・積分についての疑問 カルピス 氏
(当HPの掲示板「出会いの泉」 平成22年1月15日付け)
積分について教えてください。
「表面積」が積分されて「体積」になるとき、玉ネギでたとえたなら、
(1)玉ネギの薄皮が重なっていって一つの玉ネギになる
(相似の形で段々大きくなっていく)
(2)玉ネギを端から無数に輪切りした状態を寄せ集めて一つの玉ネギになる
(大小の円の寄せ集め)
イメージ的には積分は(1)と(2)、どちらの方法で体積を求めているのでしょうか?結果
的には体積は同じになるはずですが...。もしかして、∫とdxの間に挟まれた式によって
考え方が違うだけで、どちらの考え方でも良いのでしょうか?
(1) ∫表面積dx=体積 (相似の形で大きくしていく)
(2) ∫面積dx=体積 (薄くスライスした形を寄せ集める)
この疑問に対して、凡人さんやらすかるさんからご教示いただいた。
まず、凡人さんより(平成22年1月15日付け)
表面積を積分するのだと、「(1)∫表面積dx=体積」のイメージだと思いますが、これは
面積分の考え方で、いわゆる普通の積分とは少し違うと思います。高校で教えられる体積
だと、恐らく2番の考え方ではないかと思います。個人的には、(1)は球のような特別な場
合で、基本的には(2)の考え方を使う方が計算しやすい気がします。
このことについて(平成22年1月15日付け)
(1)の面積分を使った時に、表面積を積分すると体積になるのでしょうか。
例 球の場合 :
S=4πr2 を積分すると、 V=(4/3)πr3 になる。
(2)の場合
例 円錐の場合
:
底面の円から始まり、除々に小さくなっていく円の面積を、0から頂
点まで寄せ集める
...といった感じで合っていますでしょうか?
高校で教わった積分は、「面積」を積分して「体積」を求めていたわけで、「表面積」を積分
して「体積」が求めらるのは球に限ってだったのですね。立方体で考えてみると、表面積を
積分しても体積になりません。「表面積」を積分して「体積」になるというのは、球などの、ご
く一部にしか通用しないことだったのですね。
ここで、また疑問が湧いてしまうのですが、では、なぜ球は表面積を重ねていくという方法
をとり、円を直径の長さ分だけ寄せ集めしようとはしないのでしょうか?でも、凡人さんのお
返事で積分して体積を求めるには、(1)(2)の二つの方法が存在するのは確かなんだな〜
と思いました。
凡人さんからの返信です。(平成22年1月15日付け)
どんな図形でも、両方の方法で求めることはできます。現実的に計算できるかどうかは別
として...。
x2+y2=r2 の円に対して、−r から r まで、π∫y2dx を計算したことがあると思うの
ですが、これは球の体積を(2)の考え方で計算しています。一方、立方体を(1)で計算する
場合、重心から各面までの距離を
a とすると、一辺 2a
の立方体になり、これは表面積を
積分すれば体積になると言えます。で、結局は計算しやすい方をとるという事なのでしょう。
このことについて(平成22年1月16日付け)
(1)の方法(面積分)の場合は、「重心から面までの長さ」と考えれば良かったのですね。
感動しました。今まで疑問に思っていたことが、やっと分りました。
この(1)の方法(面積分)が使えるのは、球を始め、重心から各面までの距離が全て等し
い正多面体だけですよね?正多面体は全部で5種類あるから、球を加えると、面積分が使
えるのは、合計6種類のみと考えてよいでしょうか?
らすかるさんからご教示いただきました。(平成22年1月16日付け)
正多面体でなくても使えます。例えば底面の半径a、高さ2aの円柱でも成り立ちますね。
角錐はある高さで切った断面積を高さ方向に積分すれば体積になります。多面体で、内
部のある点からすべての面までの距離が等しければ、同じ高さの角錐に分解できますか
ら
∫表面積=体積
が成り立ちますね。円柱は多角柱の極限と考えられますので、高さ
と幅が同じならば同様に成り立ちます。
このことについて(平成22年1月16日付け)
この文章の意味が、やっと分りました。各面(表面)から、重心に向かって積分していくこ
とと、重心から、徐々に表面に向かって積分していくことは同じだから、玉ネギの薄皮を内
部から重ねていくと一つの玉ネギになるということですね。
らすかるさんからの返信です。(平成22年1月16日付け)
円柱は多角柱の極限と考えられますので、高さと幅が同じならば同様に成り立ちます。
S=6πa2 を積分すると V=2πa3 ですね。
このことについて(平成22年1月17日付け)
らすかるさんの最後の方の文章を読んで分ったことですが、(1)の「面積分」を使う方法
は、(2)の普通の積分を応用したものだったのですね!