・赤の効用 S.H氏
受験世代になると、「赤本」とか「赤チャート」とか「赤」にまつわるものが身近になる。私の
高校時代を振り返ってみれば、英文法の参考書が赤かったし、単語集も赤だった。
大事なところを赤のボールペンや赤鉛筆、赤いマーカーで目立つようにすることも多くの方
はやっていることと思う。
ところが、最近の研究によると、その効果はどうも怪しいらしいということを、ある大学の情
報誌で知ることができた。
たとえばボクシングで、赤コーナー、青コーナーというのがあるが、プロ・アマ両方の調査を
鑑みても、赤コーナーの方が勝率が20%ほど高いらしい。プロだとチャンピオン側が赤コー
ナーで勝率が高いというのは納得できるが、アマでもその傾向はあるらしい。赤コーナーの
方を見る青コーナーの選手が萎縮するためのようだ。
情報誌によれば、人間は赤を見ると威圧感を感じて凹み不利になるのではないかという。
色彩心理学では、赤という色は、「落ち着かない色」「集中力が続かない色」と言われる。
したがって、参考書に赤線を引くということは、目立つだけで、実は、作業能率を落としてい
ることになるらしい。
確かに、私の経験からも赤線を引いてしまうと安心してしまうというか、その部分を忌み嫌
い読み飛ばしてしまう傾向があったように思う。これでは勉強した気になるだけで、実は全然
身に付いていなかったりなんかして...?
このことが高校時代に分かっていれば、また別な人生があったかも...。