ただし、2つとも「0」の位置にはダイヤをはめるとする。
<問題3> A、Bでのダイヤをはめ込む位置の数を4カ所、3カ所で指定しないなら、他に
どんなものが考えられるか?
以上、同型や類似を整理して(Bのダイアルを左回りに動かすなど)、構造が異な
るもので分類したとき、全体で何種類のものが存在しているか?
DD++さんが考察されました。(平成26年4月13日付け)
ある程度候補を絞ってから先は人力総当たりなので漏れがない自信はないですが...。
<問題1の解> [0,1か5か9,2か6か10,3か7か11] を適切に並べ替えた全27解
<問題2の解> 以下の全48解
B=[0,1,2]、[0,1,5]、[0,1,8]、[0,1,11]、[0,2,7]、[0,4,5]、[0,4,11]、[0,5,7]、
[0,5,10]、[0,7,8]、[0,7,11]、[0,10,11] のとき、 A=[0,3,6,9]
B=[0,2,4]、[0,2,10]、[0,8,10] のとき、 A=[0,1,6,7]、[0,3,6,9]、[0,5,6,11]
B=[0,4,8] のとき、<問題1の解>の 27解
<問題3の前半の解>
Bに1つのとき、B=[0] のとき、 A=[0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11]
Bに2つのとき、B=[0,1]、[0,11] のとき、 A=[0,2,4,6,8,10]
B=[0,2]、[0,10] のとき、 A=[0,1,4,5,8,9]、[0,3,4,7,8,11]
B=[0,3]、[0,9] のとき、 A=[0,1,2,6,7,8]、[0,1,5,6,7,11]、
[0,2,4,6,8,10]、[0,4,5,6,10,11]
B=[0,5]、[0,7] のとき、 A=[0,2,4,6,8,10]
B=[0,6] のとき、 A=[0,1か7,2か8,3か9,4か10,5か11]を適切に並べ
替えた32解
以上、48解
Bに3つのとき、<問題2の解>の48解
Bに4つ以上のとき、Bに3つ以下の解のAB入れ替えたもの
以上から、 (1+48+48)×2=194解
<問題3の後半の解>
事実上同じもの(回転、反転、AB入れ替え)を整理すると、194解のうち生き残るのは以下
の23解
B=[0] のとき、 A=[0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11]
B=[0,1] のとき、 A=[0,2,4,6,8,10]
B=[0,2] のとき、 A=[0,1,4,5,8,9]
B=[0,3] のとき、 A=[0,1,2,6,7,8]、[0,2,4,6,8,10]
B=[0,5] のとき、 A=[0,2,4,6,8,10]
B=[0,6] のとき、 A=[0,1,2,3,4,5]、[0,1,2,3,5,10]、[0,1,2,4,5,9]、
[0,1,3,5,8,10]、[0,1,4,5,8,9]
B=[0,1,2]、[0,1,5]、[0,2,7] のとき、 A=[0,3,6,9]
B=[0,2,4] のとき、 A=[0,1,6,7]、[0,3,6,9]
B=[0,4,8] のとき、 A=[0,1,2,3]、[0,1,2,7]、[0,1,3,6]、[0,1,3,10]、
[0,1,6,7]、[0,2,5,7]、[0,3,6,9]
GAI さんからのコメントです。(平成26年4月13日付け)
私は、コンピュータを使ってあらゆる変化の中から、ただ一つが一致するパターンを選び出
し、さらに、同型を絞り込んでいったのですが、DD++さんのように頭の中だけでここまでまと
めていける力に敬服しました。
この問題は、日本評論社出版の「ドクトル クーガーの数学講座2」(久賀道郎 著)に記述
されていた、キッチニの指輪という話題に関連して問われていた質問でした。
私は群論についてあまり知りませんが、巡回群などの構造を考える上で面白い教材になる
のではないかと思いました。
DD++さんからのコメントです。(平成26年4月13日付け)
私は、「事実上同じもの(回転、反転、AB入れ替え)を整理すると」としましたので、
A=[0,3,7,8,10,11]は、A=[0,1,2,4,5,9]の反転、B=[0,7,11]は、B=[0,1,5]の
反転、B=[0,6,9,11]は、B=[0,1,3,6]の反転と全て含まれています。
また、A=[0,2,3,5]は、[0,1,3,10]と同じものですね。私は、[0,a,b,c]のaが一番小さ
くなるように、aが同じならbが小さくなるように、と選んだのでこの位置になっています。
反転は同型とは見なさないとすれば26解ですが、AB入れ替えは同型なのに反転は同型
でないという基準も気持ち悪いように感じます。
私は「Aから1つ、Bから1つ取り出して足した12個の数が、12を法としてどれも合同でない」
というところから初等整数論的に絞りこみました。