・グラフパズルで頭の体操                 りらひい氏

 図形を2通りの方法で組み立てて、一致することを見ます。あなたはどこまで想像できま
すか?

 yがxの狭義単調関数であり、逆関数をもつとする。このとき、d(xy)=ydx+xdy の両辺を
(x1,y1)から(x2,y2)まで積分することで、

  x2y2-x1y1=∫[x1,x2]ydx+∫[y1,y2]xdy   … ※

という式が成り立つ。

(もう少しきちんと書くならば、

  d(xy)/dx=y+x*dy/dx の両辺をx1からx2まで積分する

または

  d(xy)/dt=y*dx/dt+x*dy/dt の両辺をt1からt2まで積分する

ということである。)

 式※の各項をxy平面上の符号付き面積とみれば、各辺で足し合わせたものが一致するこ
とを表している。

 左辺の各項は4辺のうちの2辺がx軸,y軸となる長方形であり、右辺の各項は与えられた曲
線、x軸またはy軸のいずれか、その軸に垂直な2直線で囲まれる図形である。

 ここで、負の面積はその部分を取り去ると考えてもいいし、移項してすべての面積が正とな
るような等式に書き換えてから考えてもよい。

 例として、負の面積を後者で考え、(x1,y1)、(x2,y2)がともに第一象限にある場合を以下に
記す。i=1、2として、O(0,0)、Ai(x1,0)、Bi(0,yi)、Pi=(xi,yi) とする。

(1) 0<x1<x2、0<y1<y2 のとき

 x2y2 = x1y1 + ∫[x1,x2]ydx + ∫[y1,y2]xdy

 [O-A2-P2-B2-O] = [O-A1-P1-B1-O] + [A1-A2-P2-P1-A1] + [B1-P1-P2-B2-B1]

(2) 0<x1<x2、0<y2<y1 のとき

 x2y2 + ∫[y2,y1]xdy = x1y1 + ∫[x1,x2]ydx

 [O-A2-P2-B2-O] + [B2-P2-P1-B1-B2] = [O-A1-P1-B1-O] + [A1-A2-P2-P1-A1]

(3) 0<x2<x1、0<y1<y2 のとき

 x2y2 + ∫[x2,x1]ydx = x1y1 + ∫[y1,y2]xdy

 [O-A2-P2-B2-O] + [A2-A1-P1-P2-A2] = [O-A1-P1-B1-O] + [B1-P1-P2-B2-B1]

(4) 0<x2<x1、0<y2<y1 のとき

 x2y2 + ∫[x2,x1]ydx + ∫[y2,y1]xdy = x1y1

 [O-A2-P2-B2-O] + [A2-A1-P1-P2-A2] + [B2-P2-P1-B1-B2] = [O-A1-P1-B1-O]

 積分範囲がx軸やy軸をまたぐ場合だと、y=0やx=0で図形が分割されて符号も入れ替わる
ので少し複雑になる。片方の軸のみをまたぐ場合、両方の軸をまたぐ場合、それぞれ考え
てみてほしい。

 さて、ここまでがウォーミングアップでここからが本番である。

 x、y、zがtの狭義単調関数であるとする。d(xyz)=yzdx+zxdy+xydz を積分して、
(あるいは、d(xyz)/dt=yzdx/dt+zxdy/dt+xydz/dt を積分して、)

 x2y2z2-x1y1z1=∫[x1,x2]yzdx+∫[y1,y2]zxdy+∫[z1,z2]xydz  … ※※

 式※※の各項をxyz空間上の符号付き体積とみれば、各辺で足し合わせたものが一致す
ることを表している。

 左辺の各項は6面のうちの3面がxy平面、yz平面、zx平面となる直方体であり、右辺の各
項は与えられた曲線を通る2柱面、xy平面、yz平面、zx平面のうちの2平面、それに垂直な
2平面で囲まれる立体である。

 立体を組み合わせたものが両辺で一致することを想像してみてほしい。

 2次元の場合には紙と鉛筆で書いてみることができるので理解の助けとできますが、3次
元は紙の上に直接再現できないので考えるのも結構大変です。

 投影図を描いたり、そこから想像するだけでも頭の体操になると思います。

 今の時代だと、3DCGで作ってVRで直接体験することもできなくはない気もしますけど…。

 3次元でも余裕という人は4次元を考えてみてください。3次元でもつらい私では、とてもと
ても無理です…。

 ちなみに、上では単調関数に限定しましたが実際は単調関数でなくてもできます。



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