・問題設定の違い                           GAI 氏

(1) x1、x2、x3、x4 が x1<x2<x3<x4 を満たす正の整数である時、

 a4=sqrt((x1+x2+x3+x4)*(1/x1+1/x2+1/x3+1/x4))

が正の整数になるときの最小値は何になるか。また、それを与える (x1,x2,x3,x4) を一組
示して下さい。


(2) x1、x2、x3、x4 が x1<x2<x3<x4 を満たす正の実数である時、

 A4=sqrt((x1+x2+x3+x4)*(1/x1+1/x2+1/x3+1/x4))

が正の整数になるときの最小値は何になるか。また、それを与える (x1,x2,x3,x4) を一組
示して下さい。


 らすかるさんからのコメントです。(令和5年7月17日付け)

(1)(2) 0<a<b<c<d のとき、

(a+b+c+d)(1/a+1/b+1/c+1/d)

=4+(a/b+b/a)+(a/c+c/a)+(a/d+d/a)+(b/c+c/b)+(b/d+d/b)+(c/d+d/c)

>4+2+2+2+2+2+2=16

なので、 a4>4 、A4>4

よって、最小値は、a4=A4=5 であり、(x1,x2,x3,x4) =(6,15,28,35) のとき、

a4=A4=5


 GAI さんからのコメントです。(令和5年7月17日付け)

 2023年7月、千葉の幕張メッセで国際数学オリンピックが開催されたそうで、そこで出題
された問題の中に(6問中の問題 4)

 x1、x2、・・・、x2023 を相異なる正の実数とする。任意の n=1、2、・・・、2023 に対して、

 an=sqrt((x1+x2+・・・+xn)*(1/x1+1/x2+・・・+1/xn))

が整数であるとき、a2023≧3034 が成り立つことを示せ。

が問われたという。

 らすかるさんが示されたように、

a2023^2=(x1+x2+・・・+x2023)*(1/x1+1/x2+・・・+1/x2023)

=1+1+・・・+1+(x1/x2+x2/x1)+(x1/x3+x3/x1)+・・・+(x2022/x2023+x2023/x2022)

>2023+2*2023C2=2023+2*2023*2022/2=2023^2

よって、 a2023>2023 より、a2023≧2024 とならないんだろうかと疑問に思いました。

 3034ってどこから現れるんだろうか?


(コメント) 正の数 a、b に対して、(9a+1/b)(b+1/(4a))の最小値が6ではなく、25/4
      であるという現象と同じですかね?


 らすかるさんからのコメントです。(令和5年7月17日付け)

 その計算は、「a2023が整数であるとき、a2023≧2024」を示していますね。これはこれで
正しいのですが、元の問題は、

 「n=1〜2023すべてに対して、an が整数になる」

という条件が付いていますので、違いますね。そして、単に違うだけでなく、かなり難しいです。


 DD++ さんからのコメントです。(令和5年7月18日付け)

 こんな感じですかね?

 見通しをよくするため、

a[n]=√(b[n]*c[n]) 、b[n] = x[1] + x[2] + …… + x[n] 、c[n] = 1/x[1] + 1/x[2] + …… + 1/x[n]

と書くことにします。

 1≦n≦2021 である任意の自然数 n について、

a[n+2]^2= b[n+2]*c[n+2]= (b[n]+x[n+1]+x[n+2]) * (c[n]+1/x[n+1]+1/x[n+2])

= b[n]*c[n] + b[n]/x[n+1] + c[n]*x[n+1] + b[n]/x[n+2] + c[n]*x[n+2]

+ x[n+1]/x[n+2] + x[n+2]/x[n+1] + 2

≧ b[n]*c[n] + 4√(b[n]*c[n]) + 4

(全ての項が正なので、第 2、3 項、第 4、5 項、第 6、7 項でそれぞれ相加相乗平均の関係
を用いた)

= a[n]^2 + 4a[n] + 4 = (a[n] + 2)^2

が成り立ちます。a[n] および a[n+2] は明らかに正の数なので、これは a[n+2] ≧ a[n] + 2

を意味します。さて、ここで等号成立条件を考えます。

 条件は、

b[n]/x[n+1] = c[n]*x[n+1] かつ b[n]/x[n+2] = c[n]*x[n+2] かつ x[n+1]/x[n+2] = x[n+2]/x[n+1]

です。

 しかし、x[n+1] と x[n+2] は異なる正の実数なので、3 つめの条件は絶対に成立しません。

ゆえに、a[n+2] ≧ a[n] + 2 という不等式の等号が成立することは絶対になく、さらに a[n+2]

も a[n] も整数であることから、a[n+2] ≧ a[n] + 3 が必ず成立すると言えます。

したがって、

 a[2023] ≧ a[2021] + 3 ≧ a[2019] + 6 ≧ …… ≧ a[1] + 3*1011≧ a[1] + 3033 = 3034

が成り立ちます。


(コメント) なるほど!DD++ さん、分かりやすい証明をありがとうございます。


 GAI さんからのコメントです。(令和5年7月20日付け)

 よくこんな証明方法を思いつけますね。「a[n+2]≧a[n] + 3」を示すあたりの手際の良さに感
動です。ところで、この漸化式から、

a[1]=1 、a[2]=3 、a[3]≧4 、a[4]≧6 、a[5]≧7 、a[6]≧9 、a[7]≧10 、a[8]≧12
a[9]≧13 、a[10]≧15 、・・・・・・・・ 、a[2023]≧3034

と、一般に、全部等号にかえて数列を見ると、k=1、2、3、・・・ で、

 a[n]=3*k (n=2*kの時) 、a[n]=3*k-2 (n=2*k-1の時)

