・無関係と思いきや                    GAI 氏

 整数nに対し、nと互いに素である個数(一般にオイラーのtotient function Φ(n))とnの約
数の和(一般にσ(n))では、互いに反する概念と思ってしまう。


 n   :  Φ(n)    :  σ(n)
---------------------------------------
   1      :   1      :    1
  2   :   1      :    3
  3   :   2   :    4
  4   :   2   :    7
   5    :      4   :    6
  6   :   2   :    12
  7   :   6   :    8
  8   :   4   :    15
  9   :   6   :    13
  10   :   4     :     18
  11   :   10   :    12
  12   :   4     :    28
  13   :   12   :    14


      ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ところが、M=Φ(n)・σ(n)/n2 の値は、どんな n(>1)に対しても

   6/π2(=0.60792・・・)<M<1

である記事を読んで驚いた。
結構狭い範囲に収まっており、お互い無関係にあるのではなく、お互いの縛りに拘束されている。

 そこで、nが、1〜1000000 であるとき、最も最小になるnを求め、その最小値がいくつであ
るか探してほしい。私の拙いプログラムと10年前のコンピュータで探していたので、できた
らnのもっと広い範囲での結果が知りたいです。


 らすかるさんが考察されました。(平成26年4月6日付け)

 わかりやすくするために、nの素因数を3つとして、n = ap・bq・cr とすると

 φ(n) = n(1-1/a)(1-1/b)(1-1/c) = n(a-1)(b-1)(c-1)/(abc)

 σ(n) = (ap+1-1)(bq+1-1)(cr+1-1)/{(a-1)(b-1)(c-1)}

なので、 φ(n)σ(n)/n2=(ap+1-1)(bq+1-1)(cr+1-1)/(nabc)
               =(ap+1-1)(bq+1-1)(cr+1-1)/(ap+1・bq+1・cr+1
               =(1-1/ap+1)(1-1/bq+1)(1-1/cr+1

よって、φ(n)σ(n)/n2 が小さくなるのは、素因数が小さく、かつ素因数が1つずつの場合な
ので、100万まででは、n = 2・3・5・7・11・13・17 = 510510 のときの

  (1-1/4)(1-1/9)(1-1/25)(1-1/49)(1-1/121)(1-1/169)(1-1/289)
 = 127401984/206841635 = 0.61593974…

が最小になると思います。逆に、大きくなるのは大きい素因数一つの場合で、nが素数なら
ば、φ(n)σ(n)/n2 = 1-1/n2 となりますので、100万まででは、n = 999983 のときの

  1-1/9999832 = 0.99999982… = 0.99999999999899996599…

が最大になりますね。


 GAI さんからのコメントです。(平成26年4月7日付け)

 長くコンピュータを働かせ、やっと手に入れていた数字が魔法にかかったようにピッタリと
同じように、この簡潔な推論の運びで出ていることに感激です。式の一つ一つは見たことが
あるが、これらをこの様に組み合わせていくことで、力任せに突進するより遙かに本質に迫
れる景色が見えてきます。(6/π2が使われる理由がわかりました。)

 らすかるさんはプロのプログラマーのような方であると想像しますが、何でもかんでもコン
ピュータとならない思考方法との併用なので、まさに”鬼に金棒”です。せめて綿棒は使える
ように精進します。


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