・計算方法は?                            GAI 氏

 S=1*(1/2^2-1/3^2+1/4^2-1/5^2+・・・)
    -1/2*(1/3^2-1/4^2+1/5^2-1/6^2+・・・)
       +1/3*(1/4^2-1/5^2+1/6^2-1/7^2+・・・)
          -1/4*(1/5^2-1/6^2+1/7^2-1/8^2+・・・)
             +1/5*(1/6^2-1/7^2+1/8^2-1/9^2+・・・)
                -1/6*(1/7^2-1/8^2+1/9^2-1/10^2+・・・)
                   +・・・・・・・・・・・・・・

が、どの様な極限値を有するのか知りたいのですが?計算方法が知りたいです。


 らすかるさんからのコメントです。(令和3年12月10日付け)

 WolframAlphaで計算すると、括弧内は、

  (HurwitzZeta[2,n/2]-HurwitzZeta[2,(1+n)/2])/4

と表せることがわかります。先頭行をn=1にすると、

  (HurwitzZeta[2,(1+n)/2]-HurwitzZeta[2,(2+n)/2])/4

です。

 これを使って単純に式を書いても時間制限で計算してくれませんので、を整理すると、
0.150257と計算されます。

 しかし、これでは精度が悪いのであれこれ工夫して、

  0.1502571128949492856749672701889312488456232

まで求め、この値を検索したところ、

  ζ(3)/8=0.1502571128949492856749672701889312488456232865425623602240339444…

となるようですね。


 GAI さんからのコメントです。(令和3年12月10日付け)

 たまたまPARIのマニュアルを読んでいるとき、

gp > polylogmult([2,1],[-1,1])
%275 = 0.15025711289494928567496727018893124885

なるコマンドとその計算結果を見た。そこでこの数値はどんなものなのかの疑問が湧いた。

 コマンドの意味が、

polylogmult([s1,s2,・・・,sr],[z1,z2,・・・,zr])=納n1 > ... > nr > 0] ?[1 ? i ? r](zi^ni/ni^si).

と解説があったので、

polylogmult([2,1],[-1,1])
=(n1>n2>0)((-1)^n1/n1^2)*(1^n2/n2^1))
=納(n1,n2)=(2,1),(3,1),・・・,(3,2),(4,2),・・・,(4,3),(5,3),・・・・・](-1)^n1/n1^2*1/n2

これが次の計算で、

S=1*(1/2^2-1/3^2+1/4^2-1/5^2+・・・)
    -1/2*(1/3^2-1/4^2+1/5^2-1/6^2+・・・)
       +1/3*(1/4^2-1/5^2+1/6^2-1/7^2+・・・)
          -1/4*(1/5^2-1/6^2+1/7^2-1/8^2+・・・)
             +1/5*(1/6^2-1/7^2+1/8^2-1/9^2+・・・)
                -1/6*(1/7^2-1/8^2+1/9^2-1/10^2+・・・)
                   +・・・・・・・・・・・・・・

の姿となった。はて、これはどの様に計算したらいいのだろうとの思いで質問していました。

 色々試していて、次の様に考えてみました。

 1+1/2^2+1/3^2+1/4^2+・・・=zeta(2) で、

 1-1/2^2+1/3^2-1/4^2+・・・
=zeta(2)-2*(1/2^2+1/4^2+1/6^2+・・・)
=zeta(2)-2*1/2^2*(1+1/2^2+1/3^2+・・・)
=zeta(2)-1/2*zeta(2)
=1/2*zeta(2)
=Pi^2/12

従って、 (1/2^2-1/3^2+1/4^2-1/5^2+・・・)=1-Pi^2/12

同じく、

(1/4^2-1/5^2+1/6^2-1/7^2+・・・)=(1-1/2^2+1/3^2)-Pi^2/12

(1/6^2-1/7^2+1/8^2-1/9^2+・・・)=(1-1/2^2+1/3^2-1/4^2+1/5^2)-Pi^2/12

  ・・・・・・・・・

また一方、

(1/3^2-1/4^2+1/5^2-1/6^2+・・・)=Pi^2/12-(1-1/2^2)

(1/5^2-1/6^2+1/7^2-1/8^2+・・・)=Pi^2/12-(1-1/2^2+1/3^2-1/4^2)

(1/7^2-1/8^2+1/9^2-1/10^2+・・・)=Pi^2/12-(1-1/2^2+1/3^2-1/4^2+1/5^2-1/6^2)

 これらのことから、次の様にプログラムしてみた。

gp > S0(m)=1/(2*m-1)*(sum(k=1,2*m-1,(-1)^(k+1)/k^2)-Pi^2/12)
gp > S1(m)=1/(2*m)*(Pi^2/12-sum(k=1,2*m,(-1)^(k+1)/k^2))
gp > S(m)=(S0(m)-S1(m))

と定義してやれば、

gp > for(k=1,4,print(k";"sum(m=1,10^k,S(m))))
1;0.15022960088947456693530279508654287198
2;0.15025708203399827134173803229840881490
3;0.15025711286373833253631103334613505176
4;0.1502571128949 1803958106100651861887697

