・ 直角三角形の性質               S.H氏

 ハンドルネーム「taku」さんという方から、直角三角形の3辺の比に関して、次のような性
質があることを教わった。

   左図のような △ABC において、∠Bの2等分線が辺ACと交わる
  点をDとおく。このとき、 DB : BC : CD = 5 : 4 : 3 ならば、

    BC : CA : AB = 7 : 24 : 25

  が成り立つ。

   ある意味で、一つのピタゴラス数から新しいピタゴラス数が求めら
  れたわけで、とても感動的な公式である。

   証明は、三平方の定理を用いる。

   DB=5、BC=4、CD=3 とすると、△ADH∽△ABC から
  AD=75/7 、AH=72/7 である。
  (途中計算で、高校レベルの2次方程式の知識を用いる。)

 したがって、 AC=96/7 、AB=100/7 なので、所要の比例式の成り立つことが示さ
れる。


 当HPがいつもお世話になっているHN「FN」さんが、次の形に一般化されました。
                                     (平成23年12月23日付け)

 ∠Cが直角である直角三角形ABCにおいて、∠Bの2等分線と辺ACとの交点をDと

する。BC:CD=a:b (a>b>0) ならば、BC:CA:AB=a2-b2:2ab:a2+b2 であ

る。


 正接の倍角の公式から容易に証明されます。

(証明) BC=a、CD=b としてよい。∠DBC=θとおくと、∠ABC=2θで、tanθ=b/a

 このとき、tan2θ=2tanθ/(1-tan2θ)=2ab/(a2-b2) なので、k=a/(a2-b2) とおくと、

 BC=(a2-b2)k 、AC=2abk (k>0) と書ける。三平方の定理より、

 AB2=(a2-b2)22+4a222=(a2+b2)22 なので、AB=(a2+b2)k

 よって、 BC:CA:AB=a2-b2:2ab:a2+b2 が成り立つ。  (証終)

 a、b、c が有理数であれば、a2-b2、2ab、a2+b2 も有理数だから、1つのピタゴラス数か
ら別のピタゴラス数が得られます。

 例えば、(a,b,c)=(4,3,5) とすると、上述の(7,24,25) になります。7と24を入れ替えて、
(a,b,c)=(24,7,25) として適用すると、・・・と続ければ、無限に多くのピタゴラス数が得ら
れますが、もちろん、ピタゴラス数のごく一部です。



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