・GCDとLCMの連立方程式                 GAI 氏

(1) 自然数 A、B (A<B) があり、gcd(A,B)=84 、lcm(A,B)=3528 であるとき、A、B は?

(2) 自然数 A、B、C (A<B<C) があり、gcd([A,B,C])=12 、lcm([A,B,C])=144 であるとき、
  A、B、C は?

(3) 自然数 A、B、C (A<B<C) があり、gcd([A,B,C])=12 、lcm([A,B,C])=720 であるとき、
  A、B、C は?


(コメント) 

(1) A=12a、B=12b (a、b は互いに素)とおくと、

   3528=84abc すなわち、 abc=42

 a、b は互いに素で、a<b に注意すれば、起こり得る場合は、

 (a,b)=(1,42)、(2,21)、(3,14)、(6,7)

 よって、(A,B)=(84,3528)、(168,1764)、(252,1176)、(504,588)

(2) A=12a、B=12b、C=12c (a、b、c のうち任意の2つは互いに素)とおくと、

   144=12abc すなわち、 abc=12

 a、b、c のうち任意の2つは互いに素で、a<b<c に注意すれば、起こり得る場合は、

 (a,b,c)=(1,3,4) より、(A,B,C)=(12,36,48)

(3) A=12a、B=12b、C=12c (a、b、c のうち任意の2つは互いに素)とおくと、

   720=12abc すなわち、 abc=60

 a、b、c のうち任意の2つは互いに素で、a<b<c に注意すれば、起こり得る場合は、

 (a,b,c)=(1,3,20)、(1,4,15)、(1,5,12)

 よって、(A,B,C)=(12,36,240)、(12,48,180)、(12,60,144)


 GAI さんからのコメントです。(令和4年11月2日付け)

 解は意外と多くて、(2)は、

1;(12,24,144)   2;(12,36,48)   3;(12,36,144)   4;(12,48,72)   5;(12,48,144)
 
6;(12,72,144) 7;(24,36,48) 8;(24,36,144) 9;(36,48,72) 10;(36,48,144)

 (3)は、

1;(12,24,720) 2;(12,36,240) 3;(12,36,720) 4;(12,48,180) 5;(12,48,360)
6;(12,48,720) 7;(12,60,144) 8;(12,60,720) 9;(12,72,240) 10;(12,72,720)
11;(12,120,144) 12;(12,120,720) 13;(12,144,180) 14;(12,144,240) 15;(12,144,360)
16;(12,144,720) 17;(12,180,240) 18;(12,180,720) 19;(12,240,360) 20;(12,240,720)
21;(12,360,720) 22;(24,36,240) 23;(24,36,720) 24;(24,48,180) 25;(24,60,144)
26;(24,60,720) 27;(24,144,180) 28;(24,180,240) 29;(24,180,720) 30;(36,48,60)
31;(36,48,120) 32;(36,48,180) 33;(36,48,240) 34;(36,48,360) 35;(36,48,720)
36;(36,60,144) 37;(36,60,240) 38;(36,60,720) 39;(36,72,240) 40;(36,120,144)
41;(36,120,240) 42;(36,120,720) 43;(36,144,240) 44;(36,180,240) 45;(36,240,360)
46;(36,240,720) 47;(48,60,72) 48;(48,60,144) 49;(48,60,180) 50;(48,60,360)
51;(48,60,720) 52;(48,72,180) 53;(48,120,180) 54;(48,144,180) 55;(48,180,240)
56;(48,180,360) 57;(48,180,720) 58;(60,72,144) 59;(60,72,240) 60;(60,72,720)
61;(60,120,144) 62;(60,144,180) 63;(60,144,240) 64;(60,144,360) 65;(60,144,720)
66;(72,180,240) 67;(120,144,180) 68;(144,180,240)    

