・ 問題が悪くないか?               S.H氏

 文部科学省所管の財団法人「総合初等教育研究所」が、全国の小学生約9千人を対象
に実施した計算力調査の記事が朝日新聞(平成18年9月2日付け)に掲載された。

 それによると、単純に数式を解く計算技能の正答率は、1998年調査とほぼ同程度であ
ったのに対し、数式理解力の点で課題があるとのことである。設問の2割が正答率6割以
下だったという。

 正解率が低かった問題を見て唖然とした。こんな問題、「私が小学生の頃やったかな?」
と思えるような問題ばかりだ。しかも、作問した人からすれば「直ぐ分かるだろう!」という
問題だが、問題を初見で解く方の立場からすれば、意味がよくつかみきれない設問になっ
ているように感じる。率直に言って、「問題が悪い!」と思う。

 新聞に掲載された問題を見てみよう。

 47÷4の計算をして、商を1の位まで求めて余りも出す。電卓を使って計算したら、
11.75になった。余りはいくつ?


 電卓を使って、11.75を出して、そこから「余り」を求めさせるという発想が意味不明!

「4×11=44、4×12=48 から、47の中に4が11個含まれる。そのとき、3余る。」と
いう発想から、47÷4の計算をしたときの余りが3ではないのか?

 そもそも、「商を1の位まで求める」という表現が意味不明!「商を10の位まで求める」な
んていうことは、数学の問題でありえるのだろうか?

 多分、作問者は、 47/4=11.75 から、47/4=11+0.75 として、そこから、
47=4×11+4×0.75=4×11+3 と考えて、余り3が導けるかを問いたいのだろう
が、この解き方は小学生には辛いと思う。作問者の意図が計り兼ねる。

 この問題はデータ的にも面白い。正答率は、小学4・6年が47%であるのに対して、小学
5年では40%と落ち込む。普通に考えたら、学年進行で修得率も向上するはずなのだが、
なぜか小学5年の不振が目立つ。これは、小学5年で学習する内容からの「勘違い」による
誤答が多かったのではないかと推測される。小学5年で、余りを「0.75」としたものが20%
もいたというから多分その推測は当たっているだろう。その点でも、学習する内容によって
誤答を生じさせるような上記問題は、やはり「愚問!」と言わざるを得ない。

 300+500の計算は、□が何個あるかを考えると、3+5で答えを求められる。□
に当てはまる数は?


 この問題も、答えが分かっている人が答えれば、□に入るものは「100」なのだろうが、い
ろいろな発想が、問題を解く前に錯綜する。「0」と答えた16%の小学生が全員、「分かって
いない」と断じることは難しいだろう。要するに、問題の説明が不十分なのである。

 このように、不適切と思われる問題で、今の小学生の学力が語られることが怖い。データ
は一人歩きして、そのデータを生み出した問題が振り返られることはない。

 データを見る前に、その背景をしっかり調査・検討しなければいけないと肝に銘じる次第
である。


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