・ 方べきの定理もどき                  S.H氏

 平成20年度入試 学習院大学 理学部で次のような問題が出題された。

 放物線 C : y=x2+bx+c は x 軸と相異なる2点で交わるとし、その交点を左か

ら順に A、B とする。x 軸上でBの右にある点P(t,0)から、AとBの間にあるCの部

分に接線を引き、その接点をQとする。Qから x 軸に下ろした垂線の足をRとすると

き、 RP2=AP・BP を証明せよ。


 多少計算に腕力があれば、強引に計算を進めて完答できる問題であるが、次のように解
けば、エレガントだろう。

(解) A(α,0)、B(β,0) (α<β)とすると、α、βは、2次方程式 x2+bx+c=0

   の相異なる解である。解と係数の関係から、 α+β=−b 、 αβ=c

    このとき、 AP・BP=(t−α)(t−β)=t2+bt+c となる。

   Q(s,s2+bs+c)における接線の方程式は、

        y=(2s+b)(x−s)+s2+bs+c=(2s+b)x−s2+c

   これが、P(t,0)を通るので、 (2s+b)t−s2+c=0 より、 s2=(2s+b)t+c

   このとき、 RP2=(t−s)2=t2−2ts+s2=t2−2ts+(2s+b)t+c=t2+bt+c

   よって、 RP2=AP・BP が成り立つ。 (終)

          

 この図を見ていると、何となく方べきの定理の「放物線」版かなと感じる。とても美しい性
質だ。

 それにしても、問題文に記述のある「交点」とか「垂線の足」という用語をみると、この問
題の作問者は、相当年配の方のような気配ですね!最近の教科書では、あまり用いない
言葉なもので...。



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