登録番号 0006 あわまんじゅう(おやつ)

画像をクリックすると、拡大してみれます  「あわまんじゅう」と言えば、福島県会津地方の柳津(やないづ)が
 有名である。そこでは、たびたび火災にあった住職が今後火災に
 あわ(粟)ないようにと祈願を込めて、粟を使った饅頭を考案したと
 伝えられている。その後、これを食べれば災難にあわないとか、縁
 起担ぎから、広く愛され食されるようになったようだ。

  写真の「あわまんじゅう」は柳津のものとは違って、山形県高畠町
 (クリックして拡大写真)   の「おばこや」というお店のもの。2個1セットで、100円である。

 あわまんじゅうの食感はなんともいえないような懐かしさに溢れている。本当に粟を使って
いるのかどうか未確認であるが、道明寺粉で作られただんごを、少しざらざらとしたような舌
触りとでも表現すればよいのかな?内部は、ほんのり甘いあずき餡である。デリケートな食
品で、時間が経つと周辺が乾燥して固くなるので、早めに食するのが鉄則である。ほんのり
と黄色みをおびたまんじゅうが、緑の笹の葉に鎮座して彩りは美しい。

 「おばこや」は、おばこ焼(関東でいうと大判焼のこと)、だんごなどを扱うお菓子屋さんであ
る。多分、店名は、おばこ焼からきているのだろう。当地では、昭和十七号館として、昭和の
香る味な街に溶け込み、古き良き時代を醸し出している。

 会津は、もと上杉藩の領地であった。武田信玄との川中島の戦いで名高い上杉謙信を藩
祖とする上杉藩は、2代藩主景勝のとき、会津に移封(120万石)された。関ヶ原の戦いで西
軍に組みしたために、米沢に減封(30万石)されたが、そのときに、「あわまんじゅう」も山形
県米沢地方に伝えられたのだろう。

 高畠町はもと天領であったが、上杉藩の米沢とは接しており、交易の関係は深い。従って、
写真のあわまんじゅうも柳津のあわまんじゅうにルーツがあるものと考えられる。

 ところで、「粟」と「栗」は漢字的に似ていてよく見間違う。「あわまんじゅう」を「粟饅頭」と書
いたら、何か別な食べ物と思うのは、私だけであろうか?


(追記) 先日、会津地方を訪ねた際、ようやく「柳津のあわまんじゅう」を手に入れることが
     できた。同じあわまんじゅうとはいえ、それぞれの地方でやはり雰囲気、食感が異
     なる。是非、皆さんも機会があったら食べ比べをしてみて下さい。


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