・冪乗の和相等の分割                    なお 氏

  次のような分割の例を一つ挙げて下さい。

(1) 1〜16までの自然数を要素の個数が等しい2つの集合に分ける。各々の集合に属する
  要素の和、2乗の和、3乗の和が等しくなるように分けて下さい。

(2) 1〜81までの自然数を要素の個数が等しい3つの集合に分ける。各々の集合に属する
  要素の和、2乗の和、3乗の和が等しくなるように分けて下さい。


 らすかるさんからのコメントです。(令和元年9月7日付け)

 (1)の解(の一つ)は手作業で見つけることが出来ました。

 2組は、和が68ずつ、平方和が748ずつ、立方和が9248ずつ

 748≡1 (mod3) なので、3の非倍数が各集合に3n+1個でなければならない。
(「○の非倍数」という言葉は、「○の倍数でない数」という意味です。)

 各集合の要素が8個ずつなので、3の非倍数は、1個か4個か7個

 3の倍数は、16-[16/3]=11個なので、4個と7個に分けるしかない。

 従って、(3の倍数の個数,3の非倍数の個数)=(4,4)と(1,7) … (a)

 1〜16の平方を16で割った余りは、順に1,4,9,0,9,4,1,0,1,4,9,0,9,4,1,0

 748≡12 (mod16)、1+1+4+4+9+9+0+0=28≡12 (mod16) なので、余りが1,4,9,0になるもの
が2個ずつであれば合う(十分条件)。
(他に1+9+9+9+0+0+0+0=1+1+1+4+4+4+4+9=28があるが偏って厳しそう)

 つまり、各集合で、

1,7,9,15から2個 、2,6,10,14から2個 、3,5,11,13から2個 、4,8,12,16から2個 … (b)

 1〜16の立方を7で割った余りは、順に1,1,6,1,6,6,0,1,1,6,1,6,6,0,1,1

 9248≡1 (mod7) であり、立方和を7で割った余りが1になるためには各集合で、

7n+1,2,4すなわち1,2,4,8,9,11,15,16から4個、
7n+3,5,6すなわち3,5,6,10,12,13から3個、
7nすなわち7,14から1個

でなければならない(必要十分条件)。 … (c)

 最も考えやすい(a)を考えると、

 3の倍数である3,6,9,12,15のうちの4個が片方の集合にかたまるので、まずバランスを考え
て中央値9だけ他集合と考える。

 つまり、(3,6,12,15)と(9)。

 (3,6,12,15)を含む方の集合を考えると、3,6,12が7n+3,5,6なので、(c)から残りは7n+1,2,4から
3個と7,14から1個選ぶしかない。

 よって、(b)から

1,7,9,15から2個 → 1,7から1個
2,6,10,14から2個 → 2,14から1個
3,5,11,13から2個 → 11のみ
4,8,12,16から2個 → 4,8,16から1個

 11だけ確定、68-3-6-12-15-11=21なので、(1か7)+(2か14)+(4か8か16)=21としなければな
らないが、14を選ぶと、(1か7)+(4か8か16)で残りの7を作るのが不可能なので、2は確定

(1か7)+(4か8か16)で21-2=19を作るのは不可能なので、(3,6,12,15)と(9)という分け方が失敗。

 次に、(3,9,12,15)と(6)に分けると、3と12が7n+3,5,6なので、(c)から残りは7n+1,2,4から2個、
7n+3,5,6から1個、7,14から1個。

 (b)の1,7,9,15のうち既に2個選んでいるので7は選べず、14が確定。よって、

1,7,9,15から2個 → 9,15選択済み
2,6,10,14から2個 → 2,10から1個
3,5,11,13から2個 → 5,11,13から1個
4,8,12,16から2個 → 4,8,16から1個

 7n+3,5,6は、10,5,13の3個なので、まず、10を選ぶことにすると、68-3-9-12-15-14-10=5な
ので、(11,13から1個)+(4,8,16から1個)では不可能。

