・ ドント方式 S.H氏
平成20年9月に期待をこめて誕生した筈の麻生政権も、同時期に米国で発生したリーマ
ンショックの大波に日本も覆われ、未曾有の経済危機となった。本来の選挙管理内閣という
趣旨に反することをやる羽目に陥り、経済再生内閣として、定額給付金という切り札を切っ
たにも拘わらず、不適切な発言や閣僚の悪行が相次ぎ、これといった経済打開策が打ち出
せないということで、内閣支持率は急落し、政局は混迷を極めている。
衆院の解散も近い。そこで、このページでは、比例代表選挙での各政党への当選人の配
分方式である「ドント方式」をおさらいしておこう。
これは、各政党の得票数を、1、2、3、・・・ で順次割っていき、その商に大きい順に順位
を付けて、定員分を決めようという方法である。
具体的に計算してみよう。定員を6人とする。各政党の得票数が下表
A党 | B党 | C党 | |
得票数 | 4000 | 1100 | 900 |
のようになったとき、得票数を順次、1、2、3、・・・ で順次割っていくと、
A党 | B党 | C党 | |
÷1 | 4000 | 1100 | 900 |
÷2 | 2000 | 550 | 450 |
÷3 | 1333 | 367 | 300 |
÷4 | 1000 | 275 | 225 |
÷5 | 800 | 220 | 180 |
このとき、定員6人を決めるには、数字の大きい方から6人(赤色)をとればよい。
すなわち、A党には当選者4人、B党には当選者1人、C党には当選者1人が割り当てられ
ることになる。
このような計算方式が「ドント方式」と呼ばれるものである。これは、ベルギーのビクトル・
ドントが考案した計算方法と言われる。
1議席当たりの得票数の差で議席を分け合うという意味で、1議席当たりの民意の多い
方を当選とする、割と公平な方法だろう。
投票総数は、4000+1100+900=6000 で、その内、A党は、4000/6000=2/3
の得票率であり、 6×(2/3)=4議席を得ることは妥当なところだろう。
それに対して、B党の得票率は、 1100/6000=11/60 で、
6×(11/60)=11/10=1.1
C党の得票率は、 900/6000=9/60 で、
6×(9/60)=9/10=0.9
となり、端数をどう処理するかで議席数に影響が出そうな雰囲気である。この点、ドント方式
の方が、整数で比較している点で、とても説得力がある。