・楕円の法線                           なつ 氏

 楕円 x^2/a^2+y^2/b^2=1 上の点における法線が、この楕円によって切り取られる部分
の長さの最小値を求めよ。ただし、a、bは正の実数で、a≠bとする。

 友人に教えてもらったこの問題、シンプルなのにいい問題です。


(コメント) 素朴な題材ですが、計算が大変そうですね!


 らすかるさんからのコメントです。(令和元年6月9日付け)

 うまい解き方が思い付かずゴリゴリ計算したところ、

 aとbの比が以下のとき、短軸の長さが最小値

 aとbの比がより大きいとき、最小値は、(3)(ab)^2/(a^2+b^2)^(3/2)

となりました。


 なつさんからのコメントです。(令和元年6月10日付け)

 私は、2日くらいかけて計算ミスを修正しながら答えにたどり着きました。対称性のある式
が続くので、計算地獄の上手い切り抜け方がありそうです。


 らすかるさんからのコメントです。(令和元年6月10日付け)

 解答をまとめてみました。

 x^2/a^2+y^2/b^2=1上の点(acosθ,bsinθ)での法線は、

   axsinθ-bycosθ=(a^2-b^2)sinθcosθ

なので、もう一つの交点は、

(acosθ{{(a^2-b^2)sinθ}^2-b^4}/{a^4(sinθ)^2+b^4(cosθ)^2},
                  bsinθ{{(a^2-b^2)cosθ}^2-a^4}/{a^4(sinθ)^2+b^4(cosθ)^2})

 よって、2交点間の距離の2乗は、

(acosθ)^2{{{(a^2-b^2)sinθ}^2-b^4}/{a^4(sinθ)^2+b^4(cosθ)^2}-1}^2
           +(bsinθ)^2{{{(a^2-b^2)cosθ}^2-a^4}/{a^4(sinθ)^2+b^4(cosθ)^2}-1}^2

 cosに揃えて、a^2=u、b^2=v、(cosθ)^2=t (0≦t≦1) とおいて整理すると、

  4uv{u-(u-v)t}^3/{u^2-(u^2-v^2)t}^2

 ここで、簡単のため u>v すなわち a>b と仮定します。

 f(t)=uv{u-(u-v)t}^3/{u^2-(u^2-v^2)t}^2 とおくと(※4f(t)が距離の2乗)

 f’(t)=uv(u-v){u-(u-v)t}^2{(u^2-v^2)t-u^2+2uv}/{u^2-(u^2-v^2)t}^3

 この式のなかで、tで符号が変わる可能性があるのは、(u^2-v^2)t-u^2+2uv のみで、

 (u^2-v^2)t-u^2+2uv<0 ⇔ t<u(u-2v)/(u^2-v^2)

 (u^2-v^2)t-u^2+2uv>0 ⇔ t>u(u-2v)/(u^2-v^2)

 ただし、t≧0 なので、u≦2v のとき、f'(t)は常に0以上

 よって、u≦2v すなわち a/b≦√2 のときは、f(t)は増加関数なので、2交点間の距離の

最小値は、t=0 すなわち cosθ=0 のときで、短軸の長さ、すなわち、2b

 u>2v すなわち a/b>√2 のときは、t=u(u-2v)/(u^2-v^2) で最小値をとるので、代入

して、

f(u(u-2v)/(u^2-v^2))=27u^2v^2/4(u+v)^3=(uv/2)^2・{3/(u+v)}^3=(a^2b^2/2)^2・{3/(a^2+b^2)}^3
=27a^4b^4/{4(a^2+b^2)^3}

 従って、2交点間の距離の最小値は、

  2√{27a^4b^4/{4(a^2+b^2)^3}}=(3√3)(ab)^2/(a^2+b^2)^(3/2)

 この式は、a、bに関して対称なので、a<b のときも成り立つ。

 以上により、x^2/a^2+y^2/b^2=1上の点における楕円の法線が楕円で切り取られる長さの
最小値は、

  aとbの比が√2以下のとき、短軸の長さ

  aとbの比が√2より大きいとき、(3√3)(ab)^2/(a^2+b^2)^(3/2)

となる。


 なつさんからのコメントです。(令和元年6月10日付け)

 算額に同じ問題があったんですね…!ちょっとびっくりです!


 DD++さんからのコメントです。(令和元年6月12日付け)

 ちょっと気になったこと。

 とりあえず、楕円の焦点をF1およびF2とし、法線を引く点をPとすると、

 点Pにおける楕円の法線は、∠F1PF2の二等分線である

ことは有名です。

 一方で、最後の答えに出てくる場合分けも、

 長半径/短半径<√2 は、楕円周上の任意の点Qについて、∠F1QF2が鋭角であ
ることの必要十分条件


であり、

 長半径/短半径≧√2 は、∠F1QF2が直角となる点Qが楕円周上に存在することの
必要十分条件


です。

 こう考えると、問題にも答えにも楕円周上から焦点間の線分を見込む角の大きさの話が
登場しているわけですが、何か秘められた意味があるんでしょうかね?



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