令和元年11月23日(祝)、筑波大学附属駒場中学・高校を会場に教科研究会が開かれ
参加してきた。
(a+b)2−(a−b)2=4ab
は、乗法公式を学んだあとによくある練習問題である。今日の研究会では、この公式が大
活躍をした。
研究授業では、対戦型ゲームの様相で展開されたが、要点は次のようである。
1. 10から30までの自然数から1つの自然数nを選ぶ。(攻撃側)
2. そのnを、n=a+b と分解する。(防御側)
ただし、a、bは、3以上27以下の相異なる自然数とする。
3. 2.のa、bについて、ab=A2−B2 となる50以下の自然数の組(A,B)はあるか?
組(A,B)を見つけられれば、攻撃側の勝利、見つけられないときは、防御側の勝利と
なる。
例 例えば、「11」を攻撃側が選んだとき、防御側は、11=5+6 と分解する。このとき、
5・6=30 を、30=A2−B2 となる50以下の自然数の組(A,B)は決して存在しない。
よって、この場合は、防御側の勝利となる。
授業の方は、必ず勝てる数の探究に進んだ。
実は、乗法公式 (a+b)2−(a−b)2=4ab から、
ab={(a+b)/2}2−{(a−b)/2}2 より、 A=(a+b)/2 、B=(a−b)/2 と書ける。
もし、nが偶数ならば、a、bは、ともに偶数 または ともに奇数なので、自然数A、Bは必ず
存在する。(すなわち、攻撃側が偶数を選ぶと必ず勝てるということである。)
もし、nが奇数ならば、偶数a+奇数bなので、その積abは必ず偶数となる。
偶数aが4の倍数のとき、ab=(a/2)(2b)で、a/2、2bがともに偶数となり、自然数A、B
は必ず存在する。
(即ち、防御側が4の倍数aと奇数bを選ぶと必ず攻撃側が勝つということである。)
したがって、nが奇数ならば、防御側が勝利するためには、偶数aが4で割って2余る数を
選べばよい。
実際に、このとき、abも4で割って2余る数となり、その数が平方の差の形で表されること
はない。
4で割った余りは、0、1、2、3の4通りあるが、これらを平方して4で割った余りは、0、1
このとき、4を法として、 0−0≡0 、1−0≡1 、0−1≡3 、1−1≡0 で、2は出現
しないからである。
冒頭の例で、「11」に対して、11=6+5と、「6」と「5」が選ばれたのは、「6」が4で割って
2余る数だからである。そうすると、攻撃側は、決して、30=A2−B2 となる50以下の自然
数の組(A,B)を得ることが出来ず、防御側の勝利となったのである。
(コメント) この授業は、中学2年生を対象に行われたものであるが、授業内で生徒自身が
「4で割って2余る数」に言及し、上記と同様の推論を行っていた。中学2年にして
筑駒生、恐るべし!である。今日は、本当にいいものを見させていただきました。