・2022ネタ準備        Dengan kesaktian Indukmu 氏

《問》 下記の 3 つの立方数の総和を計算して、素因数分解すると…どうなるでしょうか。

  (2021^4)^3 + {(2021^1)*(3^506) - (2021^4)}^3 + {(3^674) - (2021^3)*(3^169)}^3


■観賞のポイント

・西暦 2021 にちなんで 2021 の巾乗が沢山登場。
・3の巾乗も沢山登場。
・それらを、掛けたり足し引きしたものの立方数を3つ作って、総和を取る。


《答》 3^2022


■本当の観賞のポイント

 実は一部、インチキです。恒等式を使いました。

   (n^4)^3+{n*(3^506)-n^4}^3+{(3^674)-n^3*(3^169)}^3 = 3^2022

 上式の n に 2021 を入れたから凄そうに見えただけです。

 じゃあ、都合よく 3^2022 が答えになるような、 3 つの立方数の和としての 恒等式をどう
やってみつけたの?

⇒ いつどこで見つけたのか覚えていないのですが、 下記の恒等式を ネットで拾ってあった
 のです。

  3^(12*k+6)-b^24-((3^(3*k+2)*b^2-b^8)^3+(3^(4*k+2)-3^(k+1)*b^6)^3)=0

 よく見ると、n=b^2 に置換してもよさそうな式でした。あとは、12*k+6 = 2022 となる k を見
つけておしまいです。労力 0 、他人の褌でした。

 それにしても、この指数を含む恒等式、どうやって見つけたのでしょうねえ……


 H.Nakao さんからのコメントです。(令和3年12月4日付け)

 3個の3乗数(負整数を許す)の和が2022になるものを探してみました。

            -13^3-37^3+38^3=2022
        -355^3-415^3+488^3=2022
       -331^3-472^3+521^3=2022
     -26149^3-41773^3+44942^3=2022
    -5629^3-243829^3+243830^3=2022
  -134827^3-910231^3+911216^3=2022

 他にもありそうですが、可能であれば、見つけてみてください。


 りらひいさんからのコメントです。(令和3年12月7日付け)

 この式を作った人がどうやって見つけたかはわかりませんが、対称性が高くて一般的な形
は次のような感じでしょう。

 p^12 ± 3*√3*p^9*q^3 + 9*p^6*q^6 ± 3*√3*p^3*q^9 + q^12 (複号同順)

という式を二通りの方法でまとめると、

 {q^4 ± √3*p^3*q}^3 + p^12 = {p^4 ± √3*q^3*p}^3 + q^12 (複号同順)

という等式が作れます。

 この等式において、複号はマイナス側をとって、p = 3^(k+1), q = √3*b^2 を代入し、両辺を
3^6 で割り、右辺を左辺へ移項すると、挙げられている式になりますね。

 結果は同じですが、シンプルに次のように書いてもよかったですね。

 この等式において、複号はマイナス側をとって、p = √3*3^k、q = b^2 を代入し、右辺を左
辺へ移項すると、挙げられている式になりますね。


 Dengan kesaktian Indukmu さんからのコメントです。(令和3年12月8日付け)

 りらひいさん、{q^4 ± √3*p^3*q}^3 + p^12 = {p^4 ± √3*q^3*p}^3 + q^12について、素晴
らしい御考察です。実に美しい恒等式ですね。

 複号同順のうち、 + のほうをとった上で、 p=√(3) 、q=1 を代入すると、

  10^3 +9^3 = 12^3 +1^3 = 1729

が得られます。これは高名な「タクシー数」! 入院中のラマヌジャンが見舞いに来たハーディ
から、乗ってきたタクシーのプレートナンバーの数 1729 を聞いて即座に、《二つの立方数の
和》として 2 通りに表現できる最小の数であると、即座に答えたという逸話がありますね。

 某所から引用しますと、ラマヌジャンは 以下の恒等式を発見していたもののようです。

すなわち、

(x^2+9*x*y-y^2)^3 +(12*x^2-4*x*y+2*y^2)^3 = (9*x^2-7*x*y-y^2)^3 +(10*x^x+2*y^2)^3

ラマヌジャンの 1729 は、この恒等式で、 x=1、y=0 を代入したものなのでした。

 ラマヌジャンの恒等式に比べて、

  {q^4 ± √3*p^3*q}^3 + p^12 = {p^4 ± √3*q^3*p}^3 + q^12

のほうが、より美しく感じるのは私だけなのでしょうか。

 なお、変数変換することで、以下の恒等式になりまして、タクシー数を量産する際に扱いが
容易になります。

  (s^4 +9*s*t^3)^3 +(9*t^4)^3 = (9*t^4 +3*s^3*t)^3 +(s^4)^3

  (s^4 -9*s*t^3)^3 +(9*t^4)^3 = (9*t^4 -3*s^3*t)^3 +(s^4)^3


 Dengan kesaktian Indukmu さんからのコメントです。(令和3年12月16日付け)

 以下は、1936 年にマーラーがみつけた恒等式なのだそうです。

  (1 -9*n^3)^3 +(3*n -9*n^4)^3 +(9*n^4)^3 = 1

 先日、りらひいさんにより示された恒等式を変数変換したものが以下なのでした。

  (s^4 -9*s*t^3)^3 +(9*t^4)^3 = (9*t^4 -3*s^3*t)^3 +(s^4)^3


 この恒等式で s = 1 とすると、 (1 -9*t^3)^3 +(9*t^4)^3 = (9*t^4 -3*t)^3 +1 で、右辺の
第一項を左辺に移項しますと、

  (1 -9*t^3)^3 +(9*t^4)^3 +(3*t -9*t^4)^3 = 1

となり、マーラーによる恒等式と一致します。

 パラメーターが1個のマーラーの恒等式に拡張を加えて、パラメーターを2個としたものが
りらひいさんによる恒等式となっています。

 なんて素晴らしいことなのでしょうか。


 DD++ さんからのコメントです。(令和3年12月16日付け)

 りらひいさんの式は斉次式なので、パラメータは別に増えてないのでは。


 Dengan kesaktian Indukmu さんからのコメントです。(令和3年12月16日付け)

 うあ!!

 (1 -9*n^3)^3 +(3*n -9*n^4)^3 +(9*n^4)^3 = 1 に、 n = t/s を代入して、両辺に s^12 を
乗じますと、

  (s^4 -9*s*t^3)^3 +(3*s^3*t -9*t^4)^3 +(9*t^4)^3 = s^12

を得られるのですね。DD++ さん、ご教示をまことに有り難うございました。


  以下、工事中!



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