と、1〜10^4までの和で小数点13位までの値が一致した。

 私もOEISを使ってヒットさせると、「A276712」が面白いことに、この極限値がzeta(3)の1/8
となることがわかった。


 GAI さんからのコメントです。(令和3年12月11日付け)

 polylogmult([2,1],[-1,1])の計算量が、zeta(3)/8と一致することが面白かったので、では、
zeta(2)/8がどんなもので起こるのか調べてみた。

 PARIのコマンドで、

  polylog(m,x)=x+x^2/2^m+x^3/3^m+x^4/4^m+x^5/5^m+・・・

という機能があるので、xに虚数単位Iを使い、m=2と指定してやると、

 polylog(2,I)=I-1/2^2-I/3^2+1/4^2+I/5^2-1/6^2-I/7^2+1/8^2+I/9^2-・・・

 これを実数分だけに着目すれば、

-1/2^2+1/4^2-1/6^2+1/8^2-・・・
=-1/2^2*(1-1/2^2+1/3^2-1/4^2+・・・)
=-1/4*(Pi^2/12)
=-Pi^2/48
=-(Pi^2/6)/8
=-zeta(2)/8

が起きる。即ち、 real(-polylog(2,I))=zeta(2)/8

 更に、この値が一般に自然数nを素因数分解したときに素数3が何個含まれるかをa(n)と
して置けば、

  zeta(2)/8=納n=1,∞]a(n)/n^2

であるという。つまり、

Pi^2/48=0/1+0/2^2+1/3^2+0/4^2+0/5^2+1/6^2+0/7^2+0/8^2+2/9^2+0/10^2+
        0/11^2+1/12^2+0/13^2+0/14^2+1/15^2+0/16^2+0/17^2+2/18^2+0/19^2+0/20^2+
        1/21^2+0/22^2+0/23^2+1/24^2+0/25^2+0/26^2+3/27^2+0/28^2+0/29^2+1/30^2+
        ・・・・・・・・・・・・・・・

が起こるという。なんという不思議さか!


 らすかるさんからのコメントです。(令和3年12月11日付け)

 これは、

納n=1,∞]a(n)/n^2 = (1/3^2+1/6^2+1/9^2+…)+(1/9^2+1/18^2+1/27^2+…)
             +(1/27^2+1/54^2+1/81^2+…)+・・・
           =(1/3^2)(1/1^2+1/2^2+1/3^2+…)+(1/9^2)(1/1^2+1/2^2+1/3^2+…)
            +(1/27^2)(1/1^2+1/2^2+1/3^2+…)+・・・
           =(1/3^2+1/9^2+1/27^2+1/81^2+…)zeta(2)
           =(1/(3^2-1))zeta(2)
           =(1/8)zeta(2)=zeta(2)/8=π^2/48

のように計算できますね。同じように考えると、

素因数5ならば、

 (1/(5^2-1))zeta(2)=zeta(2)/24=π^2/144

素因数7ならば、

 (1/(7^2-1))zeta(2)=zeta(2)/48=π^2/288

  ・・・


 at さんからのコメントです。(令和3年12月21日付け)

S=1*(1/2^2-1/3^2+1/4^2-1/5^2+・・・)
    -1/2*(1/3^2-1/4^2+1/5^2-1/6^2+・・・)
       +1/3*(1/4^2-1/5^2+1/6^2-1/7^2+・・・)
          -1/4*(1/5^2-1/6^2+1/7^2-1/8^2+・・・)
             +1/5*(1/6^2-1/7^2+1/8^2-1/9^2+・・・)
                -1/6*(1/7^2-1/8^2+1/9^2-1/10^2+・・・)
                   +・・・・・・・・・・・・・・

において、 H[n]=Σ[k=1,n](1/k) とします。Sは、次のように計算できます。

S=Σ[k=1,∞](1/k)*Σ[n=k+1,∞](-1)^n/n^2

 =Σ[n=2,∞]Σ[k=1,n-1](1/k)*(-1)^n/n^2

 =Σ[n=2,∞]((-1)^n/n^2)*Σ[k=1,n-1](1/k)

 =Σ[n=2,∞]((-1)^n/n^2)*H[n-1]

 =Σ[n=2,∞]((-1)^n/n^2)*(H[n]-1/n)

 =Σ[n=1,∞]((-1)^n/n^2)*(H[n]-1/n)

 =Σ[n=1,∞]((-1)^n/n^2)*H[n] - Σ[n=1,∞](-1)^n/n^3)

 =-(5/8)*ζ(3) - (-3/4)*ζ(3)

 =(1/8)*ζ(3).

 Σ[n=1,∞]((-1)^n/n^2)*H[n]=-(5/8)*ζ(3) の証明がこちらにあります。
(answered Sep 20 '13 at 16:15 の投稿。robjohn という回答者が巧妙な式変形で解決して
います。)

 S=Σ[n=1,∞]((-1)^(n+1)/(n+1)^2)*H[n] であることと、H[n]の生成関数が、

 Σ[n=1,∞]H[n]*x^n = -log(1-x)/(1-x)

であることとから、 S=(1/2)*∫[x=0,1]((log(1+x))^2/x)dx

∫[x=0,1]((log(1+x))^2/x)dx = (1/4)*ζ(3) の証明がこちらにあります。



  以下、工事中!



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