 5を選ぶことにすると、2が確定し、68-3-9-12-15-14-5-2=8なので、4,8,16のうち8を選べば
和=68と(a)(b)(c)の条件は満たす。

 こうして選んだ(2,3,5,8,9,12,14,15)について平方和と立方和を計算すると、748,9248になって
いるのでこれが解の一つとなる。

 従って、解の一つは、(2,3,5,8,9,12,14,15)と(1,4,6,7,10,11,13,16)。

# 手作業でこの解を出した後にプログラムで確認したところ、解はこの1組しかありませんで
 した。(2)は上記のような方法では厳しそうですが、プログラムで総当たりも厳しそうです。
 もっと簡単に手作業で解けるうまい方法を見つけるか、あるいは条件を絞ってプログラム
 で検索するか、どちらかですね。

  ((2)が手作業で解ける方法を見つけた場合、(1)に応用できれば上記よりはるかに短くな
  りそうです。)


 GAIさんからのコメントです。(令和元年9月7日付け)

 (1) A=[1,4,6,7,10,11,13,16] 、B=[2,3,5,8,9,12,14,15]

 (2)は、途中!

P = [1, 2, 3, 9, 11, 13, 20, 21, 27, 28, 36, 39, 44, 45, 48, 51, 53, 54, 57, 60, 61, 63, 65, 70, 73, 75, 78]
Q = [4, 6, 10, 12, 17, 18, 19, 24, 25, 31, 32, 34, 38, 41, 42, 43, 47, 49, 50, 55, 67, 69, 71, 72, 74, 77, 80]
R = [5, 7, 8, 14, 15, 16, 22, 23, 26, 29, 30, 33, 35, 37, 40, 46, 52, 56, 58, 59, 62, 64, 66, 68, 76, 79, 81]

 和と3乗和までは何とか揃えたんですが、2乗和で崩れています。少し修正したら他の部分
に影響が起こり、この先手段を失いました。


 らすかるさんからのコメントです。(令和元年9月7日付け)

 (1)の規則性を見ていて似たように作ればよいことに気づき、試行錯誤したところ(2)も出来
ました。

  (1,6,8,11,13,18,21,23,25,30,32,34,37,42,44,47,49,54,56,58,63,66,68,70,73,78,80)
  (2,4,9,12,14,16,19,24,26,28,33,35,38,40,45,48,50,52,57,59,61,64,69,71,74,76,81)
  (3,5,7,10,15,17,20,22,27,29,31,36,39,41,43,46,51,53,55,60,62,65,67,72,75,77,79)

 考え方は、以下の通りです。

 (1)の場合、1〜4を2つずつ和が等しいように分けるのは1+4と2+3。よって、(1,4か2,3のどち
らか)+(5,8か6,7のどちらか)とすれば、1〜8を4つずつ和が等しい組に分けられる。

 これは、「(1,4,5,8)と(2,3,6,7)」か「(1,4,6,7)と(2,3,5,8)」の二通りしかないので、それぞれ平方和
を計算すると後者の方だけ一致する。

 よって、(1,4,6,7か2,3,5,8のどちらか)+(左記に8を足したどちらか)とすれば、1〜16を8つずつ
和と平方和が等しい組に分けられる。

 これは、「(1,4,6,7,9,12,14,15)と(2,3,5,8,10,11,13,16)」か「(1,4,6,7,10,11,13,16)と(2,3,5,8,9,12,14,15)」
の二通りしかないので、それぞれ立方和を計算すると後者の方だけ一致する。

 従って、(1,4,6,7,10,11,13,16)と(2,3,5,8,9,12,14,15) は解。

 これと同様に、まず、1〜9を3つずつ和が等しいように分けるのは何通りかあるが、このうち
後の段階に都合が良いのは、(1,6,8)(2,4,9)(3,5,7)・・・(これは試行錯誤の結果です)

 (1,6,8か2,4,9か3,5,7のどれか)+(左記に9を足したどれか)+(18を足したどれか)」の組合せを
試すと、平方和が等しくなるのは

(1,6,8,11,13,18,21,23,25) 、(2,4,9,12,14,16,19,24,26) 、(3,5,7,10,15,17,20,22,27)

