文藝春秋2021年5月号の「古風堂々」で、作家・数学者の藤原正彦さんが数学の虫とな
るきっかけの一つとなった問題を紹介している。
出題者は藤原さんの小学校に新しく美術教師として赴任された先生(後の絵本画家の安
野光雅さん)だという。
A、Bの2人が100mの徒競走をした。同時にスタートし、Aがゴールしたとき、Bは未だ
10m後方だった。
そこで、Aにハンデを付けて、Aは110m、Bは100mを走ることにした。同時にスタートす
るとき、先にゴールするのはどちらだろう?
そのとき、藤原さんは、次のように考えて「Aが先にゴールする!」と先生に答えたそうであ
る。
同じ時間で、BはAの9割の距離を進むので、Aが110m走るとき、Bは99mしか走らない。
だから、Aがゴールしたとき、Bはゴールの1m後方にいることになる。
Aが100m、Bが90m走るのであれば「同時にゴール」となるわけであるが、上記の問題
で、「同時にゴール」と引っかかった人はいませんか?