いくつかの等式が、一つの等式から産出される様は美しい。
直角三角形ABCにおいて、C=90°とし、BC=a、CA=b、AB=c とおく。
∠ABC=3θ とし、辺CA上に、∠DBC=θ となる点Dをとる。
このとき、 a・tanθ+2c・sinθ=b が成り立つ。
(証明) △ABDにおいて、正弦定理より、
(b−x)/sin2θ=c/sin(π/2+θ)=c/cosθ
sin2θ=2sinθcosθ なので、 (b−x)/(2sinθ)=c すなわち、 b−x=2c・sinθ
ここで、 x=a・tanθ なので、 a・tanθ+2c・sinθ=b が成り立つ。 (証終)
この等式を用いると、次の等式が簡単に示される。
(1) tan(π/9)+4sin(π/9)=
(2) tan(π/12)+2sin(π/12)=1
(3) tan(π/18)+4sin(π/18)=1
(証明)(1) θ=π/9 のとき、 3θ=π/3 なので、 a : b : c=1 : : 2
よって、 tan(π/9)+4sin(π/9)= が成り立つ。
(2) θ=π/12 のとき、 3θ=π/4 なので、 a : b : c=1 : 1:
よって、 tan(π/12)+2sin(π/12)=1 が成り立つ。
(3) θ=π/18 のとき、 3θ=π/6 なので、 a : b : c= : 1: 2
よって、 tan(π/18)+4sin(π/18)=1 が成り立つ。 (証終)
上記では、等式 「tan3θ=b/a のとき、a・tanθ+2c・sinθ=b」 を利用して、
「tan(π/9)+4sin(π/9)=」などを示したが、もちろん直接示すことも可能である。
(証明) π/9=θ とおくと、 3θ=π/3 なので、 2θ=π/3−θ である。
このとき、 sin2θ=sin(π/3−θ)=(/2)cosθ−(1/2)sinθ
すなわち、 2sinθcosθ=(/2)cosθ−(1/2)sinθ
両辺を cosθ で割って2倍すれば、 4sinθ=−tanθ となる。
したがって、 tan(π/9)+4sin(π/9)= が成り立つ。 (証終)
他の(2)(3)については、読者の方の練習問題としよう。
同様にして、「tan4θ=b/a」のときに成り立つ等式を調べてみよう。
このとき、 a・sinθ+c・sin3θ=b・cosθ が成り立つ。
(証明) △ABDにおいて、正弦定理より、
(b−x)/sin3θ=c/sin(π/2+θ)=c/cosθ
よって、 b−x=c・sin3θ/cosθ
ここで、 x=a・tanθ なので、 a・tanθ+c・sin3θ/cosθ=b が成り立つ。
したがって、 a・sinθ+c・sin3θ=b・cosθ (証終)
この等式を用いると、次の等式が簡単に示される。
(1) sin(π/24)+2sin(π/8)=cos(π/24)
(2) sin(π/16)+sin(3π/16)=cos(π/16)
(3) sin(π/12)+2sin(π/4)=cos(π/12)
証明は、前のものと同様である。
よおすけさんからのコメントです。(令和6年6月25日付け)
一般化したら、おそらくこれだろうという等式を挙げました。
直角三角形ABCで、∠ABC=nθ、∠DBC=θ のとき、
a・sinθ+c・sin(n−1)θ=b・cosθ
※nは2以上の整数
以下、工事中!