三角比の学習では、その考え方の日常性から正接の概念から学び始め、その後、正弦
や余弦などを学び、測量の問題へと発展させていくのが王道である。ただ、概念の出発点
にもかかわらず、大学入試問題で正接が問われることは少ないように感じる。
このページでは、正接の種々の問題をまとめていこうと思う。
次の東北大学 理・工(1979)の問題について、まず考察していこう。正接っぽい風情を
醸し出しているが、実質は、式の値の計算である。
第5問 F(x)=tan x とする。
F(α)+F(β)+F(γ)=0、F’(α)+F’(β)+F’(γ)=9、F”(α)+F”(β)+F”(γ)=0
を満たすα、β、γを求めよ。ただし、−π/2<α<β<γ<π/2 とする。
(解) F(α)+F(β)+F(γ)=0 より、 tan α+tan β+tan γ=0
そこで、tan α=a 、tan β=b 、tan γ=c とおくと、 a+b+c=0 である。
また、F’(x)=1/cos2 x =1+tan2 x より、
1+tan2 α+1+tan2 β+1+tan2 γ=9 なので、 tan2 α+tan2 β+tan2 γ=6
よって、 a2+b2+c2=6 である。
このとき、 ab+bc+ca=(1/2)((a+b+c)2−(a2+b2+c2))=−3
また、 F”(x)=2tan x (1+tan2 x)=2tan x +2tan3 x より、
2tan α +2tan3 α +2tan β +2tan3 β +2tan γ +2tan3 γ =0
すなわち、 tan3 α +tan3 β +tan3 γ =0 より、 a3+b3+c3=0 である。
このとき、 a3+b3+c3−3abc=(a+b+c)(a2+b2+c2−(ab+bc+ca))=0 より、
abc=0 である。
以上から、a、b、c は、3次方程式 t3−3t=0 の3つの解である。
t=0 、± と −π/2<α<β<γ<π/2 から、
tan α=− 、tan β=0 、tan γ= となる。
よって、 α=−π/3 、β=0 、γ=π/3 (終)
以下、工事中!