特殊な造りの監獄があり、見分けのつかない3つの扉がついている。
・扉Aは、「すぐに外へ出られる」
・扉Bは、「1年の間、この監獄から出られない」
・扉Cは、「3年の間、この監獄から出られない」
中にいる囚人は、このうちの一つの扉を後述のルールに従って選択するものとする。
◆ルール
看守が1枚の歪んだコインを持っています。コイントスをしたときに、表が出る確率が a で、
裏が出る確率が 1-a であるものとします。(※歪んだコインなので a > 1/2 です。)
看守がこのコインを囚人に貸します。更に、看守は、a の値を囚人に教えます。
看守が囚人に要求します。すなわち、
「コインを有限回トスすることで、1/3の確率で扉Aを、1/3の確率で扉Bを、1/3の確率で扉Cを
選択しなさい。また、トスをする前に、正確な確率で各扉を選択できる方法があることを説明
しなさい。」
囚人はこの方法を考えつき看守に説明しました。看守はその方法でよろしいと言いました。
a の値としてふさわしいものを 一つ、あげてください。 また、その値でうまくいく方法も説明
してください。
DD++ さんからのコメントです。(令和3年10月8日付け)
最初読んだとき、任意の a でうまくやる方法を答える問題かと思ったのですが、
a の値としてふさわしいものを 一つ、あげてください。
という書き方を見るに、「a = 1/2 + 1/(2) のときには、こうやれば 6 回で終わる」を示
せば、それで解答になる感じですか?
そして、a = 1/2 + √(2-3)/(2) のときには、4 回で終わりますね。
3回以下の解はあるかな?
Dengan kesaktian Indukmu さんからのコメントです。(令和3年10月9日付け)
a = 1/2 + √(2√3-3)/(2√3) のときには 4 回で終わりますね。
私が想定していた解での a の値と同じです。
3回以下の解は、私も知りたいです。 でも…奇数回でうまくやる作戦がなかなか見つかり
ません。
DD++ さんからのコメントです。(令和3年10月9日付け)
a = 1/2 + √(2-3)/(2) は、私は 5 回用として見つけた後で 4 回に短縮できること
に気づきました。奇数回で可能な値は全て 1 回短縮できるのかも。
Dengan kesaktian Indukmu さんからのコメントです。(令和3年10月9日付け)
あっ、そうなのでしたか、勉強になります。
実は最初は有理数の範囲で確率 a を求められないかと考えていました。トスの回数があ
る程度多くなれば可能なのかもと思いましたが… ややあって絶望しました。
想定していた解についての報告を致します。
いろいろ試したあげくに、トスの回数が4回の作戦に解があるのかどうかについて調べよ
うと思いました。
0 を表、1 を裏として、4回のトスの出目のリストを以下のように書き下します。
0000 A 0101 A 1010 A 1111 A |
0001 B 0010 B 0100 C 1000 C |
0011 B 0110 B 1100 C 1001 C |
0111 B 1011 B 1101 C 1110 C |
出目の右側に添えた A、B、C の字は、どの扉をあけるかについてです。
上記で特徴的なのは、例えば、
0001 B
0010 B
0100 C
1000 C
のブロックでは、0001 も 0010 も 0100 も 1000 も、出現確率が互いに等しいという点です。
このブロックに 4 通りの出目がありますが、これを 2 通りづつに分けて、それぞれを B と
C とに配分しています。
同様にして、
0011 B
0110 B
1100 C
1001 C
のブロックや
0111 B
1011 B
1101 C
1110 C
のブロックでも、配分することにより、これら 3 ブロックでは、 B と C とに配分される確率が
等しくなります。
残るブロック
0000 A
0101 A
1010 A
1111 A
は、A に配分することとします。
A が選択される確率が 1/3 になれば、B、C が選択される確率も自動的に 1/3 になります。
コイントス一回で表が出る確率を x とします。4次方程式を立てることができます。
x^4+(1-x)^4+2*x^2*(1-x)^2 = 1/3
この方程式にもしも、少なくとも 2 つの正の実解があり(註1)、そのペアの解の和が 1 と
なれば目的が達っせられます。
