・必勝の手                              S.H 氏

 2人が交互に1以上5以下の自然数を言うゲームを行う。ただし、一度言われた数は言え
ないものとする。言える数がなくなった時点でゲームは終了とする。

 このとき、先手が言った数の和が3の倍数のとき、先手の勝ちとし、そうでないとき、後手
の勝ちとする。

 このゲームは先手必勝なのだが、先手はどのように数字を言えばよいだろうか。

(解) 1、4・・・3で割って1余る数  2、5・・・3で割って2余る数  3・・・3の倍数

 よって、先手が勝つのは、数の和が3の倍数になるときなので、

  先手の初手: 3 で確定

  後手は、1、2、4、5 から一つの数字を言う。

  先手は、後手が言った数字と同じ組になっている数字を言えばよい。

  これを繰り返せばよい。

 このとき、先手の言った数の和は必ず3の倍数となる。  (終)


 上記のゲームを次のように一般化する。

 2人が交互に1以上n以下の自然数を言うゲームを行う。ただし、一度言われた数は言え
ないものとする。言える数がなくなった時点でゲームは終了とする。

 このとき、先手が言った数の和が3の倍数のとき、先手の勝ちとし、そうでないとき、後手
の勝ちとする。

 このゲームが先手必勝となるためには、nの値にどんな条件が必要だろうか?

(解) 明らかに、n=1、2、3 のときは、後手必勝である。

 例えば、n=3のとき、 先手が1と言い、後手が3と言ってくれれば、先手は2と言えて勝ち
になるが、後手は3とは言ってくれないから、先手の負けである。

 n=4 のとき、先手が2と言えば、後手がどんな数を言おうとも、3で割って1余る数が1個
以上残っているので、それを言えば先手の勝ちとなる。

 n=5 のときが冒頭の場合で、先手必勝である。

 n=6 のとき、3で割った余りが0、1、2となる数が2つずつの組が出来るので、先手は3
と言い、次に、後手が言った数と同じ組に属する数を言えばよい。ただし、後手が6と言った
場合は、先手は、1、2、4、5の何れかを言えば、和が必ず3の倍数になるように言うことが
出来るので先手必勝である。

 n=k のとき、先手必勝とすると、n=k+6 でも先手必勝である。

 1以上k+6以下の自然数を2つのグループに分ける。

 M={1,2,・・・,k}

 N={k+1,k+2,・・・,k+6} ・・・ 3で割った余りが0、1、2となる数が2つずつある

 先手は、Mから先手必勝となる数を言う。

 後手が、Mに属する数を言えば、先手はM内の数で対応する。

 後手が、Nに属する数を言えば、先手は、N内の数で、後手が言った数と同じ組に属する
数を言えばよい。

 以上で、先手必勝となる。

 よって、先手必勝となるnの値は、n=4、5、6、10、11、12、・・・ すなわち、

  n≡0、4、5 (mod 6)

である。  (終)


(参考) 第17回日本数学オリンピック本選問題(2007)



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