・ 計算の妙 S.H氏
学年末の忙しい時期になった。年度末の書類の整理から、新年度へ向けての準備とが
錯綜して忙殺される日々がしばらく続く。
成績をつける場合、3学期制だと、
「各学期の成績を出して、その平均(小数点以下四捨五入)」
というのが多いのではないだろうか?
たとえば、10段階評定で、1学期は6、2学期は7、3学期は6 だったら、
6+7+6=19 で、 19÷3=6 ・・・ 1 なので、 成績は、 6
と計算される。
ただ、 10段階評定で、1学期は6、2学期は9、3学期は5 だったら、
6+9+5=20 で、 20÷3=6 ・・・ 2 なので、 成績は、 7
で、2学期から3学期への成績の急降下を考えて、前者の6より高い7を与えるのは少し抵
抗があるだろう。しかも、6は5段階評定では3で、7は5段階評定では4なので、その悩み
は尽きない。
このような悩みがおきないように、成績評価については各学校で工夫しているところであ
ろう。
計算で、「四捨五入」という計算は、いろいろ面白い現象を生み出す。
「四以下は切り捨て、五以上は切り上げ」という単純な規則が悲喜こもごもの結果を生む。
たとえば、
50を、2で割ると、その計算結果は25である。この25に割った数2を掛けると、50とな
る。この計算結果の50を、今度は3で割ると、その計算結果は16.666・・・ で、小数点
以下を四捨五入すると、17になり、その17に割った数3を掛けると、51となる。
この計算結果の51を、今度は4で割ると、その計算結果は12.75 で、小数点以下を
四捨五入すると、13になり、その13に割った数4を掛けると、52となる。
この計算結果の52を、今度は5で割ると、その計算結果は10.4 で、小数点以下を四
捨五入すると、10になり、その10に割った数5を掛けると、50となる。
この計算結果の50を、今度は6で割ると、その計算結果は8.333・・・ で、小数点以下
を四捨五入すると、8になり、その8に割った数6を掛けると、48となる。
この計算結果の48を、今度は7で割ると、その計算結果は6.857・・・ で、小数点以下
を四捨五入すると、7になり、その7に割った数7を掛けると、49となる。
この計算結果の49を、今度は8で割ると、その計算結果は6.125 で、小数点以下を
四捨五入すると、6になり、その7に割った数8を掛けると、48となる。
この計算結果の48を、今度は9で割ると、その計算結果は5.333・・・ で、小数点以下
を四捨五入すると、5になり、その5に割った数9を掛けると、45となる。
50という値から出発して、2〜9までの数のうちの一つの数で割り、その計算結果を小数
点以下で四捨五入して割った数を掛ける。次に、この計算結果に対して、この操作を繰り
返す。ただし、割る数は、2〜9までの数を1回だけ全て用いるものとする。
上記の例では、2、3、4、5、6、7、8、9 と順番に計算を行ったが、この順番を入れ替え
ると、非常に驚くべき結果を得る。
9、7、3、2、5、8、6、4
9、7、3、6、8、5、2、4
9、8、3、2、5、7、6、4
9、8、3、6、7、5、2、4
という4つの場合について実際に計算してみると、何れも、なんと「68」になる!
しかし、不幸にも順番を間違えると、最小で「39」に落ち込む。
(たとえば、
7、9、4、6、8、5、2、3 や 8、9、4、7、6、5、2、3 など... 204通り
あり得る!)