・p進数体                              ks 氏

 素数pに対して、p進数体の二次式について、p上既約な式を考えてみました。その個数を
与える式が、

 p(p−1)2/2

で与えられるようです。


 kuiperbelt さんからのコメントです。(令和7年2月26日付け)

 p=2,3,5,... に対して、p(p-1)^2/2=1,6,40,... となりますが、ks さんが考えたQ_p(p=2,3,5,...)での
既約な二次式というのはどのようなものでしょうか。p=2,3の場合だけでも例示していただけな
いでしょうか。

 p進数体の二次拡大体は、2進数体Q_2については、Q_2(√2)、Q_2(√3)、Q_2(√6)、Q_2(√-1)、
Q_2(√-2)、Q_2(√-3)、Q_2(√-6)の7つの二次拡大体があり、p進数体(p>2)Q_pについては、
Q_p(√p)、Q_p(√n)、Q_p(√(np))の3つの二次拡大体があります。ただし、nはQ_pに平方根を
もたない数です。

 Q_2の二次式では、x^2-2,x^2-3,x^2-6,x^2+1,x^2+2,x^2+3,x^2+6が既約となりますが、
α=2,3,6,-1,-2,-3,-6とすると、a,b∈Q_2,(x+a)^2-b^2*α=x^2+2ax+(a^2-b^2*α)も既約となり
ます。

 Q_p(p>2)の二次式では、x^2-p,x^2-n,x^2-npが既約となりますが、α=p,n,npとすると、
a,b∈Q_p,(x+a)^2-b^2*α=x^2+2ax+(a^2-b^2*α)も既約となります。

 Q_3では、2の平方根は存在しませんが、-2の平方根は存在し、3進法表記で
...01101021200010200211,
...21121201022212022012
が平方根となります。

 √-1=√2/(√-2)なので、Q_3(√-1)=Q_3(√2)となり、Q_3の3つの二次拡大体は、
Q_3(√3)、Q_3(√2)=Q_3(√-1)、Q_3(√6)=Q_3(√-3)となります。

 Q_5では、2,3の平方根は存在しませんが、3/2の平方根は存在し、5進法表記で
...23333103203131132432,
...21111341241313312013
が平方根となります。

 √3=√2*√(3/2)なので、Q_5(√3)=Q_5(√2)となり、Q_5の3つの二次拡大体は、
Q_5(√5)、Q_5(√2)=Q_5(√3)、Q_5(√10)=Q_5(√15)となります。

 Q_5には-1の平方根も存在して、5進法表記で
...40423140223032431212,
...04021304221412013233
が平方根となります。

 p>2の素数として、Jacobi記号(a/p)を用いると、(a/p)=-1のときはaはpを法として平方非剰
余で、(a/p)=1のときはaはpを法として平方剰余となります。

 p=4n+3の素数のときは、平方剰余の第一補助法則

 (-1/p)=(-1)^((p-1)/2) より、(-1/p)=(-1)^(2n+1)=-1

となるので、-1はpを法として平方非剰余となり、p=4n+3ときは、Q_pに-1の平方根が存在せ
ず、3つの二次拡大体は、Q_p(√p)、Q_p(√-1)、Q_p(√-p)となります。このような素数は、
p=3,7,11,19,...などがあります。

 これに対して、p=4n+1(p=5,13,17,...)のときはQ_pに-1の平方根が存在します。

 p=8n+3,8n+5(=8n-3)の素数のときは、平方剰余の第二補助法則

 (2/p)=(-1)^((p^2-1)/8) より、(2/p)=(-1)^(8n^2±6n+1)=-1

となるので、2はpを法として平方非剰余となり、p=8n+3の素数はp=4n+3の素数でもあるので、
Q_pに-1の平方根が存在しませんが、p=8n+5の素数はp=4n+1の素数でもあるので、Q_pに-1
の平方根が存在するかわりに2の平方根が存在せず、3つの二次拡大体は、
Q_p(√p)、Q_p(√2)、Q_p(√(2p))となります。このような素数は、p=5,13,29,...などがあります。

 これに対して、p=8n+1(p=17,41,...)のときはQ_pに-1と2の平方根が存在します。

 平方剰余の相互法則 (p/q)(q/p)=(-1)^((p-1)/2*(q-1)/2) より、q=3とすると、
(p/3)(3/p)=(-1)^((p-1)/2)
で、p=8n+1のときは(p/3)(3/p)=1ですが、p=3m+2のときは(p/3)=-1なので、(3/p)=-1で3はp
を法として平方非剰余となります。

 p=8n+1かつp=3m+2となるのはp mod 24=17のとき(p=17,41,89,...)で、この場合は、3つの二
次拡大体は、Q_p(√p)、Q_p(√3)、Q_p(√(3p))となります。