※註1 表と裏とを足して 1 だからです。
2つのペアがあるか、1つのペアがあるか、ペアがないか…については方程式を解いてみ
ないとわかりません。
適切なペアが見つからないとするならば、作戦…すなわち出目の一覧におけるABCの配
分が間違っていたのかもしれませんし、そもそも作戦をどうあがいても解がみつからないの
かもしれませんし…このあたりは不安を抱えながらの試行錯誤をしました。
(閑話休題)
方程式は次のようなものでした。(再掲)
x^4+(1-x)^4+2*x^2*(1-x)^2=1/3
1/2 < x < 1 の範囲に実解がひとつあり、x = sqrt(2/sqrt(3)-1)/2+1/2 となります。
なお、念のために、1-x の値も先の方程式の解になることを検算しました。また、4次方程
式の残りの2解は 複素数でした。
ちなみに、作戦は他にもあります。出目表は、
0000 A 1111 A |
0101 B 1010 C |
0001 B 0010 B 0100 C 1000 C |
0011 B 0110 B 1100 C 1001 C |
0111 B 1011 B 1101 C 1110 C |
となりまして、 x^4+(1-x)^4=1/3 を解けばよいです。
こちらにも 1/2 < x < 1 の範囲に実解がひとつあり、目標を達することができます。
(詳細は割愛します。)
トスを3回では、恐らく 3次方程式を立てることになりますが、3つの実数解のうち、2つが区
間(0,1)に含まれ、それらの和が 1 となる、そのような出目の配分表を作ろうとしましましたが、
なかなか困難を感じています。
DD++ さんからのコメントです。(令和3年10月9日付け)
結果的にやってることは一緒でも、人によって考え方は根本から違うものですね。
私は、「囚人と看守で対等な条件の、引き分けの確率が 1/3 となるゲームをやればよい」
と考えました。
そして、「1 回コインを投げて、自分だけ表を出したら勝ち。1 回戦で同じ面が出たら 2 回
戦を行い、それも同じ面なら引き分け」というゲームを設定することにしました。
表が出る確率が a、裏が出る確率が b (=1-a) とすると、引き分ける確率は、(a^2+b^2)^2
となるので、これを 1/3 にするには、
a^2+b^2 = 1/
これを、a+b = 1 と合わせて対称式として処理すれば、件の値が出てきます。
5 回案だったというのは、「最初に 1 回投げたのと同じ面を出したら勝ち」で考えていたた
め。
引き分けの確率が、(a+b)*(a^2+b^2)^2 になるんですが、a+b=1 なんだから最初の 1 回い
らないじゃん、と。
最初に出した a = 1/2 + 1/(2) で 6 回というのは、
「3 回投げて、n 回目だけ違う面だったら n 点、3 回全て同じ面だったら 0 点」
というゲームで、1/3 = (1/2)^2 + (1/6)^2 + (1/6)^2 + (1/6)^2 という分解を実現しようとして
得た値になります。
GAI さんからのコメントです。(令和3年10月10日付け)
Dengan kesaktian Indukmu さんのアイデアから生まれる
x^4+(1-x)^4+2*x^2*(1-x)^2=1/3
から、式を展開し、左辺に移項して整理すると、 4*x^4-8*x^3+8*x^2-4*x+2/3(=0)・・・@
一方、DD++ さんのアイデアによる式: a^2+b^2=1/sqrt(3) 、a+b=1 から生まれる a、b
を解に持つ2次方程式
x^2-x+1/2*(1-1/sqrt(3))(=0)・・・A
より、同じ数値が見つかるのだから、@はAで割り切れる...筈。
やってみると、確かに、
4*x^4-8*x^3+8*x^2-4*x+2/3=(x^2-x+1/2*(1-1/sqrt(3)))*(4*x^2 - 4*x +(6+2*sqrt(3))/3)
で分解されます。
らすかるさんからのコメントです。(令和3年10月10日付け)
4*x^4-8*x^3+8*x^2-4*x+2/3=4(x^2-x+(1/2)(1-1/sqrt(3)))(x^2-x+(1/2)(1+1/sqrt(3)))
のように右辺を整理すると、少し綺麗ですね。
Dengan kesaktian Indukmu さんからのコメントです。(令和3年10月11日付け)
5回トスをする方法を私なりに考えてみました。
0を表、1を裏として、32通り=(2^5)通りの出目表を以下のようにします。
