・積と和の関係 S.H氏
n 個の正数があり、n 個すべての積がちょうど 1 であれば、n 個すべての和は
n 以上で
あることは直感的に分かるだろう。
例えば、 2×(1/2)=1 で、2+1/2≧2 などから...。
相加平均と相乗平均の関係
を知っていれば証明は容易だが、ここでは数学的帰納法で示すことにしよう。
a1、a2、・・・、an>0 で、 a1・a2・・・・・an=1 ならば、a1+a2+・・・+an≧n
(証明) n=1 のときは明らかに成り立つ。
n=k(k≧1)のとき、成り立つと仮定する。すなわち、
a1・a2・・・・・ak=1 ならば、a1+a2+・・・+ak≧k
いま、 b1・b2・・・・・bk+1=1 とする。適当に順番を並べ替えて
b1≦b2≦・・・≦1≦・・・≦bk+1
としても一般性は失われない。
このとき、 (b1−1)(1−bk+1)≧0 より、 b1−b1bk+1−1+bk+1≧0
すなわち、 b1+bk+1≧b1bk+1+1 が成り立つ。
よって、 b1+b2+・・・+bk+1≧b2+・・・+bk-1+b1bk+1+1
k個の正数 b2、・・・、bk-1、b1bk+1 について、
b2・・・・・bk-1・(b1bk+1)=b1・b2・・・・・bk+1=1 が成り立つので、
帰納法の仮定により、
b1+b2+・・・+bk+1≧b2+・・・+bk-1+b1bk+1+1≧k+1
が成り立つ。
よって、n=k+1 のときも成り立つ。
したがって、すべての自然数 n に対して、命題は成り立つ。 (証終)