・ 階段の真実 S.H氏
普段何も気に留めないものに「階段」がある。登ったり降りたり出来ればいいわけで、そ
のためにあるもののはずである。階段の勾配がきついとか幅が狭いとかいろいろあるか
もしれないが、「そんなものだ!」と万人を納得させてしまう魔力が階段にはある。
我が家では階段下に電話台があるので長電話の時などは椅子代わりにもなるし、しば
しの本棚にもなったりで大活躍であるが、「段差のある家具」という感覚で、あまり階段が
どうのこうのということもない。
最近読んだ本によれば、大工さんは次の方程式・不等式を念頭に置いて階段を作るら
しい。
左図の x 、y について、 x + 2y = 20寸 48寸 ≦ xy ≦ 50寸 |
この方程式・不等式を解くと、 8寸 ≦ x ≦ 12寸 、 4寸 ≦ y ≦
6寸 となる。
1寸は約3.03 cmなので、単位を cm に換算すれば、
24.24cm ≦ x ≦ 36.36cm 、12、12cm ≦ y
≦ 18.18cm
となる。皆さんのお宅では、こんな数字の範囲におさまっているでしょうか?
因みに、我が家の階段を測定すると、概算で、 x=24cm 、y=22.3cm であった。
本によれば楽な階段のステップとして、 x=8寸=24.24cm 、y=6寸=18.18cm
が望ましいらしい。そのときの傾斜角は、 θ=36°52’ である。
この理想値に比べると、我が家の階段は勾配が急であることが分かった。何と傾斜角は
42°54’くらい! 狭い敷地に我が家を作った大工さんの苦労がしのばれる。
(参考文献:高野一夫 著 数学のあたま (講談社))