・互いに素は1/2を作る GAI 氏
n を 1 より大きい自然数とし、互いに素となる正の整数 p、q で、
(ただし、0<p<q≦n で、p+q>n とする。)
Σ(p,q) 1/(pq)=1/2
が必ず成立する。
(微妙な打ち消し合いが起きる。)
(コメント) 実験してみた。
n=5 のとき、(p,q)=(1,5)、(2,5)、(3,5)、(3,4)、(4,5) なので、
Σ(p,q) 1/(pq)=1/5+1/10+1/15+1/12+1/20=1/2 で成立!
もっと、nの値を大きくして、n=10 のとき、
(p,q)=(1,10)、(2,9)、(3,10)、(3,8)、(4,9)、(4,7)、(5,9)、
(5,8)、(5,7)、(5,6)、(6,7)、(7,10)、(7,9)、(7,8)、(8,9)、(9,10)
よって、
Σ(p,q) 1/(pq)
=1/10+1/18+1/30+1/24+1/36+1/28+1/45+1/40+1/35+1/30
+1/42+1/70+1/63+1/56+1/72+1/90
=1/2 ・・・・・・・・・・・・・ これも成立!不思議ですね。どうやって証明するのかな?
GAI さんの、(微妙な打ち消し合いが起きる。)というヒントに沿って、上記の実験を再考し
てみた。
n=5 のとき、
Σ(p,q) 1/(pq)
=1/1・5+1/2・5+1/3・5+1/3・4+1/4・5
=1/1・4−1/4・5+1/2・3−1/3・5+1/3・5+1/3・4+1/4・5
=1/1・4+1/2・3+1/3・4
=1/1・3−1/3・4+1/2・3+1/3・4
=1/1・3+1/2・3
=1/1・2−1/2・3+1/2・3
=1/2
(コメント) p、q の差が1となるような単位分数 1/(pq) に部分分数分解すると、何かが起
こる...?(そんな雰囲気かな)
当HP読者のHN「数々の和」さんからメールにて上記の証明を頂いた。「数々の和」さんに
感謝します。(以下で、一部文言等を加筆・修正させていただきました。ご了承ください。)
(平成25年3月17日付け)
n を 1 より大きい自然数とし、互いに素となる正の整数 p、q
(ただし、0<p<q≦n かつ p+q>n ) に対し、
Σ(p,q) 1/(pq)=1/2 ・・・ (P)
(証明) 数学的帰納法による。nが決められたときのΣ(p,q) 1/(pq) の値を s(n) とする。
n=2 のとき、条件を満たす p、q は、 (p,q)=(1,2) しか存在しない。
よって、s(2)=1/2 だから、n=2 のとき命題(P)は成り立つ。
n=k−1 のとき成り立つと仮定する。すなわち、 s(k-1)=1/2
n=k として、互いに素となる正の整数 p、q (ただし、0<p<q≦k かつ
p+q>k)に対し、
1/(pq) の総和が s(k) である。
このとき、s(k)に含まれないがs(k−1)に含まれる項 1/(pq)は、p+q=k
を満たしている。
例えば、n=5 のとき、 (p,q)=(1,5)、(2,5)、(3,5)、(3,4)、(4,5)
n=6 のとき、 (p,q)=(1,6)、(2,5)、(3,5)、(3,4)、(4,5)、(5,6)
p、q は互いに素であるから、p と k も、q=k−p と k も互いに素である。
すなわち、s(k)に含まれないがs(k−1)に含まれる項は、1/{p(k−p)}で表される。
s(k−1)からs(k)をつくるには、このような形(pはkと互いに素であり、p<k−pを満たす)
のすべての和を取り除かなければならない。
s(k)に含まれるがs(k−1)に含まれない項 1/(pq)は、q=kを満たしている。pとqは互い
に素だから、pとkも互いに素であり、k−pもkと互いに素である。
すなわち、s(k)に含まれるがs(k−1)に含まれない項は、1/(pk)、1/{(k−p)k}
で表される。
s(k−1)からs(k)をつくるには、このような形(pはkと互いに素であり、p<k−pを満たす)の
すべての和を追加しなければならない。
したがって、 s(k)=s(k−1)+Σ[1/(pk)+1/{(k−p)k}−1/{p(k−p)}] である。
Σの中を計算すると、
1/(pk)+1/{(k−p)k}−1/{p(k−p)}=(k−p+p−k)/{p(k−p)k}=0
となり、s(k)=s(k−1)=1/2 が成り立つ。
すなわち、命題(P)は、N=Kのときも成り立つ。
以上により、1より大きいすべての自然数nに対して、命題(P)が成り立つ。 (証終)
(コメント) なるほど、n=5、6の場合を見ると、「数々の和」さんの証明の方針が理解でき
ますね!上手いカラクリになっていますね。感動しました。