曲尺と書いて「かねじゃく」と読む。奈良時代に中国から伝えられ、建築関係とりわけ大工
さんにとっての必需品である。
英語では、「carpenter’s square」と言われる。L字型の定規で、長短があり、長い方
を「長手(長枝)」、短い方を「妻手(横手・短枝)」と言う。「差し金」とも言われるが、「誰の差し
金だ」の「差し金」とは縁もゆかりもない。人形浄瑠璃で黒子が人形を操るための棒のことを
「差し金」というそうである。人形だけでは何も動けず、繊細な動きから、「誰かの差し金で動
いている」と思われるように、人形の後ろで操作している誰かの存在を感じるときに思わず
出る言葉です。
妻手が右に向くようにした時見える目盛りが「表目」で,逆に妻手が左に向くと「裏目(角目)」
となる。表面と裏面で目盛りの振り方が工夫されていて、表面の1目盛りの√2倍の長さが
裏面の1目盛り(角目)となっている。
この目盛りの振り方は、丸太から正方形の断面を持つ角材を切り取るときに活躍する。対
角線の長さを読むと正方形の1辺の長さがすぐ分かるというわけだ。
また、曲尺は、直角定規としての性格も持ち合わせ、円の中心も簡単に求められる。また、
平行線も容易に引くことができる。