そして、(上の3つのどれか)+(それに27を足したどれか)+(54を足したどれか)の組合せを試す
と、立方和が等しくなるのは冒頭に書いた解となりました。

 さらに、続きも出来ますね。

(1,4,6,7,10,11,13,16)と(2,3,5,8,9,12,14,15)+16を合わせた組と
(2,3,5,8,9,12,14,15)と(1,4,6,7,10,11,13,16)+16を合わせた組、すなわち
(1,4,6,7,10,11,13,16,18,19,21,24,25,28,30,31)と(2,3,5,8,9,12,14,15,17,20,22,23,26,27,29,32)

は、1〜4乗和まで等しくなるように1〜32を16個ずつ2組に分けたもの

(1,4,6,7,10,11,13,16,18,19,21,24,25,28,30,31)と
(2,3,5,8,9,12,14,15,17,20,22,23,26,27,29,32)+32を合わせた組と
(2,3,5,8,9,12,14,15,17,20,22,23,26,27,29,32)と
(1,4,6,7,10,11,13,16,18,19,21,24,25,28,30,31)+32を合わせた組、すなわち
(1,4,6,7,10,11,13,16,18,19,21,24,25,28,30,31,34,35,37,40,41,44,46,47,49,52,54,55,58,59,61,64)と
(2,3,5,8,9,12,14,15,17,20,22,23,26,27,29,32,33,36,38,39,42,43,45,48,50,51,53,56,57,60,62,63)

は、1〜5乗和まで等しくなるように1〜64を32個ずつ2組に分けたもの

同様に、

(1,4,6,7,10,11,13,16,18,19,21,24,25,28,30,31,34,35,37,40,41,44,46,47,49,52,54,55,58,59,61,64,66,67,69,
72,73,76,78,79,81,84,86,87,90,91,93,96,97,100,102,103,106,107,109,112,114,115,117,120,121,124,126,127)

(2,3,5,8,9,12,14,15,17,20,22,23,26,27,29,32,33,36,38,39,42,43,45,48,50,51,53,56,57,60,62,63,65,68,70,
71,74,75,77,80,82,83,85,88,89,92,94,95,98,99,101,104,105,108,110,111,113,116,118,119,122,123,125,128)

は、1〜6乗和まで等しくなるように1〜128を64個ずつ2組に分けたもの

(1,4,6,7,10,11,13,16,18,19,21,24,25,28,30,31,34,35,37,40,41,44,46,47,49,52,54,55,58,59,61,64,66,67,69,
72,73,76,78,79,81,84,86,87,90,91,93,96,97,100,102,103,106,107,109,112,114,115,117,120,121,124,126,127,
130,131,133,136,137,140,142,143,145,148,150,151,154,155,157,160,161,164,166,167,170,171,173,176,178,179,
181,184,185,188,190,191,193,196,198,199,202,203,205,208,210,211,213,216,217,220,222,223,226,227,229,232,
233,236,238,239,241,244,246,247,250,251,253,256)

(2,3,5,8,9,12,14,15,17,20,22,23,26,27,29,32,33,36,38,39,42,43,45,48,50,51,53,56,57,60,62,63,65,68,70,
71,74,75,77,80,82,83,85,88,89,92,94,95,98,99,101,104,105,108,110,111,113,116,118,119,122,123,125,128,
129,132,134,135,138,139,141,144,146,147,149,152,153,156,158,159,162,163,165,168,169,172,174,175,177,
180,182,183,186,187,189,192,194,195,197,200,201,204,206,207,209,212,214,215,218,219,221,224,225,228,
230,231,234,235,237,240,242,243,245,248,249,252,254,255)

