・「あの関係式」の一般化               DD++ 氏

 以下、全ての文字は正であるとします。

(1) a^2 + b^2 ≧ 2ab であることを(左辺から右辺を引く方法で)証明してください。

(2-1) 前問の結果を利用して、(a/b)(a/c) ≧ 2(a/c) - (b/c) であることを証明してください。

(2-2) 前問の結果を利用して、

  (a^3 + b^3)/(abc) ≧ (a/c) + (b/c) であることを証明してください。

(2-3) 前問の結果の、右辺の分母がcではなくaやbであるものも同様に作り、それら3つを足
  し合わせることで「あの関係式」の3変数の場合を証明してください。

(3-1) 前問の結果を利用して、

  (a/b)(a/c)(a/d) ≧ 3(a/d) - (b/d) - (c/d) であることを証明してください。

(3-2) 前問の結果を利用して、

  (a^4 + b^4 + c^4)/(abcd) ≧ (a/d) + (b/d) + (c/d) であることを証明してください。

(3-3) 前問の結果の、右辺の分母がdではなくaやbやcであるものも同様に作り、それら4つ
  を足し合わせることで「あの関係式」の4変数の場合を証明してください。

(4以降) 同様に、お好きなところまでどうぞ。もしくは数学的帰納法で2以上の任意のnまで
  どうぞ。


 ざっと検索した感じ、同様の方法で証明した例は見当たりませんでした。

 先行例はあるでしょうか?


 DD++ さんからのコメントです。(令和7年7月9日付け)

 数日経ちましたので、解答を。「あの関係式」とは相加平均と相乗平均の大小関係でした。

(1) 左辺 - 右辺=(a^2+b^2) - 2ab=(a-b)^2 ≧ 0

(2-1) (1) の結果 A2+B2≧2AB で、A2=(a/b)(a/c) 、B2=(b/c) と書き換えると、

 A22=(a/b)(a/c)*(b/c)=(a/c)^2 となることから、AB=a/c となる。

よって、 (a/b)(a/c) + (b/c) ≧ 2(a/c) すなわち、 (a/b)(a/c) ≧ 2(a/c) - (b/c)

(2-2) (2-1) の結果で、a と b を入れ替えたものを並べると、

 (a/b)(a/c) ≧ 2(a/c) - (b/c) 、(b/a)(b/c) ≧ 2(b/c) - (a/c)

これらの両辺を足すと、 (a^3 + b^3)/(abc) ≧ (a/c) + (b/c)

(2-3) (2-2) の結果で文字をサイクリックに入れ替えて、

(a^3 + b^3)/(abc) ≧ (a/c) + (b/c) 、(b^3 + c^3)/(abc) ≧ (b/a) + (c/a)
(c^3 + a^3)/(abc) ≧ (c/b) + (a/b)

これらを全て加えて、2*(a^3 + b^3 + c^3)/(abc) ≧ (a/b + b/a) + (b/c + c/b) + (c/a + a/c)

右辺は (1) の関係式を使えば、(a/b + b/a) + (b/c + c/b) + (c/a + a/c) ≧ 2 + 2 + 2 = 6

となるので、 2*(a^3 + b^3 + c^3)/(abc) ≧ 6 すなわち、 a^3 + b^3 + c^3 ≧ 3abc

(3) も同様。


 任意のn個の変数に対する証明は、双方向に進む帰納法か、解析方面の知識を頼るか、
大体そのどちらかです。

 純粋な四則演算と累乗だけで1つずつ前進する帰納法は書けないもんなの?と長年思っ
ていましたが、ふと解決したので投稿した次第でした。

 簡単に思いつくものですかと言われると、えーと、うん、まあ……ね。


(コメント) DD++ さん、解答をありがとうございます。しばらく寝かせてありましたが、(3-1)の
  証明で挫折していました。なるほど、斬新な方法ですね!勉強になりました。

 証明を私なりに整理してみました。

(証明) (1) a^2 + b^2 − 2ab =(a−b)^2≧0 から、 a^2 + b^2 ≧ 2ab

(2-1) (1)の両辺を bc で割って、 a^2/bc + b/c ≧ 2a/c より、 (a/b)(a/c) ≧ 2(a/c) - (b/c)

(2-2) (a/b)(a/c) ≧ 2(a/c) - (b/c) 、(b/a)(b/c) ≧ 2(b/c) - (a/c) を辺々加えて、

  (a^3 + b^3)/(abc) = (a/b)(a/c) + (b/a)(b/c) ≧ (a/c) + (b/c) である。

(2-3) (a^3 + b^3)/(abc) ≧ (a/c) + (b/c) 、(b^3 + c^3)/(abc) ≧ (b/a) + (c/a) 、

  (c^3 + a^3)/(abc) ≧ (c/b) + (a/b)

 これらを辺々加えて、 2(a^3 + b^3 + c^3)/(abc) ≧ (b + c)/a + (c + a)/b + (a + b)/c

ここで、

(b + c)/a + (c + a)/b + (a + b)/c={(b/a) + (a/b)}+{(c/b) + (b/c)}+{(a/c) + (c/a)}≧6

なので、 a^3 + b^3 + c^3 ≧ 3abc

(3-1) 前問の結果から、 A^3 + B^3 + C^3 ≧ 3ABC

ここで、 A^3=(a/b)(a/c)(a/d) 、B^3=b/d 、C^3=c/d とおくと、

 A^3B^3C^3=(a/d)^3 より、 ABC=a/d

よって、 (a/b)(a/c)(a/d)+b/d+c/d≧3(a/d) から、

 (a/b)(a/c)(a/d) ≧ 3(a/d) - (b/d) - (c/d) (← この部分の証明方法は、DD++ さんによる)

(3-2) (a/b)(a/c)(a/d) ≧ 3(a/d) - (b/d) - (c/d)

 (b/a)(b/c)(b/d) ≧ 3(b/d) - (a/d) - (c/d)

 (c/a)(c/b)(c/d) ≧ 3(c/d) - (b/d) - (a/d)

を辺々加えて、(a^4 + b^4 + c^4)/(abcd) ≧ (a/d) + (b/d) + (c/d) である。

(3-3) (a^4 + b^4 + c^4)/(abcd) ≧ (a/d) + (b/d) + (c/d)

 (d^4 + b^4 + c^4)/(abcd) ≧ (d/a) + (b/a) + (c/a)

 (a^4 + d^4 + c^4)/(abcd) ≧ (a/b) + (d/b) + (c/b)

 (a^4 + b^4 + d^4)/(abcd) ≧ (a/c) + (b/c) + (d/c) より、

 3(a^4 + b^4 + c^4 + d^4)/(abcd)

≧{(a/d) + (d/a)}+{(b/d) + (d/b)}+{(c/d) + (d/c)}+{(b/a) + (a/b)}+{(c/a) + (a/c)}+{(c/b) + (b/c)}

≧2*6=12

から、 (a^4 + b^4 + c^4 + d^4)/(abcd) ≧ 4 すなわち、 a^4 + b^4 + c^4 + d^4 ≧ 4abcd



  以下、工事中!



              投稿一覧に戻る