だけ存在できます。

 この解の個数は、

 gcd(A,B,C)=G 、lcm(A,B,C)=L で、A=a*G、B=b*G、C=c*G  ((a,b,c)は互いに素) とする

とき、 gcd([a,b,c])==1 かつ lcm([a,b,c])==L/G を満たす(a,b,c)の組合せが存在する数と

対応しています。

 (2)なら、 144/12=12 、(3)なら、 720/12=60 ですので、

 (2) gcd([a,b,c])==1 かつ lcm([a,b,c])=12

 (3) gcd([a,b,c])==1 かつ lcm([a,b,c])==60

でその組合せが決まり、それぞれから、10通り 、68通り が生じてきます。

 A、Bの2つでの場合しか経験してなかったので、3つの場合を調べていて、こんなにも多く
存在することに驚いてしまいました。

 このことから、L/Gの値が解の個数の決め手になっていることが面白く感じたので、s=L/G
の値で、解の個数が如何ほどか調査してみたら、100までのもので、

s; 解の個数
 1;  0 21;  4 41;  0 61;  0  81;  3
 2;  0 22;  4 42; 32 62;  4  82;  4
 3;  0 23;  0 43;  0 63; 10  83;  0
 4;  1 24; 16 44; 10 64;  5  84; 68
 5;  0 25;  1 45; 10 65;  4  85;  4
 6;  4 26;  4 46;  4 66; 32  86;  4
 7;  0 27;  2 47;  0 67;  0  87;  4
 8;  2 28; 10 48; 22 68; 10  88; 16
 9;  1 29;  0 49;  1 69;  4  89;  0
10;  4 30; 32 50; 10 70; 32  90; 68
11;  0 31;  0 51;  4 71;  0  91;  4
12; 10 32;  4 52; 10 72; 34  92; 10
13;  0 33;  4 53;  0 73;  0  93;  4
14;  4 34;  4 54; 16 74;  4  94;  4
15;  4 35;  4 55;  4 75; 10  95;  4
16;  3 36; 22 56; 16 76; 10  96; 28
17;  0 37;  0 57;  4 77;  4  97;  0
18; 10 38;  4 58;  4 78; 32  98; 10
19;  0 39;  4 59;  0 79;  0  99; 10
20; 10 40; 16 60; 68 80; 22 100; 22


 100倍までは、s=60、84、90 で、最も多く 68通り

 このことは、gcd(A.B,C)=G の値が何であれ、例えば、

gcd(A.B,C)=8 、lcm(A,B,C)=8*60=480

gcd(A.B,C)=10 、lcm(A,B,C)=10*60=600

gcd(A.B,C)=11 、lcm(A,B,C)=11*84=924

gcd(A.B,C)=16 、lcm(A,B,C)=16*90=1440

 それぞれを満たす解の個数は、すべて68通り存在することができます。

 この同じ68の値を発生させるsの特徴は、

 60=2^2*3*5 、84=2^2*3*7 、90=2*3^2*5

で、一般に、素数 p、q、r で、 p^2*q*r 型 で示されます。

 このことから、sの数字の特徴が、sの素因数構造で分類できることが起こせます。

 sを1000まで延長させて分類すると、(以下 p、q、r、s は素数です。大小を問いません。)

s=p^(k+1) ->k(k=0,1,2,・・・)
s=p*q ->4
s=p^2*q ->10
s=p^3*q ->16
s=p^4*q(またはq^2*q^2) ->22
s=p^5*q ->28
s=p^6*q ->34
s=p^7*q ->40
s=p^4*q^2(またはp^8*q) ->46
s=p^5*q^2 ->58
s=p^4*q^3(またはp^6*q^2) ->70
s=p^5*q^3 ->88
s=p*q*r ->32
s=p^2*q*r ->68
s=p^3*q*r ->104
s=q^4*q*r(またはp^2*q^2*r) ->140
s=p^5*q*r ->176
s=p^3*q^2*r ->212
s=p^4*q^2*r ->284
s=p*q*r*s ->208
s=p^2*q*r*s ->424
s=p^3*q*r*s ->640

の様な対応がつけられました。


 らすかるさんからのコメントです。(令和4年11月2日付け)

 法則を見つけただけで証明はしていませんが、上の計算は、

 n=(素数の種類の数)、m=(各素因数の指数の積) とすると、 s=6^(n-1)×m - 2^(n-1)
と表されますね。


 GAI さんからのコメントです。(令和4年11月2日付け)

  お〜〜!!こんな式で統一できるんだ。

 途中で、p^4*q と p^2*q^2、p^6*q と p^3*q^2、p^4*q^3 と p^6*q^2 などが同じ数字が対応
してきていたので、不思議に感じていました。こんな背景があったのですね。


(コメント) (2)で、 A=12a、B=12b、C=12c (a、b、c のうち任意の2つは互いに素)
      とおいて、 144=12abc すなわち、 abc=12 から、
        (a,b,c)=(1,3,4) より、(A,B,C)=(12,36,48)


は、誤った計算でした。正しくは、

 A=12a、B=12b、C=12c (a、b、c は互いに素) とおいて、

 144=12×lcm(a,b,c) としなければならない。

 lcm(a,b,c)=12 から、起こり得る場合を列挙すれば、

 (a,b,c)=(1,2,12)、(1,3,4)、(1,3,12)、(1,4,6)、(1,4,12)、
        (1,6,12)、(2,3,4)、(2,3,12)、(3,4,6)、(3,4,12)

なので、

 (A,B,C)=(12,24,144)、(12,36,48)、(12,36,144)、(12,48,72)、
         (12,48,144)、(12,72,144)、(24,36,48)、(24,36,144)、
         (36,48,72)、(36,48,144)

となる。(3)も同様です。


 らすかるさんからのコメントです。(令和4年11月3日付け)

 全くの勘であって確認していませんが、

 3数A、B、C で、 6^(n-1)×m - 2^(n-1) = 3!^(n-1)×m - 2!^(n-1) ならば、

 4数A、B、C、D の場合は、 4!^(n-1)×m - 3!^(n-1) = 24^(n-1)×m - 6^(n-1) かも?