は、1〜7乗和まで等しくなるように1〜256を128個ずつ2組に分けたもの


(2)の方も同様にして作れば
(1,6,8,11,13,18,21,23,25,30,32,34,37,42,44,47,49,54,56,58,63,66,68,70,73,78,80,84,86,88,91,96,98,101,
103,108,110,112,117,120,122,124,127,132,134,136,141,143,146,148,153,156,158,160,164,166,171,174,176,
178,181,186,188,190,195,197,200,202,207,210,212,214,219,221,223,226,231,233,236,238,243)

(2,4,9,12,14,16,19,24,26,28,33,35,38,40,45,48,50,52,57,59,61,64,69,71,74,76,81,82,87,89,92,94,99,102,
104,106,111,113,115,118,123,125,128,130,135,137,139,144,147,149,151,154,159,161,165,167,169,172,177,
179,182,184,189,191,193,198,201,203,205,208,213,215,217,222,224,227,229,234,237,239,241)

(3,5,7,10,15,17,20,22,27,29,31,36,39,41,43,46,51,53,55,60,62,65,67,72,75,77,79,83,85,90,93,95,97,100,
105,107,109,114,116,119,121,126,129,131,133,138,140,142,145,150,152,155,157,162,163,168,170,173,175,
180,183,185,187,192,194,196,199,204,206,209,211,216,218,220,225,228,230,232,235,240,242)

は、1〜4乗和まで等しくなるように1〜243を81個ずつ3組に分けたもの



 DD++さんからのコメントです。(令和元年9月7日付け)

 (1)は、1引いた数を二進数で書いたとき、

  「各桁の数の和が偶数になるもの」 と 「各桁の数の和が奇数になるもの」

 で分けておしまい。

 (2)は、1引いた数を三進数で書いたとき、

  「各桁の数の和を3で割った余りが0になるもの」
  「各桁の数の和を3で割った余りが1になるもの」
  「各桁の数の和を3で割った余りが2になるもの」

で分けておしまい。

 上記の解答に補足で、証明というほどきっちりしてないですがカラクリ的なものを。

 (1)の方は、まず、1から16ではなく、0から15で考えます。

 これらを4桁の二進数で書くと、0000 から 1111 までになります。それぞれを

   8*X[8]+4*X[4]+2*X[2]+1*X[1] (各X[ ]は0または1)

の形に書いて、n乗を多項展開することを考えます。

 例えば、3乗を多項展開した中に 6*2^6*X[8]*X[4]*X[2] という項が出てきますが、これが

0にならない場合には、 X[1] が0であるものと1であるものが含まれます。

 あるいは、2乗を多項展開した中に 2^2*X[2]^2 という項が出てきますが、これが0にならな

い場合には、 X[8]、X[4]、X[1] の値により、8通りが含まれます。

 そして、これらは X[8]+X[4]+X[2]+X[1] の偶奇によって必ず半分ずつに分かれます。
すなわち、分けたそれぞれでこの項のみを合計したときに値の差を生みません。

 この話が成立しなくなるとすれば、それは4つの値全てを含んだ項であるはずですが、その
ためには4乗以上の和を考えなければなりません。

 つまり、3乗以下の和であれば、差を生み出す部分がない、すなわち全項の合計が等しい
ことが保証されます。

 あとは、1から16での解にする方法ですが、

 Σ(x+1) = Σx + Σ1
 Σ(x+1)^2 = Σx^2 + 2*Σx + Σ1
 Σ(x+1)^3 = Σx^3 + 3*Σx^2 + 3*Σx + Σ1

という等式から、全てに1を足しても性質が保存されることは明らかです。

 (2) の方も、0から80で同様に考えていけば大丈夫です。


 なおさんからのコメントです。(令和元年9月7日付け)

 DD++さん、解答とカラクリの説明ありがとうございます。らすかるさん、GAIさん、解答あり
がとうございます。私の用意していた解答と同じものでした
(らすかるさんの解答にある帰納的な構成、DD++さんの解答にある2進法を使った構成)

 これらの構成法の背景的な 『Thue-Morse 数列』というものを最近知ったので関連する問
題を出題してみました。この『Thue-Morse 数列』自体、フラクタル的な構造があったりして興
味深い対象のようですね。



                         投稿一覧に戻る