 これを、OEISで検索すると、「A032766」にヒットした。そこで、ここでのリンクで、

 Erich Friedman, Problem of the month November 2009

を見てみると、n=2023 と 3034 を結ぶ組合わせの解釈として

 超高層ビルに3台のエレベータが設置してあり、各エレベータが全部の階ではなく、指定さ

れたn回のフロアーしか止まらないことになっており、その3台の止まる場所を上手く設計し

ておけば、各どの階でも少なくとも2台のエレベータがやって来ていて、どの階からでも好き

な階にエレベータを乗り換えることなく移動が出来る最高のビルの高さを与える。

という。

 つまり、3台のエレベータが各4回ずつどこかのフロアーに止まることにして置おけば、そ

んな条件を満たすビルの高さは6階までは可能となる。

 同じく、

 3台のエレベータが各7個のフロアーに止まるという条件で設計すれば、最高10階ビルま

では可能となる。

ということで、3台のエレベータが各2023回止まる階を決めて置き、上手く運行すれば、超高

層ビルの3034階のどの階からでも効率よく他の階へのエレベータ移動は運行可能と教えて

くれる。


 GAI さんからのコメントです。(令和5年8月15日付け)

 上記で話題になった「エレベータ設置の設計」について、再度、問題提起です。

 9階建てのビルがあり、ここにどこかの3ヵ所の階にしか止まらない12台のエレベータを設
置することをする。

 各エレベータがどこの階に止まるのかを上手く組み合わせると、どの階にいても他の階に
行けるエレベータが必ずあって、各階には、4つのエレベータが運行している状態になる様
な設計が可能となります。

 そこで、その設計に挑戦してみて下さい。

 エレベータ E1、E2、・・・・・、E12 が止まる階を、3つそれぞれ指定してみてください。


 りらひいさんからのコメントです。(令和5年8月16日付け)

 このエレベータの問題よりもさらに厳しい条件の問題が、「私の備忘録」の「拡張カークマン
問題
」の中に、「プレカークマン問題」として載っています。

 プレカークマン問題の解は、より条件の緩いこのエレベータ問題の解としても適します。


 GAI さんからのコメントです。(令和5年8月16日付け)

 エレベータ問題とカークマンの女生徒問題は連動しているんですね。一般に、エレベータ
の総数を (2*n+1)*(3*n+1) で、各エレベータはどこかの階の3か所で稼働するように動くとき、
どの階からも他の階に行けるようになるためのビルの高さの最大数階は 6*n+3 となる。

 これを、f((2*n+1)*(3*n+1),3)=6*n+3 で表しておく。

 これより、n=1、2、3、4 で当てはめると、

n=1で12台のエレベータでは、9Fまでのビル(出題の問題)
n=2で35台のエレベータでは、15Fまでのビル(カークマンの女生徒の解を利用できる。)
n=3で70台のエレベータでは、21Fまでのビル
n=4で117台のエレベータでは、27Fまでのビル

に対して設計できる。

 また、他にも f(s^2+s,s)=s^2 のようなものも、エレベータ総数が s^2+s でビルの高さが s^2
階までの時は、各エレベータがどれも s 個の階だけしか止まらない動きをすれば、どんな階
からでも他の階へ行けるエレベータを運行できる。

 これより、s=2、3、4、5、6、7 から、

f(6,2)=4 、f(12,3)=9 、f(20,4)=16 、f(30,5)=25 、f(42,6)=36 、f(56,7)=49

 以前、「私の備忘録」の「拡張カークマン問題」で、りらひいさんが投稿されていた

方陣[※]
 0  1  2  3  4  5  6
 7  8  9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 32 33 34
35 36 37 38 39 40 41
42 43 44 45 46 47 48


魔方陣[1]
 3 34  9 40 15 46 21
28 10 41 16 47 22  4
11 35 17 48 23 5  29
36 18 42 24  6 30 12
19 43 25  0 31 13 37
44 26  1 32  7 38 20
27  2 33  8 39 14 45


魔方陣[2]
38  6 16 33 43 11 21
 0 17 34 44 12 22 39
18 28 45 13 23 40  1
29 46  7 24 41  2 19
47  8 25 35  3 20 30
 9 26 36  4 14 31 48
27 37  5 15 32 42 10


魔方陣[3]
17 13  2 47 36 32 21
 7  3 48 37 33 22 18
 4 42 38 34 23 19  8
43 39 28 24 20  9  5
40 29 25 14 10  6 44
30 26 15 11  0 45 41
27 16 12  1 46 35 31


の各方陣の各行、各列を利用させて貰うと、この f(56,7)=49 のモデルを作ることが出来まし
た。

 このモデルをつくっておけば、f(s^2-s+1,s)=s^2-s+1 での s=8 即ち、f(57,8)=57 でのモデル
全部で57台のエレベータを57階建てのビルに設置し、各エレベータがどこかの階の8ヵ所を
稼働するように上手く組み合わせておけば、どの階からも任意の階へ運行しているエレベ
ータが存在している設計が難なく出来る。

 したがって、りらひいさんの s:素数 での f(s^2+s,s)=s^2 のモデルを構成できる汎用的構成
方法を使えば、f((s+1)^2-(s+1)+1,s+1)=(s+1)^2-(s+1)+1 即ち、

f(13,4)=13 、f(31,6)=31 、f(57,8)=57 、f(133,12)=133 、f(183,14)=183 、f(307,18)=307
f(381,20)=381 、f(553,24)=553 、f(871,30)=871 、f(993,32)=993 、f(1407,38)=1407
f(1723,42)=1723 、f(1893,44)=1893 、f(2257,48)=2257 、・・・・・・・・・・・

のモデルも順次作っていける。(こんなものを試行錯誤で作ることは、殆んど望めない。)



  以下、工事中!



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