・1/243の不思議 S.H氏
1/243を小数展開すると、(「WolframAlpha」を利用)
0.00411522633744855967078189300411522633744855967078189300411522633744855967
078189300411522633744855967078189300411522633744855967078189300411522633744
855967078189300411522633744855967078189300411522633744855967078189300411522
633744855967078189300411522633744855967078189300411522633744855967078189300
411522633744855967078189300411522633744855967078189300411522633744855967078
189300411522633744855967078189300411522633744855967078189300411522633744855
967078189300411522633744855967078189300411522633744855967078189300411522633
744855967078189300411522633744855967078189300411522633744855967078189300411
522633744855967078189300411522633744855967078189300411522633744855967078189
300411522633744855967078189300411522633744855967078189300411522633744855967
078189300411522633744855967078189300411522633744855967078189300411522633744
855967078189300411522633744855967078189300411522633744855967078189300411522
63374485596707818930041152263374485596707818930041152263374485596707818930...
この小数展開を眺めていると、先頭の「0.」を除いて、
004→115→226→337→448→559→・・・
と規則的に並んでいることがわかる。もちろん、分数は必ず循環小数となり、その循環節は、
004115226337448559670781893 (上記で赤字の部分)
であるが、 670は、660+10 と考えられ、以下、781は、770+11、893は、
880+12+1で、その「+1」は、次の「004」を、990+13+1=1004と考えれば、循環
節のまとまりを超えて、この規則性は未来永劫続くような雰囲気である。
115 ・・・ 1000+100+14+1=1115 → 先頭の「1」は前に繰り上がり。
226 ・・・ 1100+110+15+1=1226 → 先頭の「1」は前に繰り上がり。
なぜ、1/243にこのような不思議な性質があるのだろう。とても興味深い。
DD++さんからのコメントです。(平成26年4月5日付け)
上記話題を考察したところ、どうやらこのような性質を持つ数はいくらでも作れるようです。
カラクリも解けましたが、いきなり種明かしも面白くないのでこんな感じに紹介。
(1) 任意のレピュニット(全ての桁が1である自然数)を用意します。
(2) それを素因数分解します。
(3) 出てきた素数のいくつかを任意に選び出します。ただし素因数に3がある場合は必ず全
て含めてください。
※ある程度多めに選んだ方がわかりやすい結果になりやすいです。
(4) それらを掛け合わせます。
(5) さらに81を掛けます。
(6) その逆数を小数表示すると……。
例:111=3×37で必須な3だけ選んで、3×81の逆数が、1/243=0.004115226337448559……
11111=41×271から41だけ選んで、41×81の逆数が、
1/3321=0.000301114122252333634447455585……
同じ11111から271の方を選べば、271×81の逆数が、
1/21951=0.000045556011115666712222677782……
111111=3×7×11×13×37で必須な3の他に11と37を選んで、3×11×37=1221、
1221×81の逆数が、1/98901=0.000010111121222232333343444454555565666676777787……
特に、(4)での値がもとのレピュニットと9を法として合同になっている場合は素直な感じに
なりますね。
(コメント) な〜るほど!そんな風に簡単に作れるんですか...。DD++さんに感謝します。
1/243の不思議な性質を、漸化式を活用して考察してみました。
上記の性質を精査すると、整数列 a1,a2,a3,・・・ において、条件
a1=4 、 an+1−an=111 (n=1、2、3、・・・)
を満たすものを考えると、F=1/243=a1/103+a2/106+a3/109+・・・ と書けることを
意味する。
漸化式 a1=4 、 am−an=111 を解けば、 an=4+111(n−1)=111n−107
したがって、
F=Σn=1〜∞ an/103n=Σn=1〜∞ (111n−107)/103n
=111Σn=1〜∞ n/103n−107Σn=1〜∞ 1/103n
ここで、 Σn=1〜∞ 1/103n=(1/103)/(1−(1/103))=1/(103−1)=1/999
また、Sn=Σk=1〜n k/103k とおくと、(1/103)Sn=Σk=1〜n k/103(k+1) なので、
(1−(1/103))Sn=Σk=1〜n 1/103k−n/103(k+1)
n→∞ のとき、n/103(k+1)→0 なので、 (999/103)Σn=1〜∞ n/103n=1/999
よって、 Σn=1〜∞ n/103n=1000/(999)2
このとき、 F=1000/(999・9)−107/999=37/(999・9)
ここで、 111=37・3 なので、 F=1/(3・81)=1/243
(コメント) 上の計算から分かるように、DD++さんが指摘されている通り、111の素因数分
解の有り様が、問題の本質みたいですね!
