・陰と陽の世界                            GAI 氏

 オイラーが1749年提出した論文中、ゼータの正の値を月、負の値を太陽のマーク記号を
入れて表し、通常感情表現は入れないのが常識なのに"beau(beatiful)"という単語を用いて
いるという記述を見たことがあった。

 この頃、 L(a,b)=納n=1,∞](log(n))^b/n^a なる極限値についていろいろ計算していたら、
次の明示式で表せることが起こりそうでした。

L(2,1)=-zeta'(2)
L(3,1)=-zeta'(3)
L(4,1)=-zeta(4)
L(2,2)=zeta''(2)
L(3,2)=zeta''(3)
L(4,2)=zeta''(4)
L(2,3)=-zeta'''(2)
L(3,3)=-zeta'''(3)
L(4,3)=-zeta'''(4)
L(2,4)=zeta''''(2)
L(3,4)=zeta''''(3)
L(4,4)=zeta''''(4)

即ち、一般に、

 納n=1,∞](-log(n))^b/n^a=zeta[b](a)  (zeta[b]はゼータ関数のb回微分を示す。)

と表せることになり、そこで今度は、zeta'(-1)は何になるのだろう?と疑問が湧いた。

 調べると、 -zeta'(-1)=0.165421143700・・・=K(Kinkelin 定数)というらしく、

=(γ+log(2*π)-1)/12-zeta'(2)/(2*π^2)   (γ=0.57721566490・・・:オイラー・マスケローニ定数)

とある。これらを組合すと、

 zeta'(2)=π^2/6*(γ+log(2*π)-12*K-1)=zeta(2)*(γ+log(2*π)+12*zeta'(-1)-1)

 これから、 zeta'(2)/zeta(2)=γ+log(2*π)+12*zeta'(-1)-1 のように、zetaとその微分zeta'
をセットにしてみると、スッキリ型で記述できそうになった。

 そこで、この型を作り出すために努力していくと(長くなるので随分省略して記述します。)

zeta'(4)/zeta(4)=γ+log(2*π)-120*zeta'(-3)-11/6
zeta'(6)/zeta(6)=γ+log(2*π)+252*zeta'(-5)-137/60
zeta'(8)/zeta(8)=γ+log(2*π)-240*zeta'(-7)-363/140

などが成立した。ここで、

zeta(-1)=-1/12
zeta(-3)=1/120
zeta(-5)=-1/252
zeta(-7)=1/240

また、

11/6=1+1/2+1/3
137/60=1+1/2+1/3+1/4+1/5
363/140=1+1/2+1/3+1/4+1/5+1/6+1/7

などと同等であることから、一般に、

zeta'(2)/zeta(2)=γ+log(2*π)-zeta'(-1)/zeta(-1)-sum(i=1,1,1/i)
zeta'(4)/zeta(4)=γ+log(2*π)-zeta'(-3)/zeta((-3)-sum(i=1,3,1/i)
zeta'(6)/zeta(6)=γ+log(2*π)-zeta'(-5)/zeta(-5)-sum(i=1,5,1/i)
zeta'(8)/zeta(8)=γ+log(2*π)-zeta'(-7)/zeta(-7)-sum(i=1,7,1/i)
・・・・・・・・・

さらに、zeta'(0)/zeta(0)=log(2*π) となることも使えば、nを自然数とするとき、

zeta'(-(2*n-1))/zeta(-(2*n-1))+zeta'(2*n)/zeta(2*n)=γ+zeta'(0)/zeta(0)-sum(i=1,2*n-1,1/i)・・・・(*)

が成立し、また、ディガンマ関数 psi(z)=d/dz log(Γ(z))=Γ'(z)/Γ(z) の性質を利用すれば、

 psi(n)=-γ+sum(i=1,n-1,1/i)

なので、(*)は、

 zeta'(0)/zeta(0)-[zeta'(-(2*n-1))/zeta(-(2*n-1))+zeta'(2*n)/zeta(2*n)]=psi(2*n)

と陰(マイナスと奇数の世界)と陽(プラスと偶数の世界)が見事に調和されて結びついている
ことがみてとれる。

 オイラーならずとも、思わず美しい!と叫びたくなる。



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