・変わったサイコロ S.H 氏
あるセミナーで、神奈川大学工学部の何森 仁さんから、これまでの数学教育の体験談
をいろいろ伺うことができた。
「公平なサイコロを投げて、1の目が出る確率は1/6である。それでは、確率が1/6とは
どういうことか?」
という何森さんの問いかけがとても新鮮に感じた。
上記の問いかけに、「6回サイコロを投げたら1回は1の目が出る」とか「6回サイコロを
投げたら1回は1の目が出る可能性がある」とかいろいろ誤った観念にとらわれた回答が
多いという。
それくらいサイコロは必ず1の目が出る確率は、1/6であるという思いこみがあるらしい。
次のサイコロにおいて、1の目が出る確率は、1/6であるとは言い切れない。なぜなら、
立方体ではないから。
何森さんが、5000回サイコロを投げた結果、次のような出現回数であったという。
「1の目」・・・1153回 、「2の目」・・・748回 、「3の目」・・・560回
「4の目」・・・547回 、「5の目」・・・809回 、「6の目」・・・1147回
このことから、それぞれの目が出る確率は、
「1の目」・・・0.23 、「2の目」・・・0.16 、「3の目」・・・0.11
「4の目」・・・0.11 、「5の目」・・・0.16 、「6の目」・・・0.23
と推察される。
何森さんは、上記のような結果になることを計算で求めることはほとんど無理だろうと仰っ
ている。重心や密度、摩擦、モーメント等が関わってくるだろうからとのこと。
そこで、プログラミングに詳しい方にお願い:
力学的ないろいろな条件を加味してシミュレーションできないだろうか?
何森さんからお話を伺って、とても興味が湧いたもので...。よろしくお願いします。
(参考文献: 数学セミナー’08 12月号
何森 仁 著 「サイドタ,ドタドタ!」 (日本評論社))
空舟さんからのコメントです。(平成24年8月5日付け)
シミュレーションはできないのですが、ランダムな向きでサイコロを「置いて」、重心がある
方の目が倒れると仮定すると、各面の確率は立体角の比で求められると仮定して計算して
みました。
四角錘; -xtanp≦y≦xtanp 、-xtanq≦z≦xtanq 、0≦x のなす立体角(単位球面を貫
く表面積)を考えました。
y=±xtanp が球面と交差するのを解くと、 y2(1+1/tan2p) + z2 =1 、y2=(1-z2)sin2p
よって、高さzにおける貫くyの範囲は、 -sinp*√(1-z2)≦y≦sinp*√(1-z2)
高さzにおける球面の断面は、半径が√(1-z2)だから、切り取る部分は、zによらず中心角
が2pの扇形となり、その弧の長さは、2p√(1-z2)
緯度をuとすると、z=sinu 、弧の長さは、2pcosu
これを、-q≦u≦q で定積分すると、曲面積4psinqを得る...?
答えは、pとqの対称式になるはず...。ちょっと見直しても分からないので、とりあえずこれで
確率を計算すると、四角錘の底面が2a×2bの長方形、高さがhのとき、tanp=a/h、tanq=b/h
なので、各面の確率は最終的に、 0.1988... 、0.1629... 、0.1381... となり、試行の結果
「1の目」・・・0.23 、「2の目」・・・0.16 、「3の目」・・・0.11
「4の目」・・・0.11 、「5の目」・・・0.16 、「6の目」・・・0.23
とは違いました。(念のため、4pqや4sinpsinqで計算してもだいたい似た値でした)
やはり単純にはいきませんね...。
GAI さんからのコメントです。(平成24年8月6日付け)
上記話題に関連して、以前、「Sicherman Dice」というものが存在していることを知り、これ
が面白くて投稿しております。
通常のダイスは1から6の数字が各面一つずつ書かれており、もし2つのダイスを転がし、
2つの目の和(w)の確率分布を取れば、
P(w=2)=1/36 、P(w=3)=2/36 、P(w=4)=3/36 、… 、P(w=7)=6/36 、… 、
P(w=11)=2/36 、P(w=12)=1/36
となるが、この確率分布と全く同型となる組合せのダイスとして、各面に
{1,3,4,5,6,8} と {1,2,2,3,3,4}
の数字を配置された2つのサイコロが存在する。その他に、正4面体のサイコロを通常に
{1,2,3,4} で作られた2つとこれとは別に{1,3,3,5}と{1,2,2,3}で構成されるものが同型および正
8面体のサイコロでは、通常の{1,2,3,4,5,6,7,8}で構成された2つのサイコロの和が、
{1,3,5,5,7,7,9,11} と {1,2,2,3,3,4,4,5}
または、 {1,3,3,5,5,7,7,9} と {1,2,2,3,5,6,6,7}
または、 {1,2,5,5,6,6,9,10} と {1,2,3,3,4,4,5,6}
で構成される2つのサイコロの和と確率分布を同じにできる。
GAI さんからのコメントです。(平成24年8月11日付け)
変わったサイコロの仲間たちを紹介します。
(その1)
赤サイコロ:{3,3,4,4,8,8} 、黄サイコロ:{1,1,5,5,9,9}
青サイコロ:{2,2,6,6,7,7}
任意の2つのサイコロの出た目の大小での勝負の確率
黄サイコロ(5/9)>赤サイコロ(4/9)
青サイコロ(5/9)>黄サイコロ(4/9)
赤サイコロ(5/9)>青サイコロ(4/9)
と三つ巴の関係(ジャンケン構造)
(その2)
サイコロT:{0,1,2,6,7,8} 、サイコロU:{0,1,2,3,4,5}
2つのサイコロを並べると01〜31の日付を作れる。
(1957年ジョン・シングルトンが卓上カレンダーの特許を取得したという。)
(その3)
素数目サイコロ:{3,11,23,71,191,443}
サイコロを2つ転がし、出た目の平均を取ると、必ず素数となる。
(追記) 平成26年12月3日付けで、上記話題に関連してHN「ぼんぼん」さんより投稿があ
りました。
縦=a,横=b,高さ=c である直方体のさいころで、各面(ab,bc,ca)の出る確率を、a、b、
c の式で表せないものでしょうか。
らすかるさんからのコメントです。(平成26年12月3日付け)
ちゃんとした解答はわかりませんが、直感的には無理っぽい気がします。もしさいころを角
の丸まっていない正確な直方体で均質だとしても、弾性係数によって確率が変わりそうな気
がします。(気がするだけです。)
弾性係数も無視し、単に任意の角度で置いた時に重心から地面に下ろした垂線が通過す
る面の反対側の面が出目と仮定すれば、確率は計算できると思いますが、それが現実的な
値かどうかはわかりません。
空舟さんからのコメントです。(平成26年12月4日付け)
たぶん後半に書いてある考え方と同等だと思いますが、立体角を計算するのが1つの手
かもしれません。HPサイト「kobawiki」さんの「立体角」の後半に長方形を見込む立体角
の式が紹介されています
以下、工事中