・絶対値の不定積分                    らすかる氏

 次の絶対値の付いた多項式関数の不定積分を求めよ。

  ∫|6x^2-18x+12|dx


(コメント) 高校生のときに、以下の計算をした覚えがあります。

 |x|x=±x^2 なので、両辺を微分すると、(|x|x)’=±2x=2|x| と書ける。

よって、 ∫2|x|dx=|x|x2 となる。

 絶対値のついた不定積分の問題はほとんど出題されないと思いますが、上記の計算をな
ぜか不思議な感覚になったことを覚えています。


 らすかるさんから解答をいただきました。(令和4年8月16日付け)

 ∫|6x^2-18x+12|dx=(2x^3-9x^2+12x)-|x-1|(2x^2-7x+5)+|x-2|(2x^2-5x+2)+C

となります。

 この問題については、最近考えたのですが、一般の絶対値付き多項式の不定積分は、以
下のようになります。

 n次多項式 f(x) に対する ∫|f(x)|dx の解は、

F(x)=
∫f(x)dx (n次の係数が正の場合)
-∫f(x)dx (n次の係数が負の場合)   (積分定数は何でも可)

G(x,α)は、{F(x)-F(α)}÷(x-α) の商

# G(x,α)={F(x)-F(α)}/(x-α) とすると、x=αで定義されないのでNG。G(x,α)は、F(x)-F(α)
 を(x-α)で割った商とする必要があります。

 そして、f(x)=0 の実数解のうちx軸を横切る解(つまり、f(x)=0、f(x+ε)f(x-ε)<0 であるx)
を小さい順に、a[1]、a[2]、…、a[m] とすると、

 mが偶数のとき、 ∫|f(x)|dx = F(x)+Σ[k=1〜m](-1)^k・|x-a[k]|・G(x,a[k])

 mが奇数のとき、 ∫|f(x)|dx = Σ[k=1〜m](-1)^(k-1)・|x-a[k]|・G(x,a[k])  

となります。(いずれも積分定数省略)

(m=0 のときは、∫|f(x)|dx=F(x)+C です。)


(コメント) 素朴に、

 x<1、x>2 のとき、 ∫|6x^2-18x+12|dx=2x^3-9x^2+12x+C

 1≦x≦2 のとき、 ∫|6x^2-18x+12|dx=-2x^3+9x^2-12x+C

では駄目なんですかね?

 強いて結果に絶対値を用いることに拘れば、

 ∫|6x^2-18x+12|dx=|x^2-3x+2|(2x-3)+2|x-1|+|x-2|+C

でしょうか?


 らすかるさんからのコメントです。(令和4年8月17日付け)

 f(x)=|x^2-3x+2|(2x-3)+2|x-1|+|x-2| とおくと、 f(3/4)=41/32 、f(1)=1 となって減少してい
ますので、ちょっと違うようです。


(コメント) 確かに、∫|6x^2-18x+12|dx=|x^2-3x+2|(2x-3)+2|x-1|+|x-2|+C は駄目ですね!
      右辺が、x=1、2で微分可能とはなっていないから。


 GAI さんからのコメントです。(令和4年8月18日付け)

 aを正の数とするとき、∫[-a,a]|x^2+x-2|dx を計算せよ。

これに対して、この不定積分公式で処理すればどの様になるのですか?


 らすかるさんからのコメントです。(令和4年8月18日付け)

 f(x)=x^2+x-2=(x+2)(x-1) なので、f(x)=0 の解は、x=-2、1 (つまり、m=2、a[1]=-2、a[2]=1)

 F(x)=∫f(x)dx=x^3/3+x^2/2-2x ※定数項は0とする

 G(x,-2)={F(x)-F(-2)}/(x+2)
={(x^3/3+x^2/2-2x)-(-8/3+2+4)}/(x+2)=(2x^3+3x^2-12x-20)/(x+2)=(2x^2-x-10)/6

 G(x,1)={F(x)-F(1)}/(x-1)
={(x^3/3+x^2/2-2x)-(1/3+1/2-2)}/(x-1)=(2x^3+3x^2-12x+7)/{6(x-1)}=(2x^2+5x-7)/6

 mは偶数なので、

∫|f(x)|dx=F(x)+Σ[k=1〜m](-1)^k・|x-a[k]|・G(x,a[k])+C
=(x^3/3+x^2/2-2x)-|x+2|(2x^2-x-10)/6+|x-1|(2x^2+5x-7)/6+C
={2x^3+3x^2-12x-|x+2|(2x^2-x-10)+|x-1|(2x^2+5x-7)}/6+C

よって、

∫[-a,a]|x^2+x-2|dx
={2a^3+3a^2-12a-|a+2|(2a^2-a-10)+|a-1|(2a^2+5a-7)}/6
                  -{-2a^3+3a^2+12a-|-a+2|(2a^2+a-10)+|-a-1|(2a^2-5a-7)}/6
={4a^3-24a-|a+2|(2a^2-a-10)-|a+1|(2a^2-5a-7)+|a-1|(2a^2+5a-7)+|a-2|(2a^2+a-10)}/6
={4a^3-24a-(a+2)(2a^2-a-10)-(a+1)(2a^2-5a-7)+|a-1|(2a^2+5a-7)+|a-2|(2a^2+a-10)}/6 (∵a>0)
={27+|a-1|(2a^2+5a-7)+|a-2|(2a^2+a-10)}/6


 GAI さんからのコメントです。(令和4年8月18日付け)

 今までは、グラフ等を利用し、aによって場合分けをして

 0<a≦1 なら、-2/3*a^3+4*a
 1≦a≦2 なら、a^2+7/3
 2≦a なら、2/3*a^3-4*a+9

と個別に答えていたと思います。

 この公式により、3つの場合に分けて記述していたものが、

  {27+|a-1|*(2*a^2+5*a-7)+|a-2|*(2*a^2+a-10)}/6

の一つの式だけで済ませれるのか!
(上記の3つの式から、この式を思いつくのは至難の技だが、下の絶対値を含む式から上記
の3つの式を導くのは容易い。)


 Dengan kesaktian Indukmu さんからのコメントです。(令和4年8月20日付け)

 ガウス記号を含む関数の【定積分】についてはなんとかなるにしても、ガウス記号の【不定
積分】ついてはなんとかなるとは思えないのです。


 らすかるさんからのコメントです。(令和4年8月20日付け)

 ガウス記号も何とかなると思います。

 例えば、[x]の不定積分は、(2x-[x]-1)[x]/2+C と書けます。



  以下、工事中!



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