#その理屈だと、2数の場合に、2!^(n-1)×m-1!^(n-1)=2^(n-1)×m-1 となりますが、
 (84,3528)のときに合わないので違いますね。


 GAI さんからのコメントです。(令和4年11月4日付け)

 4数A、B、C、Dの場合 p^n->1/2*(n-1)*(n-2) (n≧3)

p*q->1
p^2*q->13
p^3*q->39
p*q*r->64
p^2*q^2->70
p^4*q->79
p^5*q->133
p^3*q^2->177
p^6*q->201
p^7*q->283
p^2*q*r->304
p^4*q^2->332
p^8*q->379
p^3*q^3->425
p^5*q^2->541
p^3*q*r->740
p^4*q->783
p^6*q^2->798
p^2*q^2*r->1246
p^5*q^3->1251
p*q*r*s->1284
p^4*q*r->1372
p^5*q*r->2200
p^3*q^2*r->2888
p^6*q*r->3224
p^2*q^2*r^2->4780
p^2*q*r*s->5076
p^4*q^2*r->5230
p^3*q*r*s->11612

なる対応になると思いますが・・・。その他のパターンは、0が対応しています。
(重複部分は解消されます。)


 らすかるさんからのコメントです。(令和4年11月4日付け)

 4数になると、ずいぶんと複雑になるのですね。「全くの勘」は完全にはずれでした。

 素因数2種類、3種類の一般式は、

  p^m*q^n → 6(mn)^2+m^2+n^2-9mn+2

  p^l*q^m*r^n → 70(lmn)^2+14{(lm)^2+(mn)^2+(nl)^2}-54(lm+mn+nl-l-m-n)-48

あたりでしょうか。
(l、m、n>1 の場合は、例が一つしかなかったので、l=m=n=2 以外では正しくないかも知れ
ません)


 GAI さんからのコメントです。(令和4年11月4日付け)

<追加データ>

p^3*q^2*r->2888
p^3*q^2*r^2->10814
p^4*q^2*r->5230
p^4*q^2*r^2->19348
p^4*q^3*r->11804
p^4*q^3*r^2->43166
p^4*q^3*r^3->95868
p^5*q^2*r->8272
p^5*q^2*r^2->30382
p^5*q^3*r->18572
p^5*q^3*r^2->67592
p^5*q^3*r^3->149832
p^5*q^4*r->33100
p^5*q^4*r^2->119902
p^5*q^4*r^3->265292
p^5*q^4*r^4->469270
p^5*q^5*r->51856
p^5*q^5*r^2->187312
p^5*q^5*r^3->413972
p^5*q^5*r^4->731836


 らすかるさんからのコメントです。(令和4年11月4日付け)

 時間がかかりましたが、ようやく素因数3種類の一般式が出せました。

  p^l*q^m*r^n → (1/3){(6l^2+1)(6m^2+1)(6n^2+1)+11}-54lmn

という比較的綺麗な式になりました。これにならうと、素因数2種類の一般式は、

  p^m*q^n → (1/6){(6m^2+1)(6n^2+1)+11}-9mn

となり似たような形になります。

 両方とも「11」という定数が含まれているのが面白いですね。

 この形から素因数4種類の一般式を数少ないデータを使って予想すると、

  p^k*q^l*r^m*s^n → (2/3){(6k^2+1)(6l^2+1)(6m^2+1)(6n^2+1)+11}-324klmn

 それにより完全な一般式は素因数n種類で、指数が a[1]、a[2]、…、a[n] のとき

  (1/24){(2^n)(Π{6(a[k])^2+1}+11)-(6^(n+1))Πa[k]}

となりそうで、これは素因数が1種類の場合も正解と一致しています。


 GAI さんからのコメントです。(令和4年11月4日付け)

 自分も、一般式が構成出来ないものかと、らすかるさんが見つけられた様式を参考にあれ
これ挑戦していたんですが、係数が分数になったり、素数の指数と上手く連動しなかったりと、
ほとんど絶望状態でした。

 ほんの一部で、i=1、2、3、・・・ で、

p^i*q^i->(2*i^2-1)*(3*i^2-2)
p^i*q*r->98*i^2-54*i+20
p^i*q->7*i^2-9*i+3
p^m*q^2->25*m^2-18*m+6 (m=2,3,4,・・・)
p^n*q^3->55*n^2-27*n+11 (n=3,4,5,・・・)

などの個別の式でした。

 これを一気に記述できる一般式に到達出来ることが物凄いです。論理的に攻めて行ける
ものなのですか?それとも何となくこんな式なのかと直感的に予測していくのですか?

 自分なりにあれこれ挑戦した感覚として、こんな式のあり様がどこから考えてこれるのか、
とても不思議です。


 らすかるさんからのコメントです。(令和4年11月4日付け)

 式の形は無数にありますので、「何となくこんな式なのかと直感的に予測」はほとんど無理
ですね。

 特別な場合の式を立て、それを統合する式を考えていってすべて論理的に攻めてます。
今回の場合は、「l,m,nに関して対称」ということがかなり使えました。



  以下、工事中!



              投稿一覧に戻る