行列 A={{1,2},{3,4}}に対しては、A^2={{7,10},{15,22}}の結果が起こる。
 では、どんな行列Xが X^2={{1,2},{3,4}}の結果を起こせるか?
(コメント) 学習指導要領改訂で、平成24年度(2012)より高校で履修しなくなった行列。
      懐かしいですね!思わず計算してみたくなりました。私自身は、高校では行列は
      学んでいなくて、大学に入ってからの線形代数学で学んだ口です。
       いろいろな資料の整理などで行列の考え方は有用なのに、なぜ高校の数学から
      消えたのか不思議です。もっとも平面上の回転移動などは、一次変換よりも複素
      数平面での複素数計算の方が何となくしっくりきますが...。
 さて、X^2={{1,2},{3,4}}となる行列 X={{a,b},{c,d}}について、
   X^2−(a+d)X+(ad-bc)E=O  (Eは単位行列、Oは零行列)
が成り立つ。成分比較をして、
 1−a(a+d)+(ad−bc)=0 ・・・(1)  2−b(a+d)=0 ・・・(2)
 3−c(a+d)=0 ・・・(3)  4−d(a+d)+(ad−bc)=0 ・・・(4)
 このとき、a+d≠0 で、a+d=1/k とおくと、 b=2k 、c=3k
 (4)−(1)より、 3+(a−d)(a+d)=0 なので、 a−d=−3k
 よって、a=(1−3k^2)/(2k) 、d=(1+3k^2)/(2k)
 これらを(1)に代入して整理すると、 33k^4−10k^2+1=0
 以上から、求める行列 X={{a,b},{c,d}}は、
  a=(1−3k^2)/(2k) 、b=2k 、c=3k 、d=(1+3k^2)/(2k)
 ただし、kは、33k^4−10k^2+1=0 を満たす数(虚数)
 らすかるさんからのコメントです。(平成30年7月21日付け)
 33k^4−10k^2+1=0 を満たすkを求めたところ、
  k={±√(√33+5)±i√(√33-5)}/√66  (複号任意)
となりました。
 GAI さんからのコメントです。(平成30年7月21日付け)
 私もある本を読みながら計算機で挑戦していたら、 X={{a,b},{c,d}}とした時、近似値
として(Iを虚数単位とする。)
a=0.55368856714591119667285937751635193761 + 0.46439416283907068799073611095400630672*I
 b=0.80696072701321636663579424969255099235 - 0.21242647876640201478127449331973045847*I
 c=1.2104410905198245499536913745388264885  - 0.31863971814960302217191173997959568770*I
 d=1.7641296576657357466265507520551784261  + 0.14575444468946766581882437097441061902*I
位にすれば、
 a=1.0000000000000000000000000000000000000 + 0.E-38*I
 b=2.0000000000000000000000000000000000000 - 2.938735877055718770 E-39*I
 c=3.0000000000000000000000000000000000000 - 2.938735877055718770 E-39*I
 d=4.0000000000000000000000000000000000000 - 2.938735877055718770 E-39*I
にはなるようです。
 ということで、Y^2={{7,10},{15,22}}を満たすYはもちろん Y={{1,2},{3,4}}ではあ
りますが、
Y={{1.5666989036012805435956213095142534504,1.7407765595569783817729125661269482783},
   {2.6111648393354675726593688491904224174,4.1778637429367481162549901587046758678}}
としても
Y^2={{7.0000000000000000000000000000000000000,10.000000000000000000000000000000000000},
    {15.000000000000000000000000000000000000,22.000000000000000000000000000000000000}}
という事が起こってしまいます。
 S(H)さんからのコメントです。(平成30年7月21日付け)
 Y={{-3 Sqrt[3/11], -(10/Sqrt[33])}, {-5 Sqrt[3/11], -8 Sqrt[3/11]}} も在ります。
 らすかるさんからのコメントです。(平成30年7月21日付け)
 真値は、
  a={√(√33+1)+i√(√33-1)}/√22 、b={√(2√33+10)-i√(2√33-10)}/√33
  c={√(3√33+15)-i√(3√33-15)}/√22 、d={√(3√33+17)+i√(3√33-17)}/√11
でした。
                         