・山分け問題 S.H氏
多分、平成21年3月21日付けで、S(H)さんから伺った話題だと思う。
n個の石の山が1つある。山を2つに分ける度に2つの山の石の数の積を求める。
最後に、その総和F(n)を求めると、山の分け方に依らず同じで、
F(n)=n(n−1)/2
である。
このことを示せ。
とても深遠な性質である。問題の意味を把握するために、小さいnについて調べてみよう。
n=3 のとき、 ○○○ → ○○、○ → ○、○、○
このとき、 F(3)=2×1+1×1=3 で、 n(n−1)/2=3×1=3 より、
F(n)=n(n−1)/2 が成り立つ。
n=4 のとき、 ○○○○ → ○○○、○ → ○○、○、○ → ○、○、○、○
このとき、 F(4)=3×1+2×1+1×1=6 で、 n(n−1)/2=2×3=6
○○○○ → ○○、○○ → ○○、○、○ → ○、○、○、○
このとき、 F(4)=2×2+1×1+1×1=6 で、 n(n−1)/2=2×3=6
よって、山分けの方法に依らず、F(n)=n(n−1)/2 が成り立つ。
n=5 のとき、
(1) ○○○○○ → ○○○○、○ → ○○○、○、○ → ○○、○、○、○ → ○、○、○、○、○
(2) ○○○○○ → ○○○○、○ → ○○、○○、○ → ○○、○、○、○ → ○、○、○、○、○
(3) ○○○○○ → ○○○、○○ → ○○○、○、○ → ○○、○、○、○ → ○、○、○、○、○
(1) のとき、F(5)=4×1+3×1+2×1+1×1=10 で、n(n−1)/2=5×2=10
(2) のとき、F(5)=4×1+2×2+1×1+1×1=10 で、n(n−1)/2=5×2=10
(3) のとき、F(5)=3×2+1×1+2×1+1×1=10 で、n(n−1)/2=5×2=10
よって、山分けの方法に依らず、F(n)=n(n−1)/2 が成り立つ。
上記の計算を鑑みて、数学的帰納法で示されることに気づく。
n=1 のとき、2つの山に分けることはできないので、 F(1)=0 とすれば、命題は、
n=1のとき成り立つ。
n=2 のとき、山分けの方法は、 ○○ → ○、○ のみで、 F(2)=1×1=1
また、n(n−1)/2=2×1/2=1 より、命題は、n=2のとき成り立つ。
n=k (k≧1)以下について命題は成り立つと仮定する。すなわち、
F(k)=k(k−1)/2
n=k+1 のとき、2つの山 m と k+1−m (1≦m≦k) に分けると、
m も k+1−m も k 以下の山である。
このとき、 F(k+1)=m(k+1−m)+F(m)+F(k+1−m) となる。
よって、 F(k+1)=m(k+1−m)+m(m−1)/2+(k+1−m)(k−m)/2
=m(k+1)−m2+m(m−1)/2+{k(k+1)−(2k+1)m+m2}/2
=k(k+1)/2
となり、命題は、n=k+1のときも成り立つ。
したがって、数学的帰納法により、全ての自然数nについて、
F(n)=n(n−1)/2
が成り立つ。
数々の和さんから別証明を頂いた。(平成25年7月21日付け)
山分け問題の証明について、数学的帰納法による証明よりも、題意に忠実かなと思われ
る証明とのことです。確かに、直接的に求められるんですね!
(証明) F(n)は、次の規則により決定される。
n=k+m のとき、 F(n)=F(k)+F(m)+km および、F(1)=0
したがって、これらを満たすF(n)を求めればよい。
m=1 とすると、 F(k+1)=F(k)+F(1)+k・1=F(k)+k
よって、数列 {F(k)}の階差数列が {k} 、F(1)=0 だから、
k≧2 のとき、 F(k)=0+1+2+・・・+(k−1)=k(k−1)/2
上記の式は、k=1 のときも成り立つ。
したがって、すべての自然数nについて、 F(n)=n(n−1)/2
逆に、F(n)=n(n−1)/2 とすると、全てのm(1≦m≦n−1)に対して、
F(k)+F(m)+km=k(k−1)/2+m(m−1)/2+km
={(k+m)2−(k+m)}/2=n(n−1)/2=F(n)
が成り立つ。したがって、規則を満たすF(n)は、F(n)=n(n−1)/2 (証終)