・面白い三角形                           S.H 氏

 次の三角形は、ただ単純に面白いと思う。∠Aの大きさが∠Bの大きさの2倍になるから
だ。そんな三角形は直角三角形だったら簡単に作れるが、そうでなく一般の三角形である
ところがいい。しかも、その証明は数学Aの平面図形の問題として適当である。

 皆さんは、∠A=2∠B が証明できるだろうか?挑戦してみては如何?

   


(解) ∠Cの2等分線が辺ABと交わる点をDとし、BC上の点EをAC=EC=9 であるよう
   にとる。

  CDは∠Cの2等分線なので、

  AD : DB=CA : CB=9 : 12=3 : 4

  AB=7 より、 AD=3、DB=4 となる。

 このとき、△CAD≡△CED から、DE=AD=3

        また、BE=3 から、△EBDはEB=EDの2等辺三角形なので、∠B=∠EDB

       よって、  ∠A=∠CED=∠B+∠EDB=2∠B  (終)


 S(H)さんからのコメントです。(平成30年11月10日付け)

 B(0,0)、C(12,0) とし、x2 + y2 = 72 、(x - 12)2 + y2 = 92 から、A(14/3,7/3)

 このとき、 ACAB = (22/3,-7/3)・(-14/3,-7/3)=-7

     また、 ACAB = 9*7*cosA なので、 cosA = -1/9

 ところで、 tanB = (7/3)/(14/3)=/2

 ここで、cos2B = cos2B - sin2B = cos2B(1 - tan2B) = (1 - tan2B)/(1 + tan2B)

なので、cos2B = -1/9 となる。すなわち、cos2B = cosA である。

 Aは鈍角で、A、Bは△ABCの内角より、 A + 2B ≠ 2π なので、 2B=A となる。


 GAI さんからのコメントです。(平成30年11月7日付け)

 上記のような「∠A=2∠B」の関係を生み出す(a,b,c)=(12,9,7)以外の△ABCの形状を調べ
てみた。

(a,b,c)=(6,4,5)、(15,9,16)、(20,16,9)、(28,16,33)、(30,25,11)、(35,25,24)、(40,25,39)、(42,36,13)
    (45,25,56)、(56,49,15)、(63,49,32)、(66,36,85)、(70,49,51)、(72,64,17)、(77,49,72)
    (84,49,95)、(88,64,57)、(90,81,19)、(91,49,120)、(99,81,40)、・・・・・・・

 また、「∠A=3∠B」の関係を生み出す△ABCの形状を調べてみたら、

(a,b,c)=(10,8,3)、(48,27,35)、(132,64,119)、(195,125,112)、・・・・・・・


 らすかるさんからのコメントです。(平成30年11月7日付け)

 「∠A=2∠B」を満たすaの数列は、「A106430」にありました。

 ところで、その結果を眺めていると、bは常に平方数になっていますね。これは、少し考えた
ら必ず平方数になることが簡単に示せました。つまり、

 ∠A=2∠B を満たす整数辺三角形で、GCD(a,b,c)=1 ならば b は平方数

が成り立ちます。


 よおすけさんからのコメントです。(平成30年11月7日付け)

 「∠A=n∠B」のとき、辺の長さCA(=b)はn乗数なのかな? (※nは正の整数)


 らすかるさんからのコメントです。(平成30年11月8日付け)

 そうなりそうです。一般のnに対して、a、b、c の間に成り立つ式を、f[n](a,b,c)=0 として、
n=6 まで求めてみると、

f[1](a,b,c)=a-b

f[2](a,b,c)=a^2-b^2-bc

f[3](a,b,c)=a^3-a^2b-ab^2+b^3-bc^2

f[4](a,b,c)=a^4-2a^2b^2+b^4-a^2bc+b^3c-b^2c^2-bc^3

f[5](a,b,c)=a^5-a^4b-2a^3b^2+2a^2b^3+ab^4-b^5-a^2bc^2-ab^2c^2+2b^3c^2-bc^4

f[6](a,b,c)=a^6-3a^4b^2+3a^2b^4-b^6-a^4bc+2a^2b^3c-2a^2b^2c^2
                          -a^2bc^3-b^5c+2b^4c^2+2b^3c^3-b^2c^4-bc^5

のようになりますが、この式を見ると、少なくとも 1<n≦6 では、b がn乗数になっていなけ
ればいけないことがわかります。(簡単に証明できます。)

 また、これらの式をじっくり眺めると、

f[0](a,b,c)=1

f[1](a,b,c)=a-b

f[n](a,b,c)=(a+b(-1)^n+c)f[n-1](a,b,c)-(ac)f[n-2](a,b,c)

という三項間漸化式が、(n≦6の範囲では)成り立つことがわかります。もし、この漸化式が
n>6でも成り立てば、bがn乗数であることは間違いないことになりますが、今のところその
証明はできていません。


 GAI さんからのコメントです。(平成30年11月8日付け)

 ∠A=4∠B での△ABCでの辺(a,b,c)が、

(a,b,c)=(105,81,31)、(476,256,305)、(1395,625,1111)、(3234,1296,2869)、(3864,2401,1969)、
・・・・・・・・・・・・・・・・・

のとき、そのような関係を持つので多分間違いないでしょうね。角度では倍数なのに、辺で
は累乗になるなんて面白いですね。



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