・ トランプの不思議 S.H氏
トランプは通常、「ハート・ダイヤ・クラブ・スペード」の4種類のカードが、A、2、・・・、10、
J、Q、K の13枚づつ計52枚にジョーカーを1〜2枚加えたものが1つのセットになってい
る。(これ以外にも、国やゲームによっては、いろいろな枚数の組合せのものがあるそうだ。)
なぜトランプは、マークが4種類なのか、なぜ1つのマークのカードが13枚なのか、今ま
で余り疑問にも思わなかったが、次の本を読んで、合点がいった。
野崎昭弘 著 「数学屋の楽しみ」 (白揚社)
この本によれば、「4」という数字は古くから聖なる数とされ畏敬の念を抱かれていたとの
ことである。(宇宙を支配する4つの要素「火・水・風・土」、自然界の4季「春・夏・秋・冬」、
人間の4つの成長段階「幼・少・壮・老」、・・・・)
また、「4」は、1以外の最初の平方数で、陰陽の基本である2のべき乗にもなっていると
のことで、マークが4種類になったことには必然的な人間の思惑が存在したように感じられ
る。
「13」という数字は、「13日の金曜日」と忌み嫌われるように、「不吉の数」とされる。
(上記の本によれば、13日は金曜日が最も多いそうである。何とも不思議!)
「13」という数字は、1+3=4 という性質を持っており、また、素数でもある。上記の本
によれば、「13」という数字は占数術の方面では波乱・破局を意味するのだそうだ。その
意味でも、ポーカーなどのゲームに相応しい数字と言える。
上記の本には、さらに「13」というか、素数にまつわる話題が述べられていて、思わず計
算してしまった。
13以外の数 N に、自分自身 N を加えて新しい数を作る。その数が13より小さ
いときは、そのままとし、13より大きいときは、13を引く。この操作を続ける。
そうすると、数 N から数え始めて13番目は必ず13となり、途中には、1〜12の
数(ただし、Nを除く)が1つずつ現れる。
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なぜ、このような性質があるかは、簡単な計算で確かめられる。
13以外の数 N に対して、 N を 13回足すと、 13×N で当然13で割り切れる。
今、n × N が13で割り切れるとすると、Nと素数13は互いに素なので、n
が13で割り切
れなければならない。1から13までの範囲で、このような性質を持つものは、13しかあり
えない。
また、12より小さいある n 、m に対して、 n × N ≡ m × N (mod 13) とすると、
(n−m)×N は、13で割り切れるが、上記と同様の議論から、 n−m=13 となる。
これは、 n 、m の取り方に反する。 よって、途中の値は全て異なる。