・81の数理                             S.H 氏

  「81」と言えば九九であるが、常々その特異性に注目していた。それは何かというと、十
の位と一の位を足して平方すると自分自身になるからだ。このような性質を持つ2桁の数は
他にない。

 4桁の整数で、そのような性質、すなわち、4桁の整数を前2つ、後2つに分けて、それらを
加えた数を平方して自分自身になる数はあるだろうか?

 4桁の整数 abcd の十進数表示は、 1000a+100b+10c+d と書ける。

 その前2つは、 x=10a+b で、後2つは、 y=10c+d なので、問題の性質は、

   (x+y)2=100x+y

を満たす整数 x、y が存在するかということである。

 上式を変形して、 (x+y)(x+y−1)=99x より、(x+y)(x+y−1) は99で割り切れ

る。ただし、 x+y<100 である。

 x+y、x+y−1 は互いに素なので、可能性として次の場合が考えられる。

(1) x+y=99

(2) x+y が11の倍数、x+y−1 が9の倍数

  これを満たすのは、x+y=55

(3) x+y が9の倍数、x+y−1 が11の倍数

  これを満たすのは、x+y=45

 したがって、 100x+y=992=9801

  100x+y=552=3025  、 100x+y=452=2025

 よって、問題の性質を持つ4桁の整数は、 9801、3025、2025 の3個あることが分
かった。

 それでは、問題の性質を持つ6桁の整数は、あるのだろうか?あったとしたら何個あるの
だろうか?興味は尽きない。

(追伸) オンライン整数列大辞典「A238237」で既に調べられていて、6桁の整数の場合は、

     494209 、 998001

の2個しかないとのことである。

 実際に計算してみた。

 6桁の整数 abcdef の十進数表示は、

 100000a+10000b+1000c+100d+10e+f=1000(100a+10b+c)+100d+10e+f

 そこで、 x=100a+10b+c 、y=100d+10e+f とおくと、

   (x+y)2=1000x+y より、 (x+y)(x+y−1)=999x

 これを満たす x+y は、999 、703 のみ。

 よって、 999^2=998001 、703^2=494209


(コメント) 111が3*37と素因数分解できるんですね!この結果を使って、x+y=703 を発
      見しました。


 上記で用いられた手法を用いて、2桁の数の場合に「81」しかないことは次のように示さ
れる。

 N=10a+b とおくと、題意より、 (a+b)2=10a+b なので、 (a+b)(a+bー1)=9a

  a+b と a+bー1 互いに素で、 a+b<10

 このとき、 a+b=9 のみが解なので、 (a+b)2=81


 もちろん、次のようにしても求められる。

(別解) N=10a+b とおくと、題意より、 (a+b)2=10a+b

 展開して整理すると、 a2+2(b−5)a+b2−b=0

 aの2次方程式とみて、実数解を持つことから、

  (b−5)2−(b2−b)=−9b+25≧0 より、 b≦25/9

 よって、整数 b の値は、0 、1 、2

 これらに対して適する自然数 a の値は、 b=1 のとき、 a=8 のみ。



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