00000 A 11111 A |
00001 B 00010 B 00100 A 01000 C 10000 C |
00011 B 00110 B 10001 A 01100 C 11000 C |
00101 B 01001 B 01010 A 10010 C 10100 C |
00111 B 10011 B 01110 A 11001 C 11100 C |
01011 B 01101 B 10101 A 10110 C 11010 C |
01111 B 10111 B 11011 A 11101 C 11110 C |
上の出目表の特徴を下記にまとめます。
・第0のブロックから第6のブロックまであります。第0のブロックのみ、出目は2通りをカバーし
ています。それ以外のブロックでは、出目は5通りをカバーしています。
・第1のブロックから第6のブロックまででは、ブロック内において、各出目の出現確率は互い
に等しくなっています。また、Aに配分される出目は1通り、BやCに配分される出目は2通り
づつとなっています。
・各ブロックは、趣味的にですが、回転対称としています。本質には関わりません…筈です。
さて、歪んだコインの表が出る確率 a ( 1/2<a<1 ) を求めたいのですけれども、ここで先
に挙げた出目表の特徴を鑑みますと、第0ブロック全体の出現確率が 1/6 でありさえすれば、
自動的に A B C のそれぞれの出現確率が 1/3 となることが見て取れます。
従って、a は、第0ブロックのみを意識すれば良いので、以下の方程式の解として求められ
ることが期待できます。すなわち、
x^5+(1-x)^5=1/6
これを解いて、 1/2<a<1 に該当するものは…… x=1/2+sqrt(2*sqrt(3)-3)/(2*sqrt(3))
となりました。
ここまできて、私はガーンとなりました。
sqrt(2*sqrt(3)-3)/(2*sqrt(3))+1/2 = sqrt(2/sqrt(3)-1)/2+1/2
ですので、私が先日投稿した、トスが4回のときの a の値と一致しているのでした。
何故なのか悩みましたけれども結論は、本日投稿した5回トスの出目表のうち、左から3番
目のトスが、無駄なトスとなっているからなのでした。
DD++さんがおっしゃっていた、奇数回トスでは1回トスを省けるのではないかとの、実例の
ひとつになりました。
そこで、本日の出目表をぐっと睨んで、次のようなゲームを考えてみました。
囚人と看守とが、それぞれ2回づつトスをします。
1回目に表が出れば1点、2回目に表が出れば2点、得点がもらえます。合計点を比べて多
い方が勝ちとします。合計点が等しければ引き分けとします。
引き分けになる確率が1/3となるには、a=1/2+sqrt(2*sqrt(3)-3)/(2*sqrt(3)) となっていれ
ば良いのです。
上のゲームは、本日投稿した出目表から導きました。
出目表の一部を切り取りますと、
01101 B 10101 A 10110 C |
10011 B 01110 A 11001 C |
左から順に、Bの2回目、Bの1回目、ダミー、Cの1回目、Cの2回目のトスの結果とみなしま
す。
0が表、1回目なら1点、2回目なら2点、もらえます。合計が多い方が勝ち、との出目表に
なっています。
ながながと書きましたが、結局、本質的に5回のトスが必要なような出目表がまだ見つから
ないという御報告でした。
Dengan kesaktian Indukmu さんからのコメントです。(令和3年10月13日付け)
歪んだコインを5回投げることでサイコロをエミュレートできる……という解釈があることに
気がつきました。
例によって出目表です。 0が表で1が裏です。トスは5回ですので、出目のパターンは32通り
です。各パターンごとに サイコロの目を割り付けます。
00000 1 11111 1 |
00001 2 00010 3 00100 4 01000 5 10000 6 |
00110 2 00011 3 10001 4 11000 5 01100 6 |
10010 2 00101 3 01010 4 10100 5 01001 6 |
10110 2 01011 3 10101 4 11010 5 01101 6 |
10011 2 00111 3 01110 4 11100 5 11001 6 |
01111 2 10111 3 11011 4 11101 5 11110 6 |
