次の入試問題に、どなたか挑戦してもらえませんか?
a、bを複素数、cを純虚数でない複素数とし、i を虚数単位とする。複素数平面において、
点zが虚軸全体を動くとき、
w=(az+b)/(cz+1)
で定まる点wの軌跡をCとする。次の3条件が満たされているとする。
(ア) z=i のときに、w=i となり、z=-i のときに、w=-i となる。
(イ) Cは単位円の周に含まれる。
(ウ) 点-1はCに属さない。
このとき、a、b、c の値はなにか?
よおすけさんからのコメントです。(平成31年3月18日付け)
この問題は、 2019年度の九州大学前期理系の問題5です。解答速報を出したほとんど
の大手予備校の解答例で、当初、途中の記述の一部で不備があったそうです。
※現在は修正済み
YouTubeでも、どなたかが取り上げていた問題ですね!鉛筆を持って、実際に解いてみ
ました。(平成31年3月19日付け)
(解) まず、(ア)の条件から、 (ai+b)/(ci+1)=i 、(−ai+b)/(−ci+1)=−i
分母を払って、 ai+b=−c+i 、−ai+b=−c−i
辺々加えて、 b=−c
辺々引いて、 ai=i なので、両辺に i を掛けて、 a=1 となる。
このとき、 w=(z−c)/(cz+1)
次に、(イ)の条件から、点zが虚軸全体を動くとき、 |w|=1 である。
z=k・i (kは実数) とおくと、 |(k・i−c)/(kci+1)|=1
すなわち、 |k・i−c|=|kci+1|より、 |k・i−c|2=|kci+1|2
よって、 (k・i−c)(−k・i−c~)=(kci+1)(−kc~i+1) を展開して、
k2−kc~i+cki+cc~=k2cc~+kci−kc~i+1
k2(1−cc~)−(1−cc~)=0 より、 (k2−1)(1−cc~)=0
kは任意の実数なので、 1−cc~=0 すなわち、 |c|=1 である。
(点zが虚軸全体を動く→z=0 とおく→|w|=|−c|=|c|=1 とした方が手っ取り早いかな?)
ところで、 (k・i−c)/(kci+1)=−1 となるとき、 k・i−c=−kci−1
k(1+c)i=c−1
今、1+c≠0 とすると、 k=(c−1)/(1+c)i
−(c~−1)/(1+c~)i=−(cc~−c)/(c+cc~)i=(c−1)/(c+1)i
よって、(c−1)/(1+c)i は実数となり、虚軸上の点zに対して、w=−1となるが、これ
は(ウ)の条件に反する。
よって、 1+c=0 となり、 c=−1 で、 b=1 である。
このとき、 w=(z+1)/(−z+1) となるので、 z=(w−1)/(w+1) (w≠−1)
zが虚軸上にあるための必要十分条件は、 z+z~=0
よって、 (w−1)/(w+1)+(w~−1)/(w~+1)=0
(w−1)(w~+1)+(w~−1)(w+1)=0
ww~+w−w~−1+ww~−w+w~−1=0
|w|=1 (w≠−1)
以上から、Cは単位円の周から点−1を除いた部分である。
以上から、求める a、b、c の値は、 a=1、b=1、c=−1 (終)
DD++さんからのコメントです。(平成31年3月18日付け)
条件(ア)より、x についての高々二次の等式 (cx+1)x=ax+b は、x=±i で成立します。
よって、この等式は恒等式であるか、または c≠0 で (cx+1)x-ax-b=c(x^2+1)
が恒等式です。
前者の場合、c=0、1=a、0=b より、与えられた式は、z=w となり、Cが単位円周に含まれない
ので不適。
後者の場合、1-a=0、-b=c より、与えられた等式から a、b を消去すると、w=(z-c)/(cz+1) と
なります。
z=0 のときも、|w|=1 であることから、|c|=1 です。
さて、ここで、c≠-1 であると仮定します。(c-1)/(c+1) という複素数について考えると、
c が虚数の場合は、単位円周上の円周角を考えれば、これは純虚数、c が実数、すなわち、
1の場合は0。
いずれの場合でも、z=(c-1)/(c+1) となる場合があり、このとき、
w={(c-1)-c(c+1)}/{c(c-1)+(c+1)}=(-c^2-1)/(c^2+1)=-1
となり、条件(ウ)に反します。従って、c≠-1 ではありえません。すなわち、c=-1 が必要条件
です。
a=1、b=1、c=-1 の場合、w=(z+1)/(-z+1) となり、Cは単位円から点-1を除いたものになる
ので、条件を満たします。
以上より、 a=1、b=1、c=-1
## cが純虚数じゃないのはどこで関係あったんだろう?
(コメント) 確かに、「cが純虚数でない」はどこに効いているのか分からないですね!
ポイントは、虚軸上の点z=k・i (kは実数) に対して、w=−1となるwの存在を示す
ときに、w=(z−c)/(cz + 1)=−1 から、 z=(c−1)/(1+c) で、このとき、
cz+1=(c2−c)/(1+c)+1=(c2+1)/(1+c) において、「cが純虚数でない」ので、
c2+1≠0 すなわち、cz+1≠0 となり、確かにw=−1となるwが存在することを裏付
ける根拠になっているような...雰囲気。
DD++さんからのコメントです。(平成31年3月20日付け)
上記のコメントを見てわかりました。cが純虚数だと z=-1/c となる瞬間に分母がゼロに
なってしまうので、「zが虚軸全体を動く」ができなくなってしまうのですね。なるほど。