・直感を鍛える                        S.H氏

 HN「GAI」さんが、「直感を鍛える」と題して、掲示板「出会いの泉」に投稿された。
                                    (平成22年11月24日付け)

 1000匹の魚のうち、99%がブラックバスであるという。これを、98%がブラックバス
になるようにするには何匹のブラックバスを取り除けばいいでしょう?


 まずは、直感で予想してみて下さいとのことであるが、真っ先に思いついた私の解答を書
いておきたい。

 1000匹の魚のうち、99%がブラックバスであるということは、その比は、 990:10

 1000匹の魚のうち、98%がブラックバスであるということは、その比は、

      980:20=490:10

 ブラックバス以外の魚の数は同じだから、ブラックバスの数を、990匹から490匹に減ら
せばよい。すなわち、500匹のブラックバスを取り除けばよい。

 上記の計算には、比という数学的な計算が入っているので、GAIさんの言う「直感での予
想」とは言えないかも...?

 この問いかけに対して、HN「らすかる」さんは、次のように解かれた。
                                    (平成22年11月24日付け)

 ブラックバス以外の魚の数を変えずに1%→2%と倍に増やすには、全体を半分にする必
要があるから、1000÷2=500匹減らす。

(コメント) なるほど、らすかるさんの解答の方がより「直感的」な...雰囲気。
      GAI さんの刺激的なタイトルに思わず引き込まれました。GAI さんに感謝します。


(追記) 平成28年12月31日付け

 冒頭の問題の類題が、「数学セミナー ’12年6月号」(日本評論社)の岩沢宏和さんの連
載「続 確率パズルの迷宮 確率クイズ」で取り上げられている。

 スイカ1000kgをトラックで運んでいる。スイカは、99%は水分である。目的地に着いたと
き、水分の割合が98%までに減っていた。最初1000kgあったスイカは何kgになったか?
直感的に考えて該当する記号を選べ。

  (1) 900kg  (2) 700kg  (3) 500kg  (4) 300kg

 多分、多くの方々は(1)または(2)を選ぶと予想されるが、正解は(3)の500kgである。

 考え方は、らすかるさんの方法と同じで、水分以外の割合が1%から2%と2倍になり、水
分以外は変わらないので、1000kgが半分になったと考えればよい。よって、500kg。


(追記) 平成29年1月6日付け

 次のような問題がある。

問題 無作為に円周上に2点P、Qをとり結ぶ。同様に、さらに円周上の2点R、Sをとり結ぶ。
   このとき、2つの弦PQ、RSが円の内側で交わる確率は、いかほどになるか。

 これは、ほとんど計算なしで直感的に求められる。

(解) 4点P、Q、R、Sは円周上の任意の点なので、まず円周上に4点をとり、どの点をP、
   Q、R、Sにするかは任意に決めるとしてよい。

 このとき、点Qが点Pに対して取り得る位置は、

  点Pの右隣り(2点PとQの間に他の点はない)
  点Pの左隣り(2点PとQの間に他の点はない)
  点Pの真向かい(2点PとQの間に他の点R、Sがある)

の3通りあり、明らかに、点Pの真向かいにあるときだけ2つの弦PQ、RSは円の内側で交
わる。

 よって、求める確率は、 1/3 である。  (終)


 これを計算で示そうとすると中々大変である。

(別解) 点Pから反時計回りに円弧PQを描き、その中心角の大きさをθとすると、
    0≦θ<2π である。

 求める確率は、点RまたはSの一方のみが円弧PQ上にあり、他方はない場合の確率であ
る。よって、

 ∫0 (2・(θ/2π)((2π−θ)/2π)・(1/2π)dθ

=(1/(4π3))∫0 (2πθ−θ2)dθ

=(1/(4π3))[ πθ2−θ3/3]0

=(1/(4π3))[ 4π3−8π3/3]

=1/3  (終)


 次の問題も肩すかしを食らったような感覚になることでしょう。

問題 区間[0,1]に含まれる実数を無作為にひとつ選び、それを p とする。区間[0,1]に
   含まれる実数を無作為に10個選ぶ。このとき、実数pより小さい実数がちょうど5個選
   ばれる確率は、いかほどになるか。

 これも、ほとんど計算なしで直感的に求められる。

(解) 11個の実数は無作為に選ばれ、実数pがどの値になるかは全く同様に確からしい。
   実数pより小さい実数がちょうど5個選ばれるということは、pがちょうど前から数えて6
   番目ということ。よって、求める確率は、1/11 である。  (終)


(コメント) 実数は合計11個選ばれるが、pはそのうちの一つに過ぎないという発想が新鮮
      ですね!



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