・ 角の相等                     S.H氏

    左図のような正方形ABCDにおいて、相対する頂点 A,
   C から、等角の線分を引く。このとき、2つの線分の交点 P
   は、ちょうど正方形の対角線上にあるので、
     ∠PBC=∠PDC
   が成り立つことは明らかである。

    最近、このような性質が、一般の平行四辺形においても
   成り立つということを学ぶ機会があった。



    左図のような平行四辺形ABCDにおいて、
   辺BC、AB上にそれぞれ点M、Nをとり、
      ∠MAB=∠NCB
   とする。
    このとき、2つの線分AM、CNの交点を P
   とすれば、
         ∠PBC=∠PDC
   が成り立つ。



 これは自明とは言い難いので、証明が必要であろう。

(証明) まず条件より、∠MAN=∠MCN なので、円周角の定理より、4点A、C、M、N
     は、同一円周上にある。
      よって、△PAC と △PNM において、
          ∠PAC=∠PNM
          ∠PCA=∠PMN
     なので、2角相等により、△PAC ∽ △PNM が成り立つ。
      よって、 PC : PM=AC : NM である。・・・・・・・・・・(*)
     また、△ABC と △MBN において、
     四角形ACMNは、円に内接する四角形なので、 ∠BAC=∠BMN で、
     さらに、∠B は共通なので、2角相等により、△ABC ∽ △MBN が成り立つ。
      よって、 AC : MN=AB : MB である。・・・・・・・・・・(**)
     (*)(**)により、PC : PM=AB : MB=CD : MB が成り立つ。
     このことは、△PBM と △PDC において、対応する2辺の比が等しいことを示す。
     さらに、
     ∠PMB=∠PMN+∠NMB=∠PCA+∠CAB=∠PCA+∠ACD=∠PCD
     なので、 △PBM ∽ △PDC が成り立つ。
      よって、 ∠PBM=∠PDC が成り立つ。 (証明終)

(コメント) 最初は信じがたい結果であったが、「なるものはなる!」と納得した。それにし
      ても、正方形という特殊な図形で成り立つ性質が、一般の平行四辺形でも成り
      立つとは、新鮮な驚きである。


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