・有限数列と無限数列の分断 よおすけ氏
高校数学で習う単元の一つに「数列」があります。有限数列(または数列)は現在では数学
B、無限数列は数学Vで学習、となっています。
でも、かつては、有限数列と無限数列は同じ教科書に掲載されていたとのことです。
例:昭和35年改訂の数学UBなど。
無限数列は極限が絡んでいるから、極限でまとめて扱われたのかな・・・って。
(コメント) 手元にある参考書を見ると、数学UBの内容が半端ないですね!
第1章 三角関数・・・三角関数の定義、相互関係、補角の公式、余角の公式、・・・
加法定理、倍角の公式、半角の公式、積和の公式、和積の公式、
単振動の合成、最大・最小問題、図形への応用、三角方程式、
三角不等式、大小の判定、不等式の証明、正弦定理、余弦定理、
形状判定問題、面積
第2章 複素数とベクトル・・・複素平面、極形式、積と商の偏角、回転、ド・モアブルの定理、
軌跡と領域、複素数の三角関数への応用、
ベクトル、成分、内積、複素数とベクトル、空間のベクトル
第3章 図形と座標・・・座標軸の変換(平行移動、回転移動)、図形の移動、2次曲線、
2次曲線の統一的定義、2次曲線の接線と軌跡、集合と領域、
媒介変数表示、いろいろな曲線、極座標、極方程式
第4章 数列と級数・・・等差数列、等比数列、調和数列、いろいろな数列、Σ、階差数列
群数列、漸化式、数学的帰納法、数列の極限、無限等比数列、
数列の漸化式、無限等比級数、無限級数、収束と発散、極限の応用
第5章 微分法・・・関数の極限、極限の応用、導関数とその公式、積の導関数の公式、
接線、速度と加速度、関数の増減とグラフ、極値問題、最大最小問題、
微分法の応用、図形への応用
第6章 積分法・・・不定積分、区分求積法、定積分、積分の応用(面積、体積、回転体)、
物理への応用(変位、道のり、流水量、圧力、電気量、仕事、・・・)
第7章 順列と組合せ・・・順列、円順列、重複順列、同じものを含む順列、組合せ、
重複組合せ、2項定理、多項定理、2項係数の関係
現行の学習指導要領の数学T・U・V・A・B・Cの広範囲から「解析」の視点で教程が組
まれているようで、これが1年間で学ぶ内容だったということに驚きを隠せない。多分、今の
高校生で、これをこなすことが出来るのは、ほんの少数の数学オタクだけだろう。
さすがに科学技術の振興のために組まれた数学教程だけあって、一つ一つのテーマに腰
を落ち着けて学習できるように工夫されている。現行の数学教程は、何の思想も脈絡もなく、
上記の学習内容がバラバラに配置されている。難しいという理由で、学習内容から削除され
たものも多い。数学の系統的学習を考えるとき、とても世界に自慢できる教程にはなってい
ない。あと4、5年もすると、上記の教程で学んだ方が高校の教育界からいなくなる。とても寂
しい限りだ。