 これに対して、(p/3)=1となるp=3m+1のときは、p=8n+1かつp=3m+1であって、
p mod 24=1(p=73,97,...)であり、このときはQ_pに-1と2と3の平方根が存在します。

 Q_17では、-1と2の平方根が存在して、A=10,B=11,C=12,D=13,E=14,F=15,G=16とした17進法
表記を用いると、

-1の平方根は、
...5E81F0160E3D8CGC5A24,
...B28F1GFAG2D38404B6ED

2の平方根は、

...2A2E9AB511E922CB822B,
...E6E2765BFF27EE458EE6

とそれぞれ表されます。


 ks さんからのコメントです。(令和7年2月28日付け)

 有難うございます。

 p=2のときの既約な二次式 x^2+x+1

 p=3のときの既約な二次式 x^2+1,2x^2+2,…  など。


 kuiperbelt さんからのコメントです。(令和7年3月3日付け)

 ks さんの考えでは、p=2で、x^2+1 とか x^2-2 は既約にならないのでしょうか。
p=3で、2x^2+2=2(x^2+1)ですが・・・。p=3 の他の4種類(5種類?)の既約二次多項式はどのよ
うなものでしょうか?


 ks さんからのコメントです。(令和7年3月6日付け)

 p=3 のときの残りの4個は、x^2+x+2、2x^2+2x+1、x^2+2x+2、2x^2+x+1

 素数p進法の二次式の個数は、(p−1)p^2で、そのうち、

可約な個数は、p(p+1)(p−1)/2

既約な個数 p(p−1)^2/2


 kuiperbelt さんからのコメントです。(令和7年3月6日付け)

 有限体GF(p)上で、x^2の係数が1の既約多項式は、

p=2で、x^2+x+1の1個

p=3で、x^2+1,x^2+x+2,x^2+2x+2の3個

p=5で、x^2+2,x^2+3,x^2+x+1,x^2+x+2,x^2+2x+3,^2+2x+4,x^2+3x+3,x^2+3x+4,x^2+4x+1,x^2+4x+2
の10個

なので、有限体GF(p)上での既約多項式の総数は、p=2,3,5で、確かに 1,6,40 となりますね。

 ks さんが言っていたp進数体というのは有限体のことだったのですね。


 kuiperbelt さんからのコメントです。(令和7年3月6日付け)

 グレッグ・イーガン(Greg Egan)の未翻訳の短編SFで"3-adica"という短編があります。
"3-adica"は「ビットプレイヤー」の続編で、「ビットプレイヤー」の主人公が、距離が非アルキ
メデス付値である3-進付値で測られる世界を表現した仮想現実世界に迷い込んだ話のよう
です。以前はオンラインで読むことができましたが、今はWebarchiveでしか読めません。

 3-進数体についてはイーガン氏が解説していたブログがありましたが、こちらも、今は
Webarchiveでしか読めません。

 3進法で表すと、4,13,40,121,...は、

4=11
13=111
40=1111
121=11111
...

で、3-進数体では、0と1の距離は1ですが、1と4の距離が1/3、4と13の距離が1/9、13と40
の距離が1/27、40と121の距離が1/81...となります。

 実数の世界では、例えば10進法表記で1/3が1/3=0.33333...と表されるように、小数点以下
に無限に数が続く無限小数が存在しますが、3-進数体では無限に桁数の大きい数が存在し
て、...11111という数も存在します。この数をxとすると、

2x=...22222
2x+1=...00000=0

なので、x=-1/2となります。0,1,4,13,40,121,...という数列は-1/2に近づいていくことになります。

 3-進数体の分数で1/3は0.1と表されますが、-1/6は-1/2=...11111を用いて、

-1/6=...11111.1

と小数を用いて表されます。

 3-進数体の整数は、

......0, ......1, ......2

のいずれかの形で表されますが、これらを2乗したものは、

......0, ......1

のいずれかになって2となることはなく、3-進数体の小数は2乗しても実数の世界と同様に小数
なので、2の平方根は存在しません。

 3-進数体では、

-1=...22222
-2=...22221

なので、-1の平方根も存在しませんが、-2の平方根は存在して、

...1200010200211
...1022212022012

と表されます。

 実数の世界で平方根に正負の2種類があるように、3-進数体でも平方根は2種類あります。

 3-進数体では、2の平方根は存在しませんが、7の平方根は存在して、イーガン氏のブログ
にあるように

...222021120020111

と表されるものと、

...000201102202112

と表されるものがあります。

 p-進数体で7の平方根が存在して2の平方根が存在しない体は、p=3の次はp=19の19-進
数体があります。

 19-進数体では7の平方根は、10進法表記の10〜18をA〜Iで表すと、19進法表記で

...B6HE12AD718
...7C14HG85BHB

と表されます。



  以下、工事中!



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