コインの表の出る確率 a がなんであったとしても、サイコロの目として、 2 から 6 までの出
現確率が互いに等しくなっていることが、上記の出目表では自明となっています。
あとは、サイコロの目の1に割り付けたパターンについて、その出現確率が 1/6 になるよう
に a の値を設定すれば、サイコロのエミュレートが出来ることとなります。
それで、 a^5+(1-a)^5 = 1/6 を解きます。求める解として、( 1/2<a<1 )を満たすのは、
a=1/2+sqrt(2/sqrt(3)-1)/2
となります。
※1/2 や 1/3 や 1/6 などをはかりだすことができますね。
※次は全く冗長ですが…
(サイコロの目を mod 3 で解釈すれば A、B、Cの扉を等確率で開けることができることは明
らかですが 他の手をでっちあげてみます。 )
a=1/2+sqrt(2/sqrt(3)-1)/2 のもとで、
@ まず、5回トスをして 1/3 の確率を実現します。 これで A の扉をあけるかどうか意思
決定します。
A Aの扉を開けなかった場合には、更に、同じaの値のもとで 5回トスをして 1/2 の確率
を実現します。これで B の扉をあけるか C の扉を開けるかを意思決定します。
(計10回もトスをするなどなんとも無駄ですが。有限回なのでオーケーとしたいです。)
Dengan kesaktian Indukmu さんからのコメントです。(令和3年10月15日付け)
4次方程式や5次方程式が登場するようでは、解ける人を限定しているような気がします。
そこで、2次方程式が解けさえすればよいというルートを考えてみました。
2回トスでの1セットのゲームを構成し、2ゲームを行えば、結果として A、B、C からの3択
を等しい確率で実現できる、そのような仕掛けを作りたいと思いました。
1ゲームを、次のように作りたいと思います。出目表です。
00 2
11 2
01 0
10 1
このとき、「2」の出目が出る確率を、1/sqrt(3) とします。「0」の出目が出る確率と、「1」の
出目が出る確率とは等しくなるように計らいますので、その値を 1/2-1/(2*sqrt(3)) とします。
2ゲームでの出目の一覧は以下のようになります。
00
01
02
10
11
12
20
21
22
これを並び変え、それぞれの出目に更に「超出目」を割り付けます。
00 0
01 1
02 0
10 1
11 0
12 1
20 0
21 1
22 2
上の超出目の意図は次の通りです。
◆1:一度目のゲームと二度目のゲームとで、ともに出目が2のときに超出目を 2 とする。
(超出目が2となるケースはこれだけとするので、その確率は1/3)
◆2:一度目のゲームと二度目のゲームとであわせて、出目に 2 が1回だけ出現したときに
は、その 2 の出目が出なかったほうの出目は 0 か 1 であり、これを超出目とする。
さきほどの超出目表から抜き出すと
02 0
12 1
20 0
21 1
ですが、0 の出目と 1 の出目が起きる確率は互いに等しいので、 超出目が 0 になる確率
と 1 になる確率は等しい。
◆3:一度目のゲームと二度目のゲームとであわせて、出目に 2 が1回も出現しなかったと
きには、超出目として、(1回目の出目)+(2回目の出目) を mod 2 で計算した値とする。
さきほどの超出目表から抜き出すと、
00 0
01 1
10 1
11 0
となります。
0 の出目と 1 の出目が起きる確率は互いに等しいので、こちらでも、超出目が 0 になる確
率と 1 になる確率は等しい。
◆4: ◆1から◆3までより、超出目が 0 となるケースの確率、1 となるケースの確率、2 とな
るケースの確率は互いに等しく、その値は 1/3 となる。
以上で、ゲームの骨格が定まったので、歪んだコインが表になる確率 a を求めたい。
1ゲームで、「2」の出目が出る確率を、1/sqrt(3) としたかったので、ゲームの出目表を、
もう一度見ると
00 2
11 2
01 0
10 1
すなわち、a は次の二次方程式の解のひとつである。
a^2 +(1-a)^2 = 1/sqrt(3)
これを解いて、1/2<a<1 の範囲となる解を求めると、
a = 1/2 +sqrt(2*sqrt(3)-3)/(2*sqrt(3)) = 1/2 +sqrt(2/sqrt(3)-1)/2
を得ます。
以下、工事中!