攻略法さんが考察されました。(平成26年4月6日付け)
DD++さんの例「111=3×37、1/243=37/(9×999)」について、111=3×37 より、必須な3だけ
選んで(消し線)、(3×37)/(9×999)=37/(9×999)=1/243
(↑ (1が並ぶ数)/(81×(1が並ぶ数)))
他の例 111111=3×7×11×13×37 より、必須な3の他に11,37を選んで、
(3×7×11×13×37)/(9×999999)=(7×13)/(9×999999)=1/98901
(↑ (1が並ぶ数)/(81×(1が並ぶ数)))
「 数字の並び」について、循環小数に着目して、
= 0.004 115 226 337 448 559 670 781 893 004 115 226 337 …
= 0.000 111 222 333 444 555 666 777 889 000 111 222 333 …
+ 0.004 004 004 004 004 004 004 004 004 004 004 004 004 …=1/8991
+ 4/999
111に着目して、
= 0.000 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500 1600 1700 1800 1900 …
00 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170
180 190 …
┌ 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 …
└ 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 …
-------------------------------------------------------------------------------------------------
0.004 115 226 337 448 559 670 781 892 1004 1114 1225 1336 1447 1558 1669 1780 1891 2002 2113 …
└┘ └┘ └┘ └┘ └┘ └┘ └┘ └┘ └┘ └┘ └┘
=100/999^2 ← kの倍数 3桁のとき、k/999^2
+ 10/999^2
+ 1/999^2
+ 4/999
=111/999^2 + 4/999 ← 1/8991 + 4/999
=111/999^2 + (4×999)/999^2
=(1 + 4×9)×111/999^2
=(1 + 4×9)/(9×999)
=37/(9×999) ← 111=3×37より、必須な3だけ選んで!
攻略法さんからのコメントです。(平成26年4月7日付け)
1/81=0.{012345679} は、x=1/10 として、0x+1x2+2x3+3x4+4x5+ … + (k-1)xk+ … とみること
ができる。
実際に、f(x)=0x+1x2+2x3+3x4+4x5+ … + (k-1)xk+ … とする。
f(x)=0x+1x2+2x3+3x4+4x5+ …
- xf(x)= 0x2+1x3+2x4+3x5+4x6+ …
------------------------------------------
(1-x)f(x)= x2+x3+x4+x5+…
より、 (1-x)f(x)=-x+(x+x2+x3+x4+x5+…)=-x+x/(1-x)=x2/(1-x)
よって、f(x)=x2/(1-x)2 なので、x=1/10を代入して、f(x)=1/81
「1/243=111/999^2+4/999」について、簡単な場合で、1/81
この構図に、100+10+1=111(1が並ぶ数)と4(0.004に相当)のげたを履かせた形でしょうか。
ABCDEFさんからのコメントです。(平成26年4月7日付け)
10進法をp進法にして、どんなときに同様のことが起こるか調べてみました。「同様のこと」
を狭く解釈して次のようにします。
自然数Nの逆数をp進法で表したとき、0.00a11b22c・・・・の形になる。
ただし、a+1=b、b+1=c、・・・・ で、a、b、cはp進法で1桁の正の数とする。
a、b、c、・・・はすぐに2桁以上になるけど、少なくとも3個は1桁であるとし、あとは、1/243の
場合と同様に繰り上がりは生じるが同じ規則は続くとする。
0.00a11b22c・・・=0.00a00a00a・・・+0.111222333・・・ で、
0.00a00a00a・・・=a/((p2+p+1)(p-1)) 、0.111222333・・・=1/((p2+p+1)(p-1)2)
であるから、 0.00a11b22c・・・=((p-1)a+1)/((p2+p+1)(p-1)2)
これらは、 1+x+x2+・・・=1/(1-x) と x+2x2+3x3+・・・=x/(1-x)2 から出る。
((p-1)a+1)/((p2+p+1)(p-1)2) が1/Nの形になることから、分子が分母で割り切れないとい
けないが、(p-1)a+1とp-1は互いに素だから、(p-1)a+1がp2+p+1で割り切れないといけない。
pの整式と見て、a2(p2+p+1)を(p-1)a+1で割り算をすると、余りは、3a2-3a+1 であるから、
(p-1)a+1は、3a2-3a+1で割り切れないといけない。
(p-1)a+1=3a2-3a+1となる場合を調べると、 p=3a-2 、a=(p+2)/3
p≡1 (mod 3) のとき、a=(p+2)/3 とすれば、 ((p-1)a+1)/((p2+p+1)=3 となるので、
((p-1)a+1)/((p2+p+1)(p-1)2)=1/(3(p-1)2) となり、「同様のこと」が成り立つ。
p≡1 (mod 3) のとき、a=(p+2)/3、N=3(p-1)2 とすれば、1/Nをp進法で表すと、
0.00a11b22c・・・・ の形になる。ただし、a+1=b、b+1=c、・・・・ である。
p=1 はもちろん駄目だけど、p=4 も 0.002113224・・・=0.002113230・・・ となるので、最初の
前提から駄目、あとは大丈夫。
p=7 なら、a=3、N=108=213(7) 、p=10 なら、a=4、N=243 で、これが「1/243の不思議」
さて、上記のもの以外にあるかどうかですがなさそうです。
p-1≧a だから、3{(p-1)a+1}≧3(a2+1)>3a2-3a+1 なので、(3a2-3a+1)/((p-1)a+1)が1以外の
整数になるなら、「2」しかないが、3a2-3a+1は奇数だからありえない。
「同様のこと」が成り立つのは、
p≡1 (mod 3) 、a=(p+2)/3 、N=3(p-1)2 のときに限る。ただし、p≧7
(コメント) 冒頭のちょっとした話題から、こんな風に一般化された内容に深化するのを見る
のは、まさに、筑波大附属駒場高校での数学の授業を彷彿させます。ABCDEFさ
んに感謝します。