・ 正方形から正三角形 S.H氏
正方形をいくつかの部品に分解して正三角形を作る問題は多々ある。しかし、分割された
部品が互いに連結されたまま移動することによって正三角形(または正方形)ができること
に感動した。
これは、数学者の秋山 仁先生が以前TVで実演されていた。このアイデアを用いた家具
も作られていた。
まず、下図のように正方形を分割する。(詳細は後述)
その分割された部品に対して、下図のように連結部分(青い点)を設ける。
その連結部分を中心として、各部品を回転させる。
そうすると、下図のような正三角形が作られる。
それでは、正方形をどのように分割したら、このような正三角形が作られるのだろうか?
闇雲に分割しても、それは失敗するばかりである。次のように考えればよい。
正三角形ABCの頂点Aを通り、長さがBCに
等しく、BCに平行な線分DEをとる。
線分BEの垂直2等分線と線分BEの交点を
Fとする。
この垂直2等分線と線分EFの長さを基にし
て正方形GHIJの4頂点が定められる。
左図では、点Aは線分DEの中点として作図
したが、Aの位置をずらすことによって、いろい
ろな造形の変化を楽しむことが出来るだろう。
上図から、「正方形と同じ面積を持つ正三角形が作れる」ことは明らかだろう。
特に、点Aが線分DEの中点とした場合を考える。
始めに与えられる正方形 GHIJ の1辺の長さを 2 とすると、作図の解析から、
BF=FE=1
である。 このとき、正三角形 ABC の1辺の長さを a とすると、
(a/2)2+(a/4)2=1
より、 a=4/7 となるので、この長さを1辺に持つ正三角形を作図すれば、上記のよ
うな手順で、面積4の正方形が作図され、さらに、正方形を上図のように切断すれば、正方
形と同じ面積を持つ正三角形を構成することが出来る。
それでは、逆に、最初に正三角形を与える場合はどうだろうか?
この場合も、上記と同様に、上図のように切り分ければ、面積の等しい正方形を作ること
ができる。
この話題が、
北大数学科(編) 中村 郁(監修)
北大高校生講座 数学の並木道 (日本評論社)
の、p10〜p